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体育祭の昼休み。あちこちでカップルが笑いながらハチマキを交換し合っていて、
🌸はその光景を横目で見ながら、ちょっとだけ羨ましい気持ちになっていた。
そんな彼女を、宮侑はじーっと見ていた。
「……なんや、その顔。」
突然後ろから声をかけられてビクッとした瞬間、
侑は彼女の腰に手を回して、逃がさないように引き寄せる。
「……他の奴らの真似、したいん?」
笑っているのに、目がまったく笑ってない。
「べ、べつにそういうわけじゃ──」
「嘘つけや、🌸。
さっきからチラチラ見とったやろ」
子どもみたいに口を尖らせながら、ぐいっと彼女を自分の正面へ向かせる。
「……俺と交換したいんやんな?」
不意に、侑の声が低くなる。
普段の調子じゃない。
独占欲が滲んだ、彼女の心臓を掴むみたいな声。
「したいならしたいって言え。
ほんなら……俺がしてやるから」
「……したい。侑と交換したい」
その瞬間。
侑の表情が緩み、綺麗な笑みを浮かべる。
「言えたやん。可愛ぇなぁ〜」
侑は自分のハチマキをゆっくり外し、
そのまま🌸の髪に手を滑らせながら結んでくれる。
指先がうなじに触れた瞬間、彼女の肩がびくっと震える。
「おい、そんな反応されたら……
俺が困るやろ」
低い声で囁かれ、耳が熱くなる。
「んで、次は🌸の貸せ」
素直に渡すと、侑はハチマキを受け取って、
自分の首に巻く。わざと“見えるところ