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これは姫野〇〇と永瀬廉のlove diary
交際から、2週間目
「はじめての嫉妬」
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〇〇がドラマの共演者と仲良く話してる写真がSNSに出た。
廉から珍しく短いLINE。
“楽しそうやな”
〇〇「嫉妬してる?」
既読がつくまで、5分。
廉“してへん”
電話。
廉「……ちょっとはする」
〇〇「かわいい」
廉「言うな」
初めて、
“好きだから不安になる”を知った。
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1ヶ月目
「ちゃんと泣いた日」
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仕事が重なって、心が折れた夜。
〇〇は強がって「平気」って言った。
廉「平気な顔やない」
〇〇「大丈夫」
廉「俺の前でくらい、大丈夫言わんでええ」
その言葉で涙が溢れた。
廉は黙って背中を撫でただけ。
あの日から、
〇〇は“弱い自分”も見せられるようになった。
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1ヶ月3週間目
「ささいな幸せ」
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深夜のコンビニ。
パーカー姿の廉。
〇〇「その格好好き」
廉「部屋着やで?」
〇〇「だから」
アイスを半分こして食べた。
特別なことは何もない。
でも、
ああいう夜がずっと続けばいいと思った。
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2ヶ月目
「未来の話をしない約束」
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将来の話になりかけて、
〇〇が黙った。
廉「怖いんか?」
〇〇「少し」
廉は無理に踏み込まなかった。
廉「ほな今だけ見とこ」
その優しさに救われた。
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2ヶ月3週間目
「少し距離ができた日」
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お互い忙しすぎた。
3日連絡が減った。
〇〇は“迷惑かけたくない”って思って黙った。
廉は“俺必要ないんかな”って思った。
久しぶりの電話。
廉「俺、ちょっと寂しかった」
〇〇「言ってよ」
廉「言ってええんか分からんかった」
〇〇「彼氏でしょ」
沈黙のあと、笑い合った。
この日から、
遠慮は減った。
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3ヶ月目
「はじめての本気の喧嘩」
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原因は時間。
廉が会いたい日、〇〇は仕事を優先した。
廉「仕事ばっかやな」
〇〇「だって大事だもん」
廉「俺は?」
その一言に、胸が痛んだ。
〇〇「大事だよ!」
声が大きくなる。
沈黙。
廉「順位つけろ言うてへん」
廉「でも、俺もちゃんとお前の人生におりたい」
その言葉で、涙が出た。
話し合って、
“会えない日も味方でいる”って決めた。
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3ヶ月2週間目
「初めての“好き”の重み」
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廉「好きやで」
何度も聞いた言葉。
でもこの日は違った。
仕事で自信をなくしてた日。
廉「結果やなくて、〇〇が好き」
〇〇は、その言葉で立ち直った。
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4ヶ月目
