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⏰ 第4話「時計塔の少年」
「……時間が、君を見つけた。」
彼の言葉が頭から離れなかった。
「ねえ」
「なに?」
「あなたは一体、誰なの?」
彼は少し黙ってから、窓の外を見た。
「僕の名前は――時雨(しぐれ)。」
「時雨……?」
「うん。でも、それだけ覚えておいて」
「それだけ?」
「今はね」
彼は笑った。
「それより、君は昨日のことを覚えてる?」
「……時計塔のこと?」
「そう」
「覚えてるよ。4階に行って……あなたに会った」
「じゃあ、これは?」
時雨が指を差した。
私の手の中にある――古い鍵。
「……これ?」
「昨日、君が僕に渡したものだよ」
「でも……」
私は鍵を見つめる。
「私、あなたに鍵を渡した覚えなんて――」
ズキッ。
また頭が痛くなった。
「っ……!」
一瞬だけ、映像が浮かぶ。
時計塔。
夕焼け。
そして――
時雨の隣に立つ、誰か。
顔は見えない。
でも、その人が私に向かって笑っている。
『また明日ね』
「……誰?」
「……」
時雨は答えなかった。
「時雨?」
「その人のことは、まだ思い出さなくていい」
「どうして?」
「思い出したら、君は――」
時雨が言葉を止める。
「……何?」
「いや」
彼は首を振った。
「なんでもない」
その瞬間。
カチッ。
教室の時計が17時17分を指した。
「……また?」
時雨が立ち上がる。
「透、帰って」
「え?」
「今すぐ」
「でも――」
「お願いだから」
その声は、今まで聞いたことがないくらい真剣だった。
私は鞄を持った。
そして教室の扉に手をかける。
「……時雨」
「なに?」
「また会える?」
時雨は少しだけ笑った。
「もちろん」
「約束?」
「……うん。約束」
私は教室を出た。
廊下を歩いていると――
後ろから、声が聞こえた。
「……今度こそ、忘れないで。」
私は振り返った。
でも、そこには誰もいなかった。
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その日の夜。
私は机の上に鍵を置いた。
「……なんなんだろう、これ」
鍵の裏側に、小さな文字が刻まれている。
今まで気づかなかった。
私は目を凝らした。
そこには――
『17:17』
と刻まれていた。
「……時計塔と同じ?」
そして、その下にはもう一つ。
小さな文字。
『透へ』
「…………え?」
私は息を止めた。
その鍵は――
私自身が、誰かに残したものだった。
第5話「透へ」
鍵に刻まれた「透へ」の文字。
そして、時雨が隠している「あの日」の秘密。
透が忘れてしまった記憶には、何があったのか――。
コメント
1件
第5話、読み終わりました。「透へ」の刻印、ゾッとしました……それで時雨が彼女に「まだ思い出さなくていい」って言ったんですね。鍵を受け渡した記憶がないのに、自分宛てに鍵を残している──この裏切られたような切なさと、でもだからこそ「今度こそ忘れないで」が深く刺さります。時雨と透の間にどんな約束があったのか、もう気になって仕方ないです。続き、待ってますね📘
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