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#あべさく
めかぶぷりん
8,214
29
雪月❄️
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裏社会の歴史において、これほどまでに静かで、そして息の詰まるような緊張感に包まれた夜はなかった。
四社合同会合の舞台として選ばれたのは、各組織の縄張りが交錯するニュートラルゾーンに位置する、由緒ある老舗料亭の最奥。20畳はある広大な和室の空気は、張り詰めた弦のように限界まで引き絞られていた。
長方形の巨大な漆塗りの座卓を挟み、片側には「Snow」の若頭・深澤辰哉と、「Man」の組長・渡辺翔太。その背後には阿部亮平と佐久間大介が影のように控えている。
対する側には、「岩本組」の組長・岩本照と、「宮舘組」の組長・宮舘涼太。その後ろには向井康二、目黒蓮、ラウールが静かに佇んでいた。
💙「……おい、宮舘。お前さっきから何なんだよ」
会合が始まって数分、渡辺が耐えかねたように低く冷え切った声を上げた。
宮舘は公式の場だというのに、座卓の上に、重厚なベルベットのケースを堂々と鎮座させていた。中に入っているのは、裏社会のトップにふさわしい、妖しく輝く最高級のルビー。
❤️「何って、翔太。今日の会合は君が私を公式に呼び出してくれた、記念すべき日だ。……私からの、最初の贈り物だと思って受け取ってほしい」
💙「ふざけんな。誰がこんなもん受け取るか。お前の中の公式会合の定義はどうなってんだ」
渡辺が鋭い眼光で宮舘を睨みつけるが、宮舘はその敵意すら愛おしそうに受け止め、優雅に微笑んでいる。
その隣では、深澤が油断なく正面の岩本を警戒していた。岩本は一言も発さずに、ただ真っ直ぐに深澤の顔を見つめ続けている。その三白眼は冷徹そのものだが、瞳の奥にある執着の色は、深澤がこれまで潜り抜けてきたどの修羅場よりも濃厚だった。
💜(……この男、本気だ。本気で俺を狙いにきてる)
深澤が本気で背筋を凍らせていると、背後に控える阿部が、冷徹なインテリの顔のまま、深澤の肩にそっと手を置いた。──だが、その直後、阿部は自身のジャケットの陰で、隣にいる佐久間の細い手を他言無用の強さでぎゅっと握りしめていた。
🩷「……阿部ちゃん」
佐久間が周囲に気づかれないよう、阿部の背中にわずかに寄り添う。友好関係という隠れ蓑の裏で、二人の間だけで通い合う熱い独占欲が、冷たい戦場の中に確かに存在していた。
だが、カオスはそれだけでは終わらない。
岩本の背後に立つ康二は、終始、斜め後ろからの執拗な視線に晒されていた。
宮舘の右腕・目黒蓮が、会合の行方など一ミリも気にとめていないような眼差しで、じっと康二の手元を見つめている。
🖤「向井さん。今日のスーツ、めちゃくちゃ似合ってますね。……ねぇ、なんでさっきの連絡、返してくれなかったんですか」
目黒が至近距離まで顔を寄せ、低い声で耳元に囁く。
🧡「め、目黒……! お前、お前のボスと俺のボスが、敵対組織のトップとやり合っとんねんで。なんで俺に個人の返信催促しとんねん……//」
康二は顔を真っ赤にしながら、小声で必死に目黒を制そうとする。
🖤「そんなの関係ないですよ。俺は今、向井さんにしか興味ないんで。今日の会合が終わったら、絶対俺と飯行ってくださいね」
🧡「だから仕事の、マフィアの仕事をしろ言うとるやろ……」
康二の心臓は、目黒の容赦ないゼロ距離のアプローチに限界を迎えていた。その隣で、ラウールは完全に死んだ魚のような目で、ただ静かに事態を見守っている。
💛「話を戻そう」
岩本が、地を幾重にも這うような低い声でようやく口を開いた。鋭い眼光で、深澤を真っ直ぐに見据える。
💛「深澤。お前が『誰も傷つけたくない』なんていう甘い理想を掲げていることは知っている。……だが、裏社会はそれを許さない」
深澤がハッと息を呑む。岩本組長が、ついにマフィアのトップとして、自分の理想を叩き潰しにきたのだと身構えた。
💛「だから……お前のその理想ごと、俺が全部守ってやる。俺の組織の圧倒的な力を使って、お前を誰も傷つけない世界へ連れて行ってやる。……だから、俺のモノになれ」
💜「……は?」
深澤の口から、マフィアの若頭らしからぬ戸惑いの声が漏れた。
それは抗争の宣告ではなく、裏社会のルールを己の私情で完全にねじ曲げた、究極の「プロポーズ」だった。
コメント
3件
はい神です✨️
いやもう7話、読み終わって放心してる……!🥀 四社合同会合って緊張感の塊なのに、宮舘からのルビーの贈り物とか完全に私物化してて笑ったけど震えたし、深澤くんに対する岩本さんの「理想ごと守ってやる」発言、あれもうプロポーズじゃん……重すぎて心地いい……。 阿部ちゃんが佐久間くんの手を隠れて握るところも最高で、そういう水面下の執着がこの作品の醍醐味だなって。 毎回思うけど、めかぶぷりんさんの描く「静かな狂気」が本当に好きです……次の話も楽しみにしてます🌙