「弱い廉」
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珍しく、廉が静かだった。
廉「ちょっとな、疲れた」
〇〇「うん」
廉「強いと思われんのもしんどい」
〇〇はただ隣に座った。
〇〇「かっこ悪くてもいいよ」
廉「……それ言うな」
でも、その夜は
廉の方が長く抱きしめてた。
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4ヶ月3週間目
「何もない幸せ」
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テレビを見ながら笑い合う。
〇〇が先に寝落ち。
廉がブランケットをかける。
廉「無防備すぎやろ」
小さく笑う。
それが、幸せだと思った。
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そして、5ヶ月目。
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ドキドキは少し落ち着いた。
でも安心は増えた。
喧嘩もした。
泣いた日もある。
すれ違った夜もある。
でも、
手を離さなかった。
〇〇はまだ泣き虫で寂しがり屋。
廉は強いふりがうまい。
それでも、
“逃げない”
を守ってきた5ヶ月。
振り返ると、
大きな出来事よりも、
深夜の電話や、
コンビニや、
ささいな言葉の方が覚えている。
恋は派手じゃない。
でも確実に、
2人の間で育っている。
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【5ヶ月記念日 当日】
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仕事終わり、夜22時。
〇〇は「今日は普通でいいよ」って言ってた。
でも。
廉「普通って何」
〇〇「ケーキとかいらない」
廉「ほな無しな」
そう言ってたのに。
部屋に入ると、テーブルの上に小さな箱。
〇〇「……なにこれ」
廉「知らん」
絶対嘘。
開けると、小さなシルバーのブレスレット。
派手じゃない。
細くて、シンプル。
廉「撮られてもバレへんやつ」
〇〇、少し笑う。
〇〇「そこ大事なんだ」
廉「当たり前やろ」
少し真面目な顔になる。
廉「5ヶ月やで?」
〇〇「うん」
廉「早いな」
〇〇「うん」
廉「でもな」
少しだけ声が低くなる。
廉「やっと5ヶ月や」
〇〇、意味を理解する。
廉「まだ足りへん」
〇〇「何が」
廉「一緒におる時間」
静かに胸が熱くなる。
〇〇「私も」
その夜は外食もせず、
コンビニのケーキを半分こ。
派手じゃない。
でも、
“ちゃんと続いてる”って実感した日。
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【初めての旅行】
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ひとつき戻って付き合って4ヶ月目。
急遽できた2日間のオフ。
人目を避けて、地方の温泉地。
新幹線の中。
〇〇「旅行って緊張する」
廉「なんで」
〇〇「ずっと一緒だよ?」
廉「嫌なん?」
〇〇「違う」
照れ笑い。
旅館の部屋。
畳。静かな空気。
〇〇が窓を開ける。
〇〇「静かだね」
廉「東京と全然ちゃうな」
夜。
浴衣姿。
〇〇「似合う?」
廉、固まる。
廉「可愛すぎやろ」
〇〇「やめて」
廉「ほんまに」
その夜、布団を並べて寝た。
消灯後。
〇〇「ねえ」
廉「ん?」
〇〇「旅行ってさ」
廉「うん」
〇〇「別れるカップルも多いらしいよ」
廉、笑う。
廉「俺らは?」
〇〇「分かんない」
廉、横向く。
廉「俺は、もっと好きなった」
静かな告白。
〇〇の手を握る。
廉「素の〇〇、ずっと見てたい」
〇〇は少し泣いた。
嬉しくて。
怖くて。
でもあの旅行で、
“恋”が一段階深くなった。
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【大きな不安が来る夜】
