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🩷子供時代のティア 「ティアいつも楽しいお話をしてくれてありがとう、ティアのお話はとても楽しいわ、夫が言っていた通りよ、楽しいお話を日記に書いてくれる子だったって」ミリアは子供時代のティアを知っていたのです。「もしかして児童精神科の先生の奥様が先生なんですか?この精神障がい者施設で精神科医として児童精神科の先生の奥様が働いているとは聞いていましたけど」ティアは思い出しました。この施設を紹介してくれたのも児童精神科の先生だったのです。「そうよ」ミリアが答えました。「児童精神科の先生は、わたしに決して怒ることなく勉強を教えてくれました、行動で生きているわたしを教えるのは大変だったでしょうに、わたしは児童精神科の先生に感謝しています」ティアの両親はティアが言葉を理解できないと厳しかったのです。「彼はとても穏やかな人だから子供達に怒ることはないの、わたしは彼を尊敬しているわ」ミリアは夫である児童精神科医を深く愛しているようでした。ティアはとても羨ましく思いました。ティアには恋愛も結婚も無理だと思っていますから。「ティア、でも今のあなたの行動は身体抑制が必要な程危険なのよ、子供の頃はいつも楽しそうだったって夫からは聞いていたけどどうして変わってしまったの?もしかして幻聴が子供の頃よりもひどくなってしまったの?」ミリアはティアの幻聴が長い間行動で紛らわされるうちに、悪化してしまったのではないかと心配でした。児童精神科医の夫もミリアもティアが行動で幻聴を紛らわす限り幻聴の内容を知ることができませんでした。「いいえ、幻聴はあいかわらず子供の頃と変わりません、ただわたしが心の力を行動で引き出し過ぎて、心の力を行動で引き出し過ぎるとわたしの命を代償にしなければならないという空想力とのそういう契約なんです、それでわたしは死ぬのが恐くてもう幻聴を行動で紛らわしきれなくてそのために今の行動になっているんです」ティアはたぶんわけがわからないことを言っていると自分でも思っていましたが、打ち明けました。ミリアは空想力と契約を結んだとか、心の力を行動で引き出し過ぎてティアが死ぬかも知れないとかいう話は彼女の妄想の一部なのだろうかと思いましたが、確かにティアの大人になってからの見境ない行動は危険でした。「ティアそれならもうやめて、幻聴の内容に傷ついているのならわたしに話してくれない?」とにかくティアの安全と命は守らなければとミリアは思いました。「わたしは幻聴の言う通り馬鹿なのでしょうか?両親のように賢くなかったし、わたしは生きている価値もないんでしょうか?」ティアは賢さとは一体なんなのかもわからないまま、精神障がい者と診断までされてしまいました。「どうして、わたしがおかしいのでしょうか?ずっと普通に勉強がしたかったのに、わたしの考えなんておかしいですか?」ティアはどうしてティアが普通じゃないと判断されてしまったのかわかりませんでした。考えは聞こえるのに。「何が正常かなんて誰にもわからないのよ、ただあなたは行動でうまくいかない思考を避けているんでしょう?それだと本当にあなたは考えることができないと思われてしまうわ、幻聴はあなたの思考が他人化したもので、つらいのでしょうけど、落ち着いて考えてみて、行動でこれ以上その心の力を引き出せばあなたの命がかかっているのならもうやめて、お願いだから」ミリアはなんとかティアをとめなければいけないと思うのでした。「ずっとわたしの行動のせいでご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした、わたしはこのまま死にたくないんです、恐くて」ティアはもう行動で生きることに限界を感じていましたが、立ち止まることも今までできなかったのです。「もう無理に動こうとしないで、もしあなたが行動をやめられなくても、わたし達がとめるけど、できるならもう身体抑制なんかしたくないの、今日はここまでにしましょうか?」「はい、ありがとうございました」ティアは、幻聴の言葉をただ聞いているなんて耐えられませんでした。だからここまで行動をやめられずに来てしまったのです。
「失礼致します」ティアは挨拶をして診察室を出ました。確かに音声言語で話せば気持ちが楽になりますが、ティアは自分の意志で音声言語が使えないのです。