昼夜、どちらも少し肌寒くなってきた十月。ここは街と違って星が良く見える。天翔さんに誘われて、私はとある場所に来ていた。
「花を見に行きませんか?」
天翔さんと話していたとき、突然天翔さんがそう言った。何か花に関することを話していたわけではないし、ただお仕事の話をしていた時。本当に唐突に出た話題だ。
「いいですよ〜!」
「今から行きましょう。」
「え、今からですか!?全然大丈夫ですけど。」
「良かったです!じゃあ荷物とかそのままでいいので、早速行きましょう!」
天翔さんは目を輝かせながら笑顔を浮かべた。こんなに笑っている天翔さんを見るのは久しぶりだった。最近の天翔さんはずっと険しい顔をしてスマホを睨んでいて、寝不足なのが一目で分かるほどだった。それで今日は天翔さんの疲れを癒すために一緒にお出かけをしていた。
(どこか綺麗な場所があるのかな?)
「・・・でも天翔さん、今もう夕方ですよ?今からだとお花見れないんじゃないですか?」
現在時刻は十七時を指してい。
「大丈夫ですので着いてきてください!」
そう言って歩き出した天翔さんの後ろを、私は少し小走りで着いて行った。
あの後天翔さんが向かった場所は駅だった。天翔さんは二枚の切符を駅員さんに渡して、改札を通っていく。置いていかれないように私も追いかける。
駅を抜けた街と自然の景色はいつ見ても綺麗なものだった。夕暮れ。ビルのガラスに光が反射し、その光を街に届けていく。青々しい木や山はオレンジ色に染まり、秋を連想させる。軽く周りを見てみると、私たち以外の乗客はいなかった。人がいなく静かな様子に少し恐怖を感じたからか、私は目を閉じて、いつのまにか眠ってしまっていた。
「ちびちゃんさーん。起きてください!」
天翔さんの声で目が覚める。いつの間にか目的地に到着していたようだ。
「天翔さん。ごめんなさい、寝ちゃってました!」
「全然大丈夫ですよ。僕こそ、ここに行くのがいきなりになっちゃいましたね。無理に誘っちゃいました。」
「大丈夫です!!元気いっぱいですよ!」
「なら良かったです。じゃあ、行きましょうか!」
駅を出ると「わあ、、」と思わず声が出た。真っ暗闇に負けないくらい輝く星は、平野で木々がないここだから思う、今が本当に夜なのかと疑うほど明るい場所だった。
「すごい、綺麗。」
「実はまだあるんです。こっちです。」
天翔さんに連れられてきた場所には、地面一面に広がった咲いている花があった。夜なのに真っ白に目立つ花々は、空の風景ととても合っている。まるで幻想的な世界に来たようだった。
「ここ、調べてて良いなって思って。それと、」
「この花を、ちびちゃんさんに見せたかったんです。この花は”月下美人”って言う花で、夜にしか咲かない花なんですよ。」
「そうなんですね!!でも、どうして私に?」
「・・・この花の花言葉は、沢山あるんです。その中でちびちゃんさんに一番当てはまる言葉があったんです。」
「この言葉、ちびちゃんさんに合うなって思ったんです。」
「繊細が、ですか?」
「正直言ってちびちゃんさんは無理しすぎなんです。毎日投稿して、全部レベルが高くて、その中にはちゃんと僕たちに伝えたいメッセージがあって、全部のコメントに返信して、リクエストにも応えて。今日も、わざわざ僕のためにお出かけの計画を立ててくれて。」
「優しすぎるんです。だから誰よりも傷ついちゃうんです。無理をしちゃうんです。小説の中にはちびちゃんさんの本音を話してる投稿もありますが、それでも自分の中に溜め込んじゃってるなって思ったんです。」
「そんな様子が、繊細だなって。」
「だから、僕はもっと相談してほしいです。頼ってほしいです。ちびちゃんさんに助けられたように、僕もちびちゃんさんの助けになりたい。言いにくいことがあったら深く追及しませんし、ただちびちゃんさんが話したいことを話してくれたら、全然それで良いんです。」
「だから、そんな風に頼っていただけるように、僕も頑張りますね!!」
天翔さんは照れくさそうに笑った。さっきまでの真剣な顔は緩んでいて、私は自然と笑顔が溢れていた。静かな夜空には、二人の笑い声が響いていった。
「ちびちゃんさん、星が綺麗ですね。」
天翔さんは満面の笑みで私に言った。
コメント
2件
投稿お疲れ様です♪ そして本当にありがとうございます😭!!!!!! もう涙腺が崩壊しました😢私は本当に今が楽しくて楽しくてしょうがないんです♪ 一度きりの人生でみなさまに会えたのは幸運ですね! 無理ではなく楽しんでるのですよ!天翔様もいつも素敵なコメントをたくさんありがとうございます♪ 私たちは神友ですから、いっぱい助け合っちゃいましょう! 改めまして、ありがとうございました♪大好きですからね!