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5ヶ月目直前。
映画の撮影が始まった。
共演者との距離が近い役。
ネットに出たオフショット。
〇〇は平気な顔をした。
でも。
夜、廉の部屋で静かになる。
廉「どうした」
〇〇「……なんでもない」
廉「嘘」
〇〇「私、さ」
言葉が詰まる。
〇〇「いつか廉の足引っ張らないかな」
廉、眉が動く。
廉「どういう意味」
〇〇「私がいることで、選択肢減ったりしない?」
静かな不安。
廉は少し怒った顔になる。
廉「誰がそんなこと言うた」
〇〇「誰も言ってない」
廉「ほな何で思う」
〇〇「……怖いから」
沈黙。
廉はゆっくり近づいて、
〇〇の顔を両手で包む。
廉「聞け」
真っ直ぐな目。
廉「俺が選んどる」
〇〇の呼吸が止まる。
廉「お前を」
〇〇「……」
廉「足枷ちゃう。支えや」
涙が落ちる。
〇〇「でも」
廉「でももない」
少し強い声。
廉「俺の人生や。俺が決める」
〇〇はその夜、
久しぶりに長く泣いた。
廉は何も言わず、抱きしめてた。
不安は消えない。
でも、
“2人で向き合う”って決めた夜だった。
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この一緒に過ごした5ヶ月。
甘いだけじゃない。
でも、
逃げなかった5ヶ月間。
ーーーーー
そして今日。
6ヶ月目前夜 23:00
都内・完全個室の和食店
店の前で足が止まる。
先に入っていく三人の後ろ姿。
〇〇が小さく息を吸う。
廉も気づく。
廉「……風磨たち?」
〇〇「うん」
振り返ったのは風磨。
目が合う。
風磨「え、なに偶然」
樹も振り向く。
樹「うわ、まじ?」
そして最後に。
ゆっくり振り向く北斗。
一瞬だけ目が合う。
でもすぐ逸らす。
風磨「入れよ。どうせ個室だろ」
樹「5人いけるって」
〇〇、少し迷って。
廉を見る。
廉は小さく頷く。
廉「せっかくやしな」
広めの個室。
テーブルを繋げて5人。
最初の空気は少しだけ固い。
でも。
樹がすぐ崩す。
樹「乾杯しよーぜ。偶然に」
風磨「意味わかんねー」
廉「まあええやろ」
北斗も静かにグラスを持つ。
北斗「……乾杯」
軽く音が鳴る。
そこからは、意外と普通だった。
風磨「〇〇最近バラエティ出すぎだろ」
〇〇「やだ?」
風磨「天然バレるぞ」
〇〇「元からばれてんだよ」
廉「それは否定せえ」
樹が笑う。
樹「こいつマジで台本読まずにボケるからな」
〇〇「読んでる!」
わいわい。
料理が運ばれる。
天ぷらに刺身、鍋。
廉「これうま」
〇〇「ちょっとちょうだい」
自然に皿を寄せる。
それを見て風磨がニヤニヤ。
風磨「普通に彼氏彼女だな」
廉「当たり前」
照れない。
隠さない。
空気は、軽い。
樹はひたすら食べる。
風磨はずっと喋ってる。
〇〇も笑ってる。
廉も楽しそう。
――北斗以外。
北斗は、ちゃんと笑っている。
話も振る。
北斗「最近どうなの?」
廉「ぼちぼち」
〇〇「忙しそうだよね」
北斗「そっちも」
視線は穏やか。
でも。
〇〇が笑うたび。
廉が自然に触れるたび。
その手元に、ほんの一瞬だけ視線が落ちる。
すぐ戻す。
誰も気づかない。
2杯目。
お酒が回る。
〇〇の頬が赤くなる。
〇〇「久しぶりにこうやって集まったね」
樹「たしかに」
風磨「平和すぎる」
廉「ええことや」
北斗、静かに頷く。
北斗「平和が一番」
優しい声。
嘘じゃない。
本音でもある。
でも。
北斗のグラスだけ、少し減りが早い。
〇〇は笑う。
廉がそれを見る。
その視線はまっすぐ。
迷いがない。
北斗はそれを横目で見て。
一瞬だけ、息を飲む。
でも。
次の瞬間。
北斗「樹、鍋焦げてる」
樹「うわ、やべ」
風磨「お前見てろよ」
また笑い。
空気は明るい。
誰も重くならない。
ただ一人の胸の奥だけ、少し静かなだけ。
時間は23:58。
樹「あと2分で6ヶ月じゃん?」
〇〇「やめてカウントしないで」
廉「ええやろ」
風磨「はいカウントダウンします」
〇〇「やだって!」
笑い。
北斗も、ちゃんと笑う。
00:00。
樹「おめでとー」
風磨「半年目!」
