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#廃校past complex
ユメミリ@夏の絶不調祭り
315
るる
74
#闇
ruruha
1,447
◇
祭り当日の昼。
東棟では、いつも以上に賑やかな声が響いていた。
部屋のあちこちには服やアクセサリーが広げられ、まるで小さな洋服屋のようになっている。
「ねぇねぇ、リンちゃん!」
ニアがひまわり柄のワンピースを胸の前へ当てながら、楽しそうに振り返る。
「このカチューシャはどうかな?」
鈴凛は腕を組み、じっくりと全身を見渡した。
「そのワンピースなら……。」
少し考えてから、別のカチューシャを手に取る。
「こっちの方が似合うアル。」
「……確かに!」
ニアはぱっと笑顔になった。
「さっすがリンちゃん!ありがとう!」
その隣ではラテも鏡の前で悩んでいた。
「ねぇねぇ。」
カラフルなリボンと星柄のリボンを左右に持ちながら振り向く。
「あたし、このリボンどっちがいいにゃ?」
「うーん……。」
フローは少し首を傾げた。
「左かな?」
「え……。」
その瞬間。
ルカが珍しく眉をひそめた。
「……。」
鈴凛が目を丸くする。
「ルカが見たことない反応してるアル。」
「右よ。」
リーナは即答だった。
「んー……。」
テルも改めて見比べる。
「僕も…右じゃないですかね。」
「……左は…。」
ソフィアがおずおずと口を開く。
「なんか……ピエロみたいじゃない……?」
「……。」
フローはしばらく左のリボンを見つめる。
そして小さく咳払いをした。
「……うん!」
「ボクも右がいいと思うよ!」
声を震わせながら意見を変えた。
「ど、どっちでも似合うけどね……?」
ニアは慌ててフォローする。
すると鈴凛が真顔で言った。
「ニア。」
「こういう時は真実を言うアル。」
「うっ……。」
ニアは困ったようにラテを見る。
「……み、右がマシだと思う……。」
「……。」
ラテはしばらく固まる。
「もしかして。」
「どっちもダサいにゃ?」
静まり返る部屋。
ルカだけが小さく頷いた。
「…うん。」
迷いゼロだった。
「べ、別のリボン持ってくるにゃぁぁ……!」
ラテは泣きそうな声を上げながら部屋の奥へ走っていった。
「ルカさん、もうちょっと言い方ってものが……。」
テルは苦笑する。
「……嘘はよくないから。」
ルカは真剣だった。
「間違ってないんだけどね……。」
フローも苦笑するしかない。
リーナは一連の騒ぎを眺めながら、大きくため息をついた。
「……はぁ。」
「まだ屋敷からすら出てないのに、このテンション…。」
テルも苦笑しながら頷く。
「ま、まぁ……。」
「楽しんでくれてるなら、それでいいじゃないですか。」
そう言いながらも、窓の外の空を見上げた。
「……先が思いやられるけど…。」
◇
その頃、西棟でも出発の準備が進んでいた。
「皆さーん。」
イリアがロビーを見回す。
「準備できました?」
「……う、うん。」
ナターシャは少し落ち着かない様子で自分の服を見下ろした。
指先でスカートの裾をそっとつまむ。
「……ねぇ。」
「これ、変じゃない……?」
少しだけ不安そうだった。
「そんなことありませんわ!」
プリムローズはすぐに笑顔で答える。
「とっても似合ってます!」
ローラも優しく微笑んだ。
「変じゃないわ。」
「せっかく可愛いんだから、自信を持ちなさい?」
「……うん…。」
ナターシャは照れくさそうに小さく笑う。
その様子を見ていたララビットが、隣へ目を向けた。
「なんかオシャレしてる……。」
白いワンピース姿のラグドールが、くるりと一回転する。
「似合ってるでしょ。」
自信満々だった。
「……。」
ララビットは何とも言えない表情になる。
その沈黙へ、ヴェルクが淡々と口を挟んだ。
「……それ。」
「普通、自分では言わないんだけど。」
「えぇー?」
ラグドールは少し頬を膨らませる。
「ララビットもちょっとくらいオシャレしたらいいのに。」
「一応ヘアピンはしてるじゃん。」
ミシェルが横からフォローする。
「そうですけど……。」
ラグドールはララビットをじっと見る。
「なんか……。」
少し考えて。
「……なんかじゃないですか。」
結局まとまらなかった。
「自分でも何言いたいか分かってないじゃん。」
ミシェルが呆れつつ笑う。
部屋の空気が一気に和らぐ。
プリムローズは全員を順番に見回した。
「んー……。」
満足そうに頷く。
「皆さん、大丈夫そうですわ!」
「イリアちゃんたちは?」
ローラが尋ねる。
「大丈夫です!」
イリアは元気よく返事をする。
「昨日のうちに準備は全部終わらせました!」
「わたくしも大丈夫ですわ!」
プリムローズも嬉しそうに頷いた。
イリアは改めて全員を見回す。
今日一日、何事もなく終わるように。
そんな願いを胸に、小さく深呼吸をする。
「よし。」
「もし何かあったら、すぐ言ってくださいね。」
みんなが頷く。
イリアはにっこり笑った。
「じゃあ…。」
「出発しましょう!」
その一言とともに、屋敷の扉がゆっくりと開く。
眩しい夏の日差しと、遠くから聞こえる祭り囃子が、一行を迎えていた。
コメント
2件
作者コメント┊︎ 平和やな〜。
読み終えました🌙 東棟の賑やかさと西棟の少し落ち着いた空気感、対比がきれいだなって思いました。特にルカの「嘘はよくないから」の一言、迷いゼロなのがキャラに合ってて笑っちゃいました(笑) ラテが泣きそうになりながら走っていくのにもほっこり。 西棟のラグドールの自信満々な「似合ってるでしょ」とヴェルクの冷静ツッコミも好きです。こういう日常のやりとりが、キャラの関係性をじんわり見せてくれて。イリアの「何事もなく終わりますように」って願い、ちょっと不穏な予感もさせるけど…次が気になります。 今日も素敵なエピソードをありがとうございます🤍