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─信じるな、なんて言われても。─
注意喚起
・御本人様とは一切関係ありません
・BL(R18にはならないはず)
・zmさんの怪我、流血表現あり
・モブに名前があります
閲覧はあくまで自己責任でお願いします。
◇
まだ少し冷たい春の風がノートをペラペラとめくる。
教室の窓際で、頬杖をついてぼんやり外を眺めていた。
桜の花びらが、風に乗って飛び込んでくる。ひとひらがノートに落ち、淡い桃色がページの上で揺れた。
「ゾム、また寝とったやろ」
少し呆れたような声に顔を上げると、そこには見慣れた笑顔。
幼馴染であり恋人でもあるシャオロンが斜め前の席からこちらを覗き込んでいた。
「別に寝てへんけど?考え事してただけや」
「お前の考え事って大体、次の昼飯のことやろ」
「うっ・・・・図星」
くだらないやりとりに、近くの席の女子がくすりと笑うのが聞こえた。
この教室ではもう、二人の軽口は日常みたいなもの。
周囲から幼馴染カップル、なんて冷やかされることも多々あるが、本人が笑って受け流すほど、その言葉は的確で。
だって、シャオロンが笑ってくれればそれでええし。
それだけで、対して華やかじゃない毎日が少し明るく見える気がした。
◇
昼休み、人が一極集中する食堂を逃げ出して、階段に座って駄弁る。
購買のサンドイッチを半分こしながら、シャオロンが珍しく真面目な声色で話し始めた。
「なー、明日転校生くるらしいで」
「へぇ、また?春やからかな」
「女子やって。委員長がめっちゃ張り切ってた」
「女子かー、顔によるわな」
「おいおい、このシャオロン様を忘れるんじゃない」
俺の恋人は、一言で言うと、モテる。
何度も告られてはすぐ振るので、俺に嫉妬の目がいくこともよくあった。
変なことないとええけど。
笑うシャオロンの横顔が、春の光に溶けて眩しかった。
◇
次の日の朝。
担任が連れてきたのは、長い黒髪に小さな声の女の子だった。
「浅木夢です。よろしくお願いします」
第一印象、大人しそう。敵に回すでもないかと心の中で溜息をついた。
それからすぐに転校生への興味は失せて、いつ戻り眠気が襲ってくる。
机に突っ伏して横目でシャオロンの方を向いたけど、こっちを振り返ってはくれなかった。
◇
放課後の窓の外が夕焼けで赤く光る。
HRを済ませて、誰もいない教室にひとり残る。
シャオロンは部活だし、他のみんなもいない。
静かな教室に、そよ風の音だけが吹き抜ける。
今日は久しぶりにぼっち帰宅か、なんて思いながらイヤホンを片耳に昇降口へと歩く。
下校の放送が流れるなか、下駄箱で一通の白い封筒を見つけた。
「・・・なんや、これ」
所謂ラブレターかと思って一瞬舞い上がったが、どうやら違う雰囲気だ。
入れ間違いも疑ったが、真っ白な封筒の端にしっかりと「ゾムくんへ」と記してある。
「放課後、屋上で待っています」
─────シャオロン宛てじゃなくて俺宛てってのが、一番の問題やな。
これは厄介ものかもしれない。はー、と溜息をつく。
はよシャオロンに会いたいな、はよ終わらんかな。そんなことを思考に巡らせながら、屋上へと向かう階段を駆け上った。
誰かの悪戯か、それとも。
そんなことを考えながら、ゆっくりと屋上の扉を開けた。
◇
ほらねn番煎じって言ったでしょ?
アンケート答えてくださった皆さん、ありがとうございました!!
結果、shazmということで書かせて頂きます!
まあ今回の連載わりかしすぐ終わりそうなので、ぜひ最後まで読んでいってください!!
ちな転校生の名前は「あさきゆめみし」から取ってます。