廉、〇〇を見る。
廉「これからもな」
〇〇「うん」
短い会話。
でも深い。
北斗はグラスを持ち上げる。
北斗「おめでと」
穏やかな声。
誰よりも自然に。
〇〇は少しだけ目を合わせる。
「ありがとう!」
それだけ。
夜はそのまま、普通に続いていく。
笑って、食べて、飲んで。
何も壊れない。
何も暴かれない。
ただ。
北斗の胸の奥だけが、静かに疼いていた。
ーー
〇〇はお酒が弱い。
3杯目で、もう頬が真っ赤。
風磨「お前もう無理だろ」
〇〇「だいじょぶ〜」
全然大丈夫じゃない。
廉「水飲め」
〇〇「やだ」
樹が笑う。
樹「完全に酔っ払い」
北斗は静かに見ている。
ちゃんと笑ってる。
でも視線は細かく〇〇を追っている。
〇〇、ふと廉の顔をじっと見る。
廉「なんや」
〇〇「……かっこいい」
一瞬、全員止まる。
風磨「はい?」
樹「急だな」
廉「やめて//」
照れてる。
でも少し嬉しそう。
〇〇はさらに近づく。
〇〇「いつも優しいし」
廉「酔ってるな」
〇〇「んー……」
次の瞬間。
〇〇が廉の肩を掴んで。
そのまま、ちゅっと。
本当に一瞬。
唇に軽く触れるだけ。
静まり返る個室。
樹「え」
風磨「おいおいおい」
廉、完全に固まる。
廉「……は?」
〇〇は満足そうに笑う。
〇〇「好き」
空気が爆発しそうになる。
北斗は。
グラスを持つ手が、一瞬だけ止まる。
でも。
すぐに口元を緩める。
北斗「大胆」
低く、落ち着いた声。
風磨「酔わせたの誰だよ」
樹「自爆だろこれ」
廉はまだ赤い。
廉「〇〇……外やで」
〇〇「個室だよ?」
完全に酔ってる。
廉がそっと肩を抱く。
廉「もう飲むな」
〇〇「はーい」
素直。
そのやり取りを。
北斗はちゃんと見てる。
ちゃんと笑ってる。
何も壊さない顔で。
風磨「記念日に公開イチャイチャすんな」
樹「ごちそうさま」
廉「ちゃうやろ!」
〇〇は廉の腕にくっついたまま。
幸せそう。
無防備。
北斗は視線を落とす。
ほんの一瞬。
そしてまた顔を上げる。
北斗「水、持ってくる」
立ち上がる。
誰も止めない。
ただの気遣いに見える。
扉が閉まる。
廊下に出た瞬間。
北斗の表情が、少しだけ消える。
深呼吸。
でもすぐ戻る。
水を持って。
何もなかった顔で。
北斗「はい」
〇〇「ありがと」
無邪気な笑顔。
北斗は優しく笑う。
北斗「飲め」
その声は、やっぱり優しかった。
ーーーーーーーーーーーーー
北斗side
〇〇と廉が6ヶ月を重ねてきた間、
誰にも見せなかった北斗の時間。
静かに、淡々と。
でも確実に積み重なった6ヶ月。
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【2ヶ月3週間目】
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現場で久しぶりに会う。
〇〇はいつも通り。
天然で、笑ってて、台本持ってて。
でも、ほんの少しだけ柔らかい。
ああ、恋してる顔だ。
北斗「最近調子いいな」
〇〇「え?そう?」
北斗「うん」
それ以上は聞かない。
聞けない。
楽屋で一人になったとき、鏡を見る。
「まだ大丈夫」
誰に言ってるのか分からない言葉。
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【3ヶ月目】
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樹に言われる。
樹「まだ好きだろ」
北斗「さあ」
樹「隠すなよ」
北斗は笑う。
北斗「隠してない」
本当は。
好きって言葉が重くなってきてた。
奪いたいわけじゃない。
壊したいわけでもない。
でも。
手を伸ばしたら触れられる距離にいるのが、一番きつい。
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【4ヶ月目】
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〇〇が夜に電話してきた日。
「廉が忙しくて寂しいかも」
一瞬。
心臓が跳ねる。
でも。
北斗「そっか」
それだけ。
背中を押す側。
