私(美玲)はもう2度とあんなことを起こしたくもないし起きてほしくもないと思ってる。だからこうして私は懺悔する。
小学5年生の時の授業で(正義)について話し合いが行われた。『正義ってなんだよ』と私は心から思った。みんなは次々に発表するがどれも小学生らしい単純なものであった。そのうちの1人(健介)が言った言葉はなぜか私に衝撃を与えた。『人と人とが助け合うことが正義だと思います。』私がこれを聞いて連想したのは某アニメキャラ。私とは真反対な主人公だ。なんせ自分の体の一部を失ってまで悪に立ち向かおうとするヒーローはかっこいいとは思う。けど実際に同じことはできないと思う。彼のように水に濡れただけで力が出ないことはないし逆に言えば彼のように頭を取り替えても元気なんか出てこない(その前に頭を取り替えれない)私はその時初めて健介という存在に心から感心したけど、半ば口だけだなと思った。
私の正義は…なんだろう?私は幸いなことに授業で当てられることはなかったが、モヤモヤしながら家に帰った。
私は女々しい人とか、マイペースな人が昔から苦手だ。だって他人がなんか言わないと動かなかったり言ってもネガティブに捉えて全然動き出さない人がいる。私は自慢ではないけど自立できている方だ。健介は完全に私の苦手な人に該当してたけど私よりすごいんだな。そう思った。
帰宅してからちょうど例のアニメが始まってたので久しぶりにワクワクしながら見ていた。 正義のヒーローっていったらやっぱりこのキャラクターだなと1人で思いながら昔を懐かしみつつアニメを見た。私もこんなヒーローになりたいなって思いながらもこういうのは向いてないなと勝手に話を結び終わらせた。
翌日学校に行った時、衝撃の事実を知り頭が真っ白になった。クラスメイトの紗季が自殺を図り家の2階から飛び降りたそうだった。紗季は数ある友達の中でも1番といっていいほど仲が良かった友達ということもありショックを受けたが、幸いにも骨折程度で済んだことが私にとっては嬉しかった。けれど紗季にとってそのことは不幸でしかなく、生きていることに絶望を感じたそうだと、のちに先生から聞かされた。なぜ紗季が自殺を図ったのか。誰のせいでそうなったのかわからないまま紗季は学校に来なくなった。私は強い怒りを覚えた。紗季はクラスの学級委員長を務め、正義感に満ち溢れていた。私は彼女の凄さに尊敬して、憧れるようになった。つまり紗季こそが私の目標であったのにそんな紗季をここまで追い詰めた輩がいたということだ。紗季は性格も良くクラスの中心的存在であり私の目からは充実した毎日を過ごしているように見えた。けどそれは全て偽りであったかのように風の如くいなくなっていた。私はその時に今まで感じたことのない気持ちに襲われ誰も信用できなくなっていた。全てが偽りなのだ。紗季の笑顔もクラスメイトとの楽しい時間も全て。一瞬にしてその本性が顔を出したのだ。みんなの態度が変わったわけではない。いじめというものが起こっていたわけでもないが、私はそう錯覚していた。そうでもしないと私が壊れてしまうから。
正義感が強い人こそ人から妬まれ蔑まれ、挙句の果てに異なる正義感を持つ人に狙われる。人間の権利は平等であるけれど考え方の違いからこのような悲劇を生む。弱肉強食によって成り立っていることをこの一件から強く思った。
(第二話に続く)
コメント
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この物語はフィクションであり、登場する人物や地名は全て架空のものです。
ご覧いただきありがとうございます。 初投稿っていうこともあり辿々しさ前回ですが改善点等ありましたらコメントにて教えていただけたら幸いです。