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潤🧫👾
#ファンタジー
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朝日が室内を照らす。
昨日の雨が嘘のように
空は澄んでいた。
城の奥、静かな離れ。
少年は目を覚ます。
「……ここ、どこだっけ、」
体を起こすと、痛みが走る。
「っ、まだ痛てぇな、」
その時、扉が開いた。
「起きたの?」
鈴風が紅茶を持って立っていた。
「はい、飲んで」
少年は少し微笑む。
「ありがと、王女サマ」
「だから身分で……」
これ以上言っても無駄だ と思ったのか、
鈴風は呆れたような顔をした。
「じゃ、なんて呼べばいいの?」
「もう…名前でいいわよ、」
少年は再び笑みを浮かべる。
「鈴風なっ!」
鈴風は驚いたような顔
をして、少年に問う。
「名前…何故?」
少年は少し笑いながら
答える。
「この国の王女サマの名前、
知らないヤツいる?」
「あぁ、そういうこと」
「貴方は…」
鈴風は言葉に詰まる。
少年の名前を知らないことに
気付いたのだ。
「貴方、名前は?」
少年は少しだけ黙り、
茶化すように言う。
「今さら?笑」
鈴風は少しむっとする。
「聞いていなかっただけよ」
「言いたくないならいいわ」
「いや、別に気にしてねーよ」
少し間が空いた後、
少年の口が開く。
「伊織」
鈴風が繰り返す。
「伊織…」
「そ 藤宮伊織(フジミヤイオリ)」
鈴風がふっと微笑む。
「素敵な名前ね」
「あ、笑った」
と、伊織が目を見開く。
「え?」
「初めて笑ったとこ見た」
「笑ってた、?
全然気付かなかったわ」
思い返してみると、伊織の前だと
自然体で居れている様な気がした。
「絶対そっちのほうがいいよ」
「なんか普通の人ってかんじ」
そう言って、伊織も笑って見せた。
鈴風の頬が少しだけ赤みがかっている
のを、鈴風自身は気付かないでいた。
また同じく、伊織の心臓の鼓動が
少しだけ早まってた。