それが自分の立ち位置。
電話を切ったあと。
5分間、その場から動けなかった。
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【5ヶ月目】
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映画を見に行った話を聞いた。
〇〇「楽しかった」
北斗「よかったじゃん」
ちゃんと笑えた。
でも帰り道。
イヤホンから流れてきたラブソングで、なぜか歩くのをやめた。
別に涙も出ない。
ただ。
「ああ、続いてるんだ」
そう思った。
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【6ヶ月目前夜】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
個室。
笑ってる〇〇。
関西弁でまっすぐ言う廉。
テーブルの下で繋がる手。
急にキスした瞬間。
世界は止まらなかった。
壊れもしなかった。
ただ。
胸の奥が、静かに締まった。
北斗は笑った。
ちゃんと祝った。
「おめでと」
それは本音。
本気で壊したくない。
本気で幸せでいてほしい。
でも。
もし。
もしも。
って思う自分も、まだ消えてない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この6ヶ月、北斗は一度も告白してない。
奪おうともしてない。
ただ。
隣にいない自分を、毎回確認してきただけ。
そして今。
まだ好き。
でも。
壊さない。
これが北斗の6ヶ月。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから日も経つ。
〇〇、廉side
7ヶ月目。
映画「消えゆく君のために、僕は笑っていよう」が想像以上の大ヒット。
舞台挨拶、特番、海外配信インタビュー。
廉も連ドラ決定。
〇〇はCMと主演作が重なり、ほぼ休みなし。
最初は誇らしかった。
廉「すごいやん」
〇〇「そっちもね」
でも。
会えない。
1週間。
2週間。
気づけば3週間。
電話も短い。
廉「今から打ち合わせ」
〇〇「もうすぐ入り時間」
すれ違い。
夜0:32。
〇〇がやっと帰宅。
スマホを見る。
未読なし。
既読も少ない。
「おつかれ」
それだけ。
前はもっと長かった。
“今日こんなことあってさ”
“会いたいな”
今はない。
ベッドに倒れ込む。
天井を見る。
忙しいのは分かってる。
自分も同じ。
でも。
胸が空く。
翌日、現場。
スタッフに囲まれて、ライトの下で笑う。
監督「やっぱり現場の〇〇は強いね」
やりがい。
拍手。
評価。
その瞬間は満たされる。
“必要とされてる”
夜。
廉から電話。
廉「ごめん、今日も無理や」
〇〇「うん」
廉「来週なら…いや分からん」
〇〇「そっか」
沈黙。
廉「寂しい?」
〇〇、少し考える。
「ううん」
嘘。
廉も分かってる。
でも言葉にしない。
守るために仕事を優先してる。
でもそれが距離になる。
ーーーーーーーーー
8ヶ月目前。
もう1ヶ月近く、ちゃんと会ってない。
〇〇はふと気づく。
仕事は楽しい。
やりがいがある。
現場は温かい。
拍手も評価もある。
でも。
恋は?
最近、ドキドキしてない。
会いたいって泣きそうになる感じも薄れてる。
それが怖い。
ある夜。
メイクを落としながら鏡を見る。
「私、平気なのかな」
忙しさが、気持ちを薄めてない?
廉は電話の向こうで疲れてる。
廉「もう少し落ち着いたら」
その“もう少し”が見えない。
その頃。
北斗と番組で一緒になる。
久しぶり。
北斗「久しぶり」
〇〇「ほんとだね」
自然に話せる。
何も考えなくていい距離。
収録後。
北斗「痩せた?」
〇〇「そう?」
北斗「無理すんな」
その一言で、胸がじわっとする。
言ってほしかった言葉。
求めてた温度。
帰りの車。
〇〇は思う。
“恋って、頑張るものだっけ”
仕事は努力すれば返ってくる。
恋は?
会えないまま続ける意味って?
7ヶ月目。
浮気も疑惑もない。
ただ。
すれ違い。
そして。
仕事の方が、今は充実してる。
そっちの方が楽しい。
