テラーノベル
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皆で酒呑む話
「よ~し!今日は呑むぞ~!」
お盆休みに入った今日、久々に4人ゆっくりと過ごせる時間ができた
自分はマンハッタンをボトルごと持ってきてはウィスキーグラスに注ぎ豪快に呑む
自分は酒にだいぶと強い、このぐらいで潰れる事はないだろう
マンハッタンとはウィスキーベースのカクテルだがスイートベルモットを使用しているため甘口な味わいが特徴的でありビターズも使用しているので甘さの中にほろ苦さとハーバルの香りを感じることができ、アルコール度数は27℃~35℃とかなり強めのウィスキーとされている
酒言葉は「切ない気持ち」
紗知はと言うとカクテルのギムレットをゆっくりと少しずつ呑んでいる
紗知が自分と出会った時は未成年だったのにもう成人したのか…と内心少し懐かしい気持ちになった
ゆっくりと呑んでいると思っていた紗知もいつもよりかはペースが早い
もう次を注いでいる
ギムレットとは蒸留酒のジンとライムジュースをシェイクしたショートカクテルであり、アルコール度数は29℃~35℃ほどで酒が弱い人は気をつけなければならない
酒言葉は「遠い人を想う」
怜はと言うと手にカミカゼという名のカクテルは持っているものの一口も口をつけていない
おそらく、皆が寝てから一人で楽しむ予定なのだろう
カミカゼとはウォッカをベースにした中辛のストロングな味わいでホワイトキュラソーのほんのりとした苦みと爽やかなライムの香りをプラスしてあるキリッとシャープな大人の味のカクテルだ
カミカゼのアルコール度数は25℃を越えるため、これも酒が弱い人は気をつけなければならない
酒言葉は「あなたを救う」
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(皆美味そ~に酒呑むな…)
テーブルの上に大量に置かれた酒のアテ
それをただひたすら食べながら皆の話を淡々と聞く
(少しだけなら…酒…呑んでもいいよな? )
そう思ってはこっそりと紗知のカクテルに手を伸ばす
その瞬間だった
紗知がアズの腕を思いっきり掴みあげる
馬鹿力の紗知に腕を掴みあげられると流石に痛い
骨が悲鳴を上げてるのがはっきりと聞こえてくる
「アズ、駄目ですよ、未成年ですよね」
これは本気の目だ
他の二人も真剣な目でこちらを見ている
正直、黒美とかはノリで許してくれると思っていた
「じょ…冗談だから…な?」
そう声を絞り出してはなんとかその場を乗り切る
するとすぐに紗知がこちらに話しかけてきた
「アズ…すいません、手痛めてないですか?」
しどろもどろしながらこちらに話しかけてくる紗知に申し訳なくなってしまった
謝らないで、そう言おうとしたがその前に紗知が口を開いた
「いや、その…皆が酒呑んでる中一人だけジュースとかだったら酒気になるのも仕方ないですよね… 」
「アズの気持ち考えてなかったです…でもそれよりも私的には酒呑むアズがすっごい解釈違いで…」
お茶とかコーラとかが似合うと色々言われたが正直、そうやって自分が悪いのに紗知が謝ってくれたのが物凄く嬉しく気持ちが上がってしまった
そんな事があってから2時間ほど経っただろうか
紗知や黒美がいい感じに酔いが回り始めた時、もうそろそろお開きにしようという事になった
お盆休みのため一週間ほどの休みはある
明日もゆっくり出来るから紗知も黒美もこれほど呑んでいるのだろう
紗知は少し余った残りのカクテルを持っては自室へと戻っていく
それについて行くかのように自分も紗知の後ろを歩く
紗知が自室の扉を開けるのを見ては自分も自室の扉を開け入ろうとしようとすると後ろから声をかけられた
「アズ、良かったら部屋、入ります?」
そう声をかけられては少し驚くもたまにはいいかと自分を許し紗知の部屋へと入ってしまった
部屋に入ると一番最初に目に入ったのは部屋の隅まで広がる大量の本や薬品だった
そんな光景に目を取られている自分を気にもとめずにベッドへと座る紗知に慌ててこちらもその場へと座る
「他の二人には絶対内緒ですからね」
そう言っては目の前でまるでバーテンダーのようにどこからともなく出てきたシェイカーにジンやライムを入れ振る
それを華麗にカクテルグラスへと注いではこちらに差し出してくる
あぁそうだ、この人一応お嬢様的な家庭で育ったからこういうことも慣れてるんだろうな…
そう勝手に思っては差し出されたのを見詰める
「ノンアルですから、酔う事はないと思いますよ」
少し喋りながら呑みましょうよ、と最初の頃からは考えられない様子で喋りかけては酒を嗜む紗知を横目に作ってくれたものに口をつける
