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怜  教祖様 ストーリー 妄想


短すぎる話








怜は生まれつき体は強い子だった


そんな怜が体調を崩し始めたのは教祖様として皆の前に立ち始めた頃だった


母はそれを病気の子達の病気を吸い取って上げてると言う


その証拠に怜の元へと助けを求め、縋り付いてきた病気の子は全員が皆健康になっているのだ


このまま死んでしまった方が楽なのでは?そう思った事も何度もあった


その度に母は泣き、「そんな事をしたら狐様はなんと仰るのかな」と母は言う


その度に怜は泣く母を慰める


「可哀想に…泣かないで、大丈夫です、貴女も彼も皆幸せに天国に行ける、にっと一緒に行けますから」


いつもの怜からは考えられない優しい口調で自身が辛いのも抑え、母にそう言う


そんなある日、寺院に訪れた一人の少年がいた


どうやら心臓が悪いみたいだ


父はその少年を怜の元へと導く


「大丈夫、教祖様を信じて、信じる者は皆救われる、皆で幸せになろう」


その少年は父がそのセリフを言い終わるまでの間もずっと咳き込み、手のひらには血が溜まっていた


父が部屋をノックし、部屋へと入ってくる


あぁ、また可哀想な子が来た


そうとしか思えなかった、そう言う怜も可哀想な子の一人ではないのか?


そんな事実には目を瞑る事にした


「君は心臓が悪い子だよね、だいぶ悪化してるみたい…大丈夫、俺が救ってあげる」


「このぐらい大丈夫と言って壊れて行く人を俺は何人も見てきた、心が弱い人は皆そう」


「神もこう仰ってるよ、「「苦しい時に我慢してしまっては幸福は遠ざかるばかりですよ、気持ちは正直に打ち明けてみなさい」」と」


そう言っては白いカーテン越しにその少年の手を握ってやる


本当は神の声なんて聞こえた事もない


そもそも神は狐だ、喋る事さえありえないのに


あぁ可哀想に、手がこんなにもやせ細ってる


顔は見えなくとも手だけで相手がどんな風なのかはある程度分かる


「皆の幸せが俺の幸せ、だから俺が全部受け止める」


しばらくその少年はぽかんとした顔を浮かべたかと思うとゆっくりと震える手で口を開いた


「教祖様だって辛いでしょ…?」


「もっと好きな事したいでしょ?友達と遊んだりしたいでしょ?寝る時間も惜しんで色々してさ…そんなのずっと続いたらいつか教祖様だって…」


そこで少年は口を閉じた


俺が壊れるとでも言いたいのか?


そのまま次に怜が口を開ける事なくこの会話は終了した


不思議と悪い気持ちはしなかった


なんなら少し何故か悲しい気持ちもあった


それが何故なのかは分からなかった


そんなある日、人前に出て舞をするという伝統文化の日が訪れた


綺麗な着物を着て、扇子を持ち、舞をする


それを見に来た周りの人々は美しいだの、変わらずお綺麗だの、怜には似ても似つかない言葉を吐く


「教祖様と共に在る事が極楽そのものよ」


正直言ってそんな言葉が耳に入ってきた時は反吐がでそうになった


舞も後半に入り、無心でただ扇子を振る


周りからはやれ、今こちらに笑いかけてくださったぞなんて言葉が聞こえてくる


そんな言葉に耳を塞ぐように少し前の事を思い出す


あの少年から言われた言葉を何度も頭の中で復唱する


何故だか知らないがそれを頭の中で復唱する度に涙が出てくる


それを信者は美しいモノだと勘違いする


「教祖様、お声をお聞かせくださいな」


「教祖様、その涙を私に」


「教祖様、わたくしめにもお慈悲を」


あぁ、もう何が正解か分からない


そんな中で美しく、綺麗に扇子を振り、舞を舞う


怜に向かって右から左へと流れる風さえも信者は美しく綺麗に思えた







オワリ




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