ーーーーーーーーーーーーーー
〇〇side
とある日。
7ヶ月目後半。
会えていない日々が続いてる。
timeleszの楽屋。
〇〇はソファで体育座り。
風磨がすぐ気づく。
菊池「重い」
〇〇「うるさい」
勝利が静かに隣に座る。
佐藤「廉?」
〇〇は少し黙る。
松島「会えてないの?」
〇〇「うん」
橋本「どのくらい?」
〇〇「ちゃんと会ったの、1ヶ月以上前」
原「それはキツいな」
篠塚「電話は?」
〇〇「してるけど…」
寺西「けど?」
〇〇は膝をぎゅっと抱える。
〇〇「最近ね、寂しいより」
全員が見る。
〇〇「なんか、冷めてきてる気がする」
空気が止まる。
猪俣「え」
菊池「まじ?」
〇〇「分かんないよ?でも」
佐藤「廉のこと好き?」
すぐに答えられない。
〇〇「…好きだと思う」
“思う”がつく。
そうちゃんが優しく言う。
松島「仕事の方が楽しい?」
〇〇、頷く。
〇〇「現場の方が満たされる」
橋本「会わなすぎなんだよ」
原「恋は放置すると冷えるぞ」
しのが冷静に言う。
篠塚「それ、廉も同じかもしれないよ」
〇〇の胸が少し揺れる。
寺西「話せてる?」
〇〇「業務連絡みたい」
風磨が腕を組む。
菊池「廉は守るタイプだろ。忙しい時ほど自分削る」
〇〇「うん」
佐藤「でも〇〇は、削られてる側かもね」
その言葉が刺さる。
猪俣「会えば戻る可能性は?」
〇〇は考える。
最近の廉の声。
疲れてる。
優しい。
でも、遠い。
〇〇「分かんないよぉ」
静かな本音。
〇〇「会いたいって強く思わなくなってるのが怖い」
そうちゃんがそっと言う。
松島「冷めてるのか、疲れてるのか、ちゃんと見てあげなよ」
菊池「一回ちゃんと会え」
橋本「それで何も動かなかったら、その時考えろ」
佐藤「逃げるなよ」
〇〇は小さく笑う。
〇〇「逃げてない」
でも。
胸は静かすぎる。
その夜。
廉からLINE。
“来週いけるかも”
前なら飛び跳ねてた。
今は。
少し画面を見つめて。
「うん、分かった」
送信。
既読がつく。
胸は、あまり揺れない。
8ヶ月目前。
大きな喧嘩もない。
浮気もない。
ただ、温度が下がってる。
ーーーーーーーーー
8ヶ月目前。
やっと予定が合った日。
都内のマンション。
久しぶりに会う。
インターホンが鳴る。
廉が出る。
廉「久しぶりやな」
笑う。
優しい顔。
変わってない。
〇〇も笑う。
〇〇「うん」
部屋に入る。
前と同じ匂い。
前と同じソファ。
前と同じ距離。
でも。
胸が、静か。
廉が隣に座る。
廉「痩せた?」
〇〇「そう?」
廉が手を伸ばして、頬に触れる。
前なら。
それだけで心臓が跳ねた。
今は。
あ、触れられてる。
それだけ。
廉「会いたかった」
まっすぐな声。
〇〇は、少し間が空く。
〇〇「…うん」
嘘じゃない。
でも。
爆発する感情もない。
沈黙。
廉が抱き寄せる。
温かい。
安心する。
でも。
なんだか不思議でドキドキしない。
その事実に、〇〇の方が動揺する。
廉「なんかあった?」
鋭い。
〇〇は視線を落とす。
〇〇「ねぇ」
声が少し小さい。
廉「ん?」
〇〇「私、最近」
言葉が詰まる。
でも逃げない。
〇〇「冷めてきてるかもしれない」
空気が止まる。
廉の腕が、少しだけ固くなる。
廉「…誰かおるん?」
〇〇「いない」
即答。
それは本当。
廉「じゃあなんで」
〇〇は正直に言う。
〇〇「会えてない間に、平気になってきた」
廉の顔が揺れる。
〇〇「前は、会えないの辛かった。でも最近は」
言葉を探す。
〇〇「仕事してる方が満たされてる」
正直すぎる。
でも嘘はつけない。
廉は黙る。
怒らない。
責めない。
ただ、静かに息を吐く。
廉「俺のせいやな」
〇〇「違う!」
廉「守る言うて、距離取ってた」
図星。
〇〇の胸が痛む。
〇〇「嫌いになったわけじゃない」
廉「でも熱は下がってる」
〇〇、頷けない。
でも否定もできない。
沈黙が重い。
廉がぽつり。
廉「俺は…それでも〇〇のこと好きやけど」
〇〇は視線をそらす。
〇〇「ごめん…今は、仕事の方が強い。今は仕事がしたい」
廉「……そうか」
静かな空気。
前なら胸がギュッとなっていたはず。
今は、ただ受け止めるだけ。
廉「わかった。無理には会わへん」