相変わらず無愛想で自分の前ではあまり笑うことはないがこんな風に誘ってくれただけでも嬉しい
そんな事を思いながらさっきから少し気になっていた事を紗知に聞いてみる
「なぁ、これってなんていうカクテルなんだ?」
カクテルグラスをじっと見詰める自分に紗知はこちらを見ずに口を開く
「あぁ、それはジントニックって言う本来なら中辛のカクテルですよ」
ジントニックとはジンとライムの爽やかな香り、トニックのほのかな甘みとキリっとした苦味でスッキリ飲みやすい味わいの酒である
アズ自身が呑んでいるのはノンアルだが本来ならジン単体のアルコール度数は40℃を越えるがそれをトニックウォーターなどで割ることで5~10℃にへと下がるので基本的には呑みやすい酒となっている
酒言葉は「強い意志」
聞いた事のない酒の種類を言われては少しぽかんとしている自分をチラッと見ては「20歳になってから酒は知っていったらいいんですよ」と声をかけられそれにも少し笑みが零れた
2人ともグラスの中身が無くなったタイミングで紗知がまた声をかけてきた
「最後にこれでも呑みますか」
そう言って出てきたのはまたもや知らない酒だった
「これはクローバーナイトという酒でして…」
そう言ってはまたもや華麗にシェイカーを振る
クローバーナイトとはベイリーズ・アイリッシュ・クリームをベースにした甘口のカクテルであり、カカオとバニラの風味が特徴で、こってりとした甘さが楽しめる酒だ
アルコール度数は17℃であり、優しく呑める酒でも有名とされている
「一杯ぐらいならバレませんよ、きっと」
そう言って差し出されたそれは物凄いアルコールの匂いがした
少しならいいかと、呑めなさそうだったら紗知に上げればいいかと、そんな考えでお互いにグラスを交わし口をつける
酒言葉は「幸福」
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「ねぇ~、怜は呑まないの?」
いつもより少しテンションが高いのかにこにことこちらに話しかけてくる黒美にはいはいと返事をしては自身の面に手をかけ外す
黒美だけならいいだろ、そんな考えで面を外してはテーブルへと置く
手に持っていたカミカゼという名の酒はもう既に少しぬるくなっておりそんな状態で静かに口につける
今日ぐらいはいいだろうと調子に乗り、どんどんと酒を次ぐ
それに黒美も乗ってきたのか、「一口ちょうだい!」とまるで幼い子供かのように自分が持っていた酒を奪い飲み干す
「いや、お前…それ中辛だぞ?」
そう言葉にした時にはもう遅かった、黒美は顔を顰めてはうぇ、と声を上げグラスをこちらに返す
はぁ、と軽くため息をつくがこんなノリは久々なためこちらも心が踊る
普段酒を呑まないせいかしばらくするとすぐに酔いが回ってきた
黒美は多少酔ってはいるものの適度に水を飲み、自分でなんとかしているから悪酔いなどは一切なかった
どこからともなく現れてきた夜狐花にはおそらく酒の匂いが強かったのだろう
物凄い顔をしては裂け目の中へと帰っていってしまった
「ねぇ~、怜?慣れてないのにそんなに呑むからそうなるんだよ?」
仕方ないな、と黒美は立ち上がってはどこかへと行く
しばらくすると帰ってき、その手にはコップ一杯の水が入っていた
これ飲みな、そう言っては手に無理矢理握らされる
申し訳ないなと思いつつもそれを一気に飲み干しては酔いが少しずつだが覚めてきた
そして黒美は「最後にこれ呑んで今度こそお開きにしよ」とどこからともなく酒を出してくる
まだ呑むつもりか…と内心少し呆れたが一杯ぐらいなら付き合おうと酒をついでもらう
おそらくこの酒はピンクレディというスパークリングだ
ピンクレディとはベルギー産の洋梨を100%使用した発泡性のワインで、フルーティーで自然な甘さが特徴とされている
ピンクレディの度数は約15℃ほどで優しく呑める酒とされている
乾杯、とグラスをお互いにぶつけては口をつける
あぁ、このままだったら皆二日酔いだな…
そんな事を思いながらもどうせ休みだからという安心感のお陰が何杯もいけるような気がしてしまった
酒言葉は「幸福」
オワリ
コメント
6件
オプから来ましたー!!酒言葉?なんてあるんですね!✨素敵です✪
おぉー!!すげー! お盆だから皆んな楽しんでていいなー!いつもは戦闘とかで疲れてることが多いけど、皆んないつもよりも気を抜いて楽しそうに過ごしてて微笑ましい… 酒言葉には飲んでる本人のなんかの意味を記してる…?? 過去のこととか関係するんですかね? それはそうと、酔いが回ってるからか、いつもよりも素直ではしゃいでる皆んな可愛い!!