星渡りの少女～TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる～

～アメリカ合衆国ワールドジャーナルより抜粋～

本誌は昨日朝刊でマンハッタンの奇跡を独自に取材して掲載したが、昨日行われた大統領の記者会見で判明した衝撃の真実をお伝えする。

マンハッタンの奇跡で目撃された天使の正体は、遥か彼方から来た宇宙人だったのだ。最初に断っておくが、本誌はゴシップ記事ではない。妙な都市伝説を喧伝しているわけでもない！

遂に我々は、我が国は地球外生命体とコンタクトを取ったのだ！この偉業を成し遂げた統合宇宙開発局職員であり現在は異星人対策室の室長を務めるジョン＝ケラー氏の名は歴史に残ることだろう。

更にニューヨークで天使によって最初に助けられた少女はケラー氏の一人娘だと言うではないか！この事実に運命的なものを感じてしまうのは筆者だけだろうか！？

遥か10万光年からの来訪者であるティナ嬢登場の瞬間は、今思い返しても鳥肌が立つ。あの場には彼女を見て膝をつき祈りを捧げる者までいた。それほどまでに神々しい存在だったのだ。そして彼女はAIのサポートを受けているらしく、極めて流暢な英語で質疑応答に臨んでくれた。

その質疑応答を通して筆者が感じたのは、友好的で穏和な彼女の人柄。そしてどこか年相応のあどけなさも感じさせてくれた。彼女に好印象を持った者も少なくあるまい。

～活動家クサーイモン＝ニフーターのコメント～

全くどいつもこいつもバカばっかりだ！宇宙からの来訪者！？友好の証！？皆あの小娘の見てくれに騙されてるんだ！あの宇宙人が侵略者じゃないって誰が保証するんだ！？十万光年も彼方から友好のために来た！？嘘に決まってるだろ！わざわざ地球にやって来たのは、奴らが侵略するためだとなんで分からないんだ！？

ニューヨークの事件だって怪しいもんだ！俺たちを油断させるための自作自演に決まってるだろ！？今すぐに追い返す、いや捕まえて尋問するべきだと思うね！情報を抜き出して、技術やらを奪って侵略に備えるんだ！

空を飛べる羽をもった得体の知れない奴と仲良くしようなんて、政府の奴らは相変わらずバカばっかりだな！政府が頼りにならねぇなら、俺たちがやるしかない！有志を募るぜ！俺達の手で地球を護るんだ！

～ワールドジャーナル異星人対策室への取材～

昨日の記者会見では全世界に大反響を呼びましたが、異星人とは今後どのように付き合うべきか。

本誌は時の人となった異星人対策室の室長を務めるジョン＝ケラー氏を直撃。まるでプロレスラーのような肉体を持つ強面な彼だが、我々に対しても常に紳士的で終始穏和な表情を浮かべていたのが印象的だ。

異星人との付き合い方についての質問に彼は「前代未聞のことで手探り状態」と前置きしつつも「だが、確かな手応えはある。ティナ嬢は地球に対し極めて友好的だ」と自信を持って述べた。

惑星間と言う人類史上前例がない事態に対しても「先ずはお互いを知ることから始めないといけない」「コミュニケーションによる信頼関係の構築は、必ずしも不可能ではない」と断言した。

そこで筆者は地球外生命体との交流におけるメリットを問い掛けた。

ケラー氏は穏和な笑みを浮かべたまま「彼女達は我々より遥かに優れた技術を持つ民族」であり「上手くいけば地球の技術水準を飛躍的に高められる」と述べた。

確かに記者会見で大統領が公表した医療シートは、ニューヨークで使われたことが分かっている。その効果は証明されており、緊急医療に革命を起こす存在となるだろう。

我々にとって未知の技術や品物が入ってることは、確かに魅力的だ。

では異星人を相手にする場合の注意点を尋ねると、ケリー氏は直ぐに答えてくれた。

「偏見を持たず、友好的な姿勢を崩さないことです。彼女達は種族が異なりますが、コミュニケーションを交わすことが可能だ。間違っても悪意を持って接してはいけません。今は客人として、そして将来には頼りとなる隣人として手を携えていく関係を目指さねばなりません。我々はその為に努力することを宣言します」。

ケリー氏の言葉にはしっかりとした口調で宣言してくれた。異星人の来訪と言う一大事、我々庶民もまた考えていかなければいけないだろう。

～日本国合同新聞夜明けより抜粋～

昨日アメリカのハリソン大統領が記者会見で公開した異星人来訪の情報は、全世界に衝撃を与えた。マンハッタンの奇跡の立役者であり、その見た目はアニメに出てくるような銀髪の可愛らしい天使の少女だったのだ。

銀河の反対側から遠路遥々やって来てしかも友好的とあれば、我々としても“おもてなしの精神”を以て彼女を歓迎することに否やは無いだろう。質疑応答にはにかみながら、そして年相応のあどけなさを見せる姿は、筆者としても娘を見ているようで心が暖まった。

内閣府は今朝緊急記者会見を開き、我が国としてはアードとの友好関係構築構築に賛意を示すと共に、もしティナさんが来日される際は国を挙げて歓迎する旨を表明した。

椎崎　美月内閣総理大臣は記者の質問に対して「遥か彼方からのお客様に対して礼節を尽くすのは当然の事」「ティナさんの来日が実現するか分からないが、アメリカ政府と協議を続けて来日を実現させたい」「ティナさんにも日本の文化に触れてほしい」と穏やかな笑みを浮かべながら述べた。

また今後に備えて内閣府直属の専門機関の設立を表明し、対応に当たるとした。アメリカ合衆国で設立された異星人対策室と連携を図っていく狙いだ。

未知のウイルスとの戦い、戦乱など暗いニュースばかりが起きた昨今、ティナさんの地球来訪は明るいニュースとして受け入れられている。願わくば、彼女には是非とも来日していただき、日本文化に触れて長旅の疲れを癒して頂きたいものである。

～以下日本ネット民の反応～

『天使降臨！』

『アニメそのまんまじゃねぇか！』

『ここは二次元だった……？』

『魔法が実在するだとぉ！？』

『まあ俺は元々魔法使いだけどな』

『おっ、おう……』

『涙拭けよ』

『銀髪ぅ？天使は金髪だろ常考』

『お？その発言は銀髪派に対する宣戦布告と見なすぞ』

『ここで緑髪派が通りますよ』

『ガタッ！』

『座ってろ』

『スッ…』

『まるでSFだよなぁ』

『大半が侵略者なんだ。あそこまで友好的でしかも美少女！俺達はついてるな』

『怪獣だったりハンターだったりなぁ。ほんと良かったわ』

『これは技術革新くるか？』

『付き合い方次第じゃないか？いきなり未知の技術を貰っても持て余すし』

『だな、現行の理論を昇華させていくヒントを教えて貰うことから始めようや』

『結論、ティナちゃんペロペロ』

『通報した』

『自害しろ』

スレを見ていたジャッキー＝ニシムラ(二刀流)は穏やかに語った。

「母国は今日も平和だなぁ」