〇〇「ありがとう」
その瞬間、2人の距離は近いのに、心の中は遠い。
廉は小さく息を吐く。
廉「でも、俺は待つで」
〇〇「……うん」
笑顔は作る。
でも、ドキドキはない。
それが今の現実。
仕事の充実が、恋の熱を押し上げていた感情を静めている。
〇〇は仕事に全力で向かうことを選んだ。
廉はただ、静かに見守るしかない。
その夜、マンションは二人だけ。
でも、沈黙の重さが、言葉以上に距離を作っていた。
北斗なら、間違いなく胸が痛むだろう。
〇〇はそれを知らない。
今はただ、仕事を優先する――それだけの夜。
ーーーーーーー
次の日🌙
〇〇は風磨、樹、北斗とご飯を食べることに。
夜19:30。
個室居酒屋の小さな丸テーブル。
〇〇は焼き鳥を箸でつまみながら、少し俯く。
北斗は横に座ってスマホを触りながらも、視線は〇〇に向いている。
風磨と樹は向かい合わせ。
樹「昨日、廉と会ったんだよな」
〇〇「うん」
風磨「どうだった?」
〇〇、言葉を選ぶようにゆっくり話す。
〇〇「…うまくいかなかった」
北斗「……は?」
〇〇「会えない時間が長すぎて、私の気持ちがよく分からなくなってきた」
樹「気持ちが…?」
〇〇は箸を置く。
〇〇「仕事の方が強くなっちゃって。会いたい気持ちもあるけど、仕事してる時の方が楽しいって思っちゃう」
北斗、無言で小さく眉をひそめる。
風磨がすぐに反応。
風磨「それ、冷めてるってこと?」
〇〇「分かんない。嫌いになったわけじゃない。でも、今は恋より仕事が優先で…」
樹「で、どうしたいの?」
〇〇は視線を下げたまま、ぽつり。
〇〇「迷ってる。別れるべきなのか、このまま続けるべきなのか」
北斗「……〇〇」
声は少し低く、静か。
北斗「正直に言え。それが一番自分のため」
〇〇、少し笑う。
〇〇「正直に言ったら、今は廉より仕事の方が大事。だけど…嫌いじゃない」
風磨がため息をつく。
風磨「嫌いじゃないなら、無理に終わらせる必要はない。でも、自分の気持ちに嘘はつくな」
樹「無理に恋愛優先しても疲れるだけ」
〇〇「でも…このままだと、自然に気持ちが冷めちゃうかも」
北斗は視線を落とす。
北斗「そしたら…その冷めるのが本当に自然なものか、今だけの感情か、ちゃんと見極めるしかない」
〇〇「うん…」
目に少し涙をためながら、表情は落ち着けようとする。
風磨「じゃあ、焦らず自分と向き合え。答えは後で出せばいいこと」
〇〇は小さくうなずく。
〇〇「ありがとう、みんな…」
丸テーブルの上で、焼き鳥を箸でつまみ直す。
でも心の中は重く、静かに揺れている。
北斗も樹も風磨も、言葉は多くない。
ただ、〇〇が正直でいられるよう、見守るだけ。
この夜は、まだ決断は出ない。
でも〇〇は初めて、心の迷いを仲間に打ち明けた夜になった。
ーーーーーーー
夜22:30。
みんなと別れてから〇〇は帰宅せず、近くの小さなカフェに腰を落ち着ける。
スマホの画面に何度も廉の名前が出てくる。
〇〇(心の中)
「…別れた方がいいのかな。会えないまま続けてても、私、冷めちゃったし」
でも、指先はスマホを離れない。
手が震える。
〇〇「いや、でも…嫌いじゃない。好きだと思う。でも、ドキドキは…もう…」
ふとカフェの窓の外を見る。
夜の街灯が反射して、自分の顔を映す。
涙は出てない。
でも胸の奥が重い。
北斗、風磨、樹に話した夜が思い出される。
みんな、ただ静かに見守ってくれた。
「焦らず、自分と向き合え」
「答えは後で出せばいい」
〇〇(心の中)
「…自分で決めなきゃ」
でも、どう決めればいいのか分からない。
好きだけど、会えない。
会えないから冷めたのか、冷めたから会えないのか。
答えがぐるぐる回る。
カフェの椅子に深く座り直す。
注文した紅茶も手つかず。
誰もいない夜、時計の針だけが進む。
〇〇「…廉、どう思ってるんだろ」
不安が胸を締め付ける。
仕事は充実している。
でも、恋は…止まったまま。
〇〇「…やっぱり、ちゃんと会って話さなきゃ」
決意と不安が混ざる。
手元のスマホを握りしめ、深呼吸。
その瞬間、〇〇は自分に言い聞かせる。
「別れるか続けるか、答えは今日、決める」
夜の街の静けさが、心の揺れをさらに際立たせる。
