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湯気の残る洗面所から、佐久間が出てくる。
髪はまだちょっと濡れてて、パジャマの襟元から覗くうなじが赤い。
タオルで拭きながらこっちに歩いてくるのを、俺はベッドの上から眺めてた。
💚「気持ちよかった?」
🩷「うん!でも阿部ちゃん先に出るの早かったじゃん。寂しかったー」
佐久間はそう言って俺の横にちょこんと座る。
まだ体が熱を帯びてるのかちょっとぼんやりしてる。
💚「ごめん。湯船ちょっと暑かったから。でも佐久間の髪ちゃんと乾かさないと風邪ひくよ?」
🩷「えー、乾かして〜」
甘えた声でタオルを渡してくるから俺は自然に受け取って優しくその髪を拭いてやる。
ふわふわした毛並みに指を通すと佐久間は気持ちよさそうに目を閉じた。
🩷「阿部ちゃん、やさしいね」
💚「好きな人には優しくしたいって思うよ」
🩷「ん、……それって俺のこと?」
💚「もちろん。佐久間のこと好きだから」
ゆっくりとタオルを畳みながらそう答える。
すると佐久間がふわっと笑って俺の胸に頭を預けてきた。
🩷「俺も、阿部ちゃんのことほんとに好きだよ」
その声がすごく真剣で。
思わず腕をまわして、そっと抱きしめた。
🩷「阿部ちゃんの声落ち着くから。眠くなってきちゃった」
💚「じゃあ寝ようか。髪、あとは俺が乾かすから」
🩷「うん…」
すっかり甘えきった声で佐久間は俺の胸元に顔をうずめた。
そのままうとうとし始める。
この静かな時間、心地よい距離。
言葉がなくても伝わる温度。
💚「おやすみ、佐久間」
小さくそう囁いて、額にそっとキスを落とした。