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翌日の午前中、特産品ショップFortress の店内。入り口から北野が入って来る。
智花「あら、北野さん。久しぶりね」
倫「北野君、市役所に言っといておくれよ。出向の人、早くしてくれって」
北野がスーツの上着の内ポケットから紙を取り出して皆に見せる。
北野「はあ、実は僕がその出向の職員なんです」
瑠美「ほんとだ、辞令って書いてある」
沙羅「北野ならこの仕事慣れてるから、最初からいけるな」
北野「あはは、最近職場で凡ミス連発しちゃってまして。課長から、民間の団体で修行して来いと言われちゃいました」
倫の目が、キラーンと光る。
倫「ねえ北野君。それ何かのロスってやつじゃないかい?」
北野「ロス?」
倫「何かを失くして心にポッカリ穴が開いたような気分だった、みたいな」
北野「そう言えば……」
瑠美、沙羅、智花の頭の上に電球マーク。
沙羅「例えば、誰かにずっと会えなくなって、とかさ」
瑠美「それそれ。何か心当たりない?」
智花が玲奈の背中を押して北野の方へ押し出す。玲奈は「?」という表情。
北野「そうか! ずっと会えなかったから、上の空になってたのか」
倫、智花、沙羅、瑠美の心の声
「誰に? 誰に?」
北野「みなさんに会えなかったからだったんですね」
倫、智花、沙羅、瑠美がずっこける。
玲奈「実はあたしもそのせいで調子狂ってたんですね」
智花の心の声
「お! 玲奈ちゃん、気づいたの?」
瑠美の心の声
「よし、玲奈、ここで決めろ!」
沙羅の心の声
「いいぞ、いっそ押し倒せ」
倫の心の声
「行け、玲奈ちゃん!」
玲奈「北野さんも含めて6人で、チバラキVだったんですね。だから何か物足りない感じだったのか」
倫、智花、沙羅、瑠美が再びずっこける。
4人の心の声
「なんじゃそりゃ!」
北野「ああ、さっそくなんですが、県立高校の新聞部がこの店を取材したいそうなんです。学校新聞に地元の名産品の特集したいとかで。受けていいですか?」
倫「え? ああ、そりゃ構わないけど」
北野「じゃあ、僕はこれから高校へ行って打ち合わせして来ます」
玲奈「おっと、あたしは老人ホームにお茶菓子届けに行かないと。それじゃ北野さん、また一緒にがんばりましょうね」
北野「はい、またよろしくお願いします。それでは」
玲奈と北野が去った後、うんざりした表情の4人。
瑠美「ええい! じれったいとか通り越して、ムカついてきたよ」
沙羅「オクテにも程があんだろ。きょうび中学生だってもっと色気づいてるぞ」
智花「まあ、こればっかりはご縁の物って言いますしねえ」
倫「当面は生暖かく見守ってやるしかないか」