背中に預けられた重みが、次第に柔らかくなっていく。
華の呼吸が落ち着き、頬が律の肩に触れた。
「……寝たのか」
律は小さく呟き、横目でちらりと彼女の顔を見やった。
無防備に眠る華の表情は、驚くほど穏やかで、子どものように安らかだった。
(さっきの言葉……酔ってただけ、なのか……)
心の中で問いながらも、律の胸は妙にざわついていた。
――好きになってよ。
思い出すたびに、背中越しに伝わる温もりが強く意識される。
律は複雑な息を吐き、夜道をゆっくりと歩き続けた。
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