でも、もう逃げられない。
好きだけど冷めかけている――
その答えを、自分の手で確かめる夜が始まった。
🌉
夜23:15。
〇〇はカフェを出て、少しだけ歩く。
冷たい夜風が肌に触れるたび、胸の奥がキュッと痛む。
〇〇(心の中)
「…怖い。冷めていく自分が怖い」
涙が止まらない。
スマホの画面を何度も見つめる。
廉の名前。
通知はない。
会えない日々。
短い電話。
すれ違い続きの現実。
〇〇「…もう、どうしたらいいの」
歩きながら、涙を拭く。
でも、止まらない。
感情はぐちゃぐちゃで、頭では冷静になろうとするけど、胸は張り裂けそう。
〇〇(心の中)
「好きなのに…好きなのに…なのに、会えない時間で、気持ちが薄れていく」
泣きながら、〇〇は決める。
もう逃げたくない。
自分の気持ちに正直に向き合うために。
―――
翌日。
廉に電話をかける。
廉「もしもし、〇〇」
〇〇「廉…」
声が震える。
廉「どうしたん?」
〇〇「…話、したい」
静かな沈黙のあと、〇〇は小さく息を吸い込む。
〇〇「…私、別れたい」
廉「……は?」
声が少し硬い。
〇〇「会えない日々で、私の気持ちが薄れてしまったのね。嫌いになったわけじゃない。好きなのは本当。けど…冷めていくのが怖い」
廉、黙る。
〇〇の声が続く。
〇〇「だから…2人のためにも、今ここで終わらせたい」
廉「……そうか」
しばらく沈黙。
そして、低くゆっくりと。
廉「…わかった」
〇〇「ごめん」
廉「謝ることなんてない。〇〇が正直に思ってることなら、それでええ」
涙が溢れる。
電話越しに聞こえる廉の声に、少し救われる気がする。
〇〇「…ありがとう、今まで」
廉「こちらこそ、ありがとう。楽しかった」
電話を切る前、二人とも深呼吸する。
心にぽっかりと穴が空くけど、同時に少し軽くなる感覚もある。
―――
夜。
〇〇はベッドに横たわる。
涙のあと、少し落ち着く。
〇〇(心の中)
「冷めていく自分を恐れてた。でも、これが正しい答えかもしれない」
過去の幸せな時間、手を繋いだ日々、笑い合った日々。
全部大切だった。
でも、未来を考えた時、今は恋より仕事を優先すべき自分がいた。
〇〇(心の中)
「またいつか、笑顔で会える日が来るかもしれない。その時は友達として、支えられる私でいよう」
涙はまだ乾かないけど、心は少しずつ落ち着いていく。
―――
こうして、7ヶ月半の交際は静かに幕を閉じる。
別れは辛いけれど、二人にとって最善の選択だった。
〇〇は仕事に集中できる未来を、廉は新しい道を、それぞれ歩み始める。
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夜0:15。
〇〇はベッドに座り込み、涙が止まらない。
スマホを手に握りしめる。
〇〇(心の中)
「…誰かに話さなきゃ、壊れそう」
画面に映る名前。
風磨。
深呼吸。
電話をかける。
プルルルル…
風磨「もしもし、〇〇?」
〇〇「……風磨、聞いて…」
涙声で、言葉が途切れ途切れになる。
〇〇「私…別れた…廉と…」
風磨「……そうか」
静かな声。
でも温かい。
〇〇「理由は…会えなくて…冷めちゃった…仕事の方が強くなっちゃった」
嗚咽交じりに話す。
風磨「うん…分かった」
落ち着いた声で、でも寄り添うように。
〇〇「ごめん、私、嫌いになったわけじゃないのに…」
泣きながら打ち明ける。
〇〇「冷めていくのが怖かった…でも、もう戻れない気がする」
風磨「…うん」
深く息を吐く。
そして少し笑いながら、提案する。
風磨「分かった。じゃあさ、次のオフの日にみんなでご飯行こう」
〇〇「…え?」
風磨「timeleszとSixTONESで」
〇〇「みんな…?」
風磨「そう。廉と付き合う前に相談したメンバー全員で。〇〇が元気出るように、励ます会!」
〇〇、涙をぬぐいながら少し笑う。
〇〇「…ありがとう、風磨」
風磨「大丈夫、俺らみんなお前の味方」
コメント
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やばい、今まで読んできた中で1番ドンピシャ。 読んでると、自分まで泣けてきちゃって、ちゃんと恋愛してんだなぁ、って思える