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夜中に魔法の本を読んだら寝不足になった。

だって、面白かったんだもの。

本によると、基本的に魔法は魔導書に書かれたものを暗記して詠唱するらしい。

魔語(まご)を習得するのは難しいから、すでに作られたものを使う方が効率が良い。

魔法が外国語みたいだから、外国語を勉強するより定型句だけ暗記した方が早いってことね。

で、暗記が主流だから、オリジナルで魔法を作る人なんてほとんどいない。

生活や冒険においては、既存の魔法だけでなんとかなるらしい。

というか、既存の魔法を駆使するのが魔法使いっていうイメージなのかも。

だから、魔法自作可能ってのはそこまで隠さなくてもいいけれど、やっぱり公にしない方が何かと有利なんじゃないかと思う。

それから、基本的な魔法は暗記しておいた。

生活用の水、火、風、土の魔法のほかに、攻撃や防御、治療に使えそうなものは一通り。

私たちは日本語で覚えてしまえばいいから、その辺は楽だよね。

ちょっとくらい違う言葉でも、自作できるから発動するし。

応用編の最後の方に、魔法を待機させる方法があったけれど、ちらっとしか書かれていなかったから、これができると一目置いてもらえそう、かな。

私は一応魔導士ってことになってるし。

え、目立ってもいいのかって?

どう頑張っても目立つと思うよ。

だって、私は勇人(ゆうと)とセットで活動することになりそうだからね。

子連れ冒険者とか目立たないはずかない。

今は抱っこひもだけど、自分で動きたい年頃なったらどうしようかしら。

って、その前に日本に帰りたいなぁ。



「邪栄(やえ)ちゃん、準備できた?」

「うん、一応……。あー、ほんとに抱っこひも欲しい。ベビーカーでも良いけど、ちょっと不安だから抱っこひもがいい。あと腕が筋肉痛になる」

こっちには、昔の人が使ってたみたいなちょっと太めの紐で括りつけるか、籠に入れて持ち歩くしか方法がないらしいのよね。

「そうだね……あ、そういえば、邪栄ちゃんの実現魔法でなんとかなるかも。使い方とか、昨日調べて一応分かったよ」

「え?どういうこと?」

「実現させたいことを魔語で言えば実現するらしいよ。ただし、1日1回だけで、実現できないこともあるみたいだけど」

「1日1回って……便利なんだか不便なんだか。でも、それだと抱っこひもが手に入るってこと?」

「多分。『実現せよ、ここに抱っこひもがある』みたいに言えばいいんだと思うよ」

「ふぅん……じゃあやってみる。<実現せよ、私が使っていた抱っこひもは涎カバーのセットと一緒にここにある>」

両手を見ながら言ってみた。

出てきた。

ちゃんと肩紐にかける涎カバー3セットも一緒に。

汚れもそのままだから、きっと家にあったものがここに来たんじゃないかな?

すごい。

なんて便利なんだ。

「哲(てつ)くん!哲くん!見てこれすごい!!」

「だうー、だっだ。だーだー」

勇人にも分かるのかな?

「あ!しまった……どうせなら、新品って指定すればよかった!」

「すっご……邪栄ちゃんすごいね」

私の後悔は、華麗にスルーされた。

「これさ、頑張ったらみんなで帰れないかな」

「あ」

「ん?」

「ちょっと待って。……あ、うん、多分無理だね」

哲人は、虚空を見ている。

多分、ステータスみたいに画面か何かで結果が見えているんだと思う。

「どういうこと?」

「この世界で生きるために欲するものごとを実現可能、って但し書きがあった」

「えー。一番実現させたいことなのに」

「何でも叶う魔法はさすがにないんだろうね」

「そんなもんかぁ……」

「たーたーたー、たたーたー」

抱っこひもを装着して抱っこする。

勇人はご機嫌だ。

やっぱり安定感が全然違う。

腰と肩で支えていて、両手も空くしすごく楽。

よし、これで勇人を抱っこしたままでも比較的がっつり動けそう。

魔法で揺れとか抑制できるだろうから、走ったりもできるんじゃないかしら。

息子(0歳)は召喚勇者、夫は巻き込まれ系チート賢者、そして私が魔王様

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