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これは、「小春」の過去の話。
「おいお前!金ちょっぴいてこいって言ってるだろ!!」「ふざけてんのかお前!!」
???「すみません」
「まさか学校なんて行ってねぇよな?」「最近お前顔見せねぇよな」
???「…………」
「ちっ、まぁ今日は大目に見てやる。「次、舐めた態度取ったら息の根止めっかんな!!」
???「…………はぁ」
今更あんな場所に
居たい居場所なんて……
不良たちに絡まれていた少年は、「小春」。最近、彼は自分の仲間と上手くいっていなかった。
「お母さん、私が間違っていたのよ。あの子をあんな風にさせてしまったんだから……」「嫌ね。あなたは悪くはないわ。本来なら誰も悪くないのよ。お父さんがいなくなって寂しいのよ」「でも、その父親の分私がもっと愛してあげれば」「あなたが自分を責めてどうするの?それに……」
小春「…………」
おれは親を泣かせた
それでも尚、おれは暴走族から抜けれてない
恐くて、恐くて、堪らない
それに何より 俺が抜けれたとして
今更どこに向かって どこへ向かえば良いんだ?
そんなことをずっと考えてたある日のこと
「ちょっとそこの黒髪の人〜」「俺らに金くれね?財布出すだけで良いからさぁ〜」「ねぇ聞いてる?」「なんかなんというか変な目だな」
小春「…………ちっ、あいつらとうとう女にまで手を出しやがった……行かなきゃ……あっ!」
黒髪の少女のおしりに手で触ろうとした男がいた。その瞬間、
「い、痛てて!!」「なんだこいつ!!」「俺の手の関節がぁぁ!!」「てめぇ何しやがる!」
???「セクハラは禁止〜」
その少女は、おしりを触ろうとした男の手の関節を外したのだ。
???「ねぇ、お金が欲しいならスリをしなよ。犯罪はバレないようにしたら良いと想うよ。だから頑張りな。少なくともわたしなんかにバレてるようじゃ、スリなんて絶対できないけど」
「「…………は?」」
小春「…………?」
黒髪の少女は、なんと文句を言うところか、犯罪を進めてきたのだ。
「お、お前……マジで言ってんの?」「俺たちのこと怒ったりしねぇのかよ」「俺たちはお前に何するか分かんねぇぞ」「もしかして舐めてんのか?」
???「舐めれないよ。わたしはあなたたちのこととやかく言えるような立場も権利も持ってないしね。でも、さっき言ったようにバレないように犯罪をすることが出来ないなら、少し体の力を抜いて、自分にもっと優しくしてあげた方が良い。今のあなたたちは、自分自身を押し殺してるようにみえる。自分の生きたい生き方を踏み殺してる。ほんのり咲いてる道端の花をちぎっているようなそんな危うさを持ってる。だから、自分の花を、心を守って……わたしが言えるのはこれくらい。このことを笑うなり、馬鹿にするなり、あなたたちの自由だよ〜じゃあね〜」
あまりにも自分たちが今まで言われてこなかった言葉を言われ、唖然とする不良たち。
黒髪の少女はいつの間にか消えていった。
小春「自分の生きたい生き方を踏み殺してる……か」
「ふん。やっぱりお前は、族抜けしたかったんだな」「おいお前らこっちこっち!」「こいつを磔獄門の刑に処しま〜す」「ゆっくりゆっくり痛ぶってやるからな!!」
小春「……ぐっ…………っち……うっ……」
小春は、公園にいる不良男子たちから殴り飛ばされ、蹴り飛ばされ、張り飛ばされ、ふぐり蹴っ飛ばされ、体中ボコボコにされた。
おれは
ぜっ……
絶対……
おれの生きたいと想ってる生き方を……っ!
するんだ!!!!
母親を泣かせたりしない
学校にもちゃんと行く
勉強もする
同級生と遊ぶ
おれが望んじゃいけないことかもしれないけど
でも……
おれは……っっ!!!!
???「そこら辺にしといた方が良いよ」
「何だ何だ?お前のダチか?」「女じゃねぇか」「女に戦って貰うのか?」「だっせぇなお前」
小春「……あ、……あの人……は」
公園の階段の上に、黒髪の少女が立っていた。
???「待っててね。小春くん」
黒髪の少女が立っていた。
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小春「…………は!」
???「うわ!びっくりした!急に起き上がったら怪我悪化するわよ!寝てなさい!」
小春「あの……おれ……」
???「君が小春くんだね」
小春「あなたは……?」
???「私は雫だ。ここは、私の務める学校。『トウヒガ学園』の保健室。そして、君を助けたのは……」
???「雫さん。電話が来ました」
雫「そうか。じゃあ一旦失礼するよ。説明は桃時。よろしくお願いできるかい?」
桃時「はいはい分かりましたー」
「雫」は一旦離席した。
桃時「ごほん。えぇ小春。あんたを助けたのは、この子、雨花。」
小春「あ、雨花……さん?」
雨花「怪我は大丈夫?」
小春「あっ元気です!」
兎白「いやちゃんと病院に行った方が良い。骨折してるから」
小春「え?……っ!…………いって!」
桃時「緊張してたからその糸が切れて、痛みが一気に来たってところね。」
雨花「無理しない方が良いよ」
桃時「あんたがそれ言うの?勝手に暴走族の喧嘩に参加して、あんたも少し怪我したでしょ?校門の前にあんたたちが倒れてて、前に小春のことは雨花から聴いて、雫さんに名前を教えてもらったからすぐ分かったわ。」
兎白「頼むから独りで危ない橋を渡るな」
雨花「あはは。ごめんごめん」
小春「そんなになるまで……ありがとうございます。あの………どうしておれを助けてくれたんですか?」
兎白「雨花が独断で決めたんだ」
桃時「こいつが自分から人を助けようとするn……いやそこまで意外じゃないわね。」
雨花「そんなことないよ。わたしが何で行ったか。それは……」
「「あの時、助けようとしてくれたでしょ?」」
小春「え?」
《…………ちっ、あいつらとうとう女にまで手を出しやがった……行かなきゃ……あっ!》
小春「えっ結構離れてたのに、気がついてたんですか?」
雨花「ずっとこっちみてたから視線を感じてたんだよ〜」
小春「あの……おれ……」
雨花「謝る必要は無いよ。良い?あなたはさっき自分で自分の生き方を変えた。生き方を変えるにはそれ相応の覚悟が必要なの。あなたはそれをしたんだから。自分を沢山褒めるべきだよ。」
小春「でも、この先どんな風に生きていけば良いんでしょうか……おれはもう自分が望むような幸せは手に入れられない。学校に通ってクラスメイトと過ごしたり、遊んだり、勉強したり、先生に怒られたり、褒められたり、そんな日常を……送ったりすることも出来ない。自業自得ですね」
小春は俯く。しかし……
雨花「それじゃあここから始めれば良いんじゃない?わたしは小春くんの生き方は決して間違いだけだったなんて想えない。小春くんの生き方は、とても繊細で淋しくて心細い気持ちを抱えていた生き方だったんだと想う。その生き方は決して無駄じゃない。沢山人を傷つけて、苦しめて、迷惑かけて、そうしないと分からない気持ちや気づけない考え方もあると想う。だから、小春くんは、生きることに不器用なだけ。例えもし、小春くんを許してくれない人が現れたとしても、誰かが許してくれなくても、生きることに許すとか許さないとかそんなものに小分けしなくて良い。生きてたって良いんだよ」
雨花は、小春の頭を撫でる。
雨花「みんな知らず知らずのうちに人間は心のどこかで自分自身を許諾されたいと考えているんだよ。「自分の今の言動、行動は許諾に値するか」「自分の存在は許諾に値するか」ってそうやって許諾を基準に考えられている。でも許諾は、決して人を育てない。ただ都合を悪くしないための「当たり前」というカテゴリーに入れるために教えられるだけ。それに反した者が、「変人」だの「罪人」だの言われる。でも、反しても良いと想うんだ。許諾に縛られず、自分なりに生きていけば良い。罪人でも良い。沢山後悔して、そうやって自分の人生を作って行って欲しいな。だから小春くん。許すとか許さないとかにこだわってたら自分がもったいないよ。せっかく小春くん。こんなに優しい子なんだから。だから許諾に縛られない小春くんだけの人生を歩んで欲しい。小春くんの幸せを望んで欲しいし、望んで良いと想う。わたしはそう想うよ」
小春「許されなくても良いんで……すかね……おれ……の幸せ……望んでも……良いのかな……」
小春はぽたぽたと涙を零す。
小春「おれ……もう……取り返しのつかないところ……まで来てるんじゃ……ないかなって……おれ……おれ……!幸せになっても……良いのかな……」
桃時「そんなの自分で決めなさいよ。あんたが幸せになりたいと望むなら幸せになっても良いんじゃないの?」
兎白「雨花や桃時の言う通りだ。それに小春。お前は幸せになって良いんだ。少しでも反省するという心を持てているならもうそれで充分だ」
小春「…………うぅ……ありがとう……ございます……」
ずっと小春は泣き続けた。
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雫「では、また。小春くん。」
雫は、小春の家に連絡していたのだ。
小春「はい……また」
ん?また?
小春の気持ちを置いていって、小春の家の車は走り出した。
小春「(またってどういうことだ?)」
小春の疑問を察したのか、小春の母親が答えた。
「実はね。あなたが中学生に上がるちょっと前にあの学校の入学許可証が届いたのよ。」
小春「え!?そうなの?」
小春「(あぁ、だから雫さんおれのこと知ってたんだ。そこから雨花さんたちに教えたんだ。)」
「そうそう。もう小春は中学二年生になってしばらく経つけど、もし学校行きたいなら、あの学校行ってみない?」
小春「……!、うん!行きたい」
「あの母さん」
「ん?」
小春「今までごめん。これからおれちゃんと頑張るよ。自分の幸せをみつけるために。だから応援して欲しいです。」
「……うふふっ、頑張って。小春」
小春はこうして家に帰っていった。
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雨花「…………」
雨花は、独り教室の椅子に座る。
《許諾に縛られず、自分なりに生きていけば良い。罪人でも良い。沢山後悔して、そうやって自分の人生を作って行って欲しいな。》
…………
《許すとか許さないとかにこだわってたら自分がもったいないよ。せっかく小春くん。こんなに優しい子なんだから。だから許諾に縛られない小春くんだけの人生を歩んで欲しい。小春くんの幸せを望んで欲しいし、望んで良いと想う。わたしはそう想うよ》
……これじゃあ私の言われたい言葉そのものじゃないか
でも……
結局は
この言葉を言われたところで
わたしのこの願望は
叶わない方が良いとというさらに違う
願いで
壊される
針金をずっといじっていると
金属の匂いが移るみたいに
そうやって悪い部分が
本来の願望が
触れられる度に
人にいじられる度に
悪臭を放つんだ
そんな願望、知られない方が良い
桃時「あ、めか……」
桃時は一緒に帰るために雨花を呼ぼうとしたが、雨花は、ずっと窓の方を向いて動かない。窓越しにみえる雨花の目は「何も映っていない目」だった。
桃時「…………」
雨花
あんたは
小春にもしかして自分の言われたい言葉を
言ったのかしら
外はもうすっかり夜になり、真っ暗に星も月もない夜がひたすら続き、雨が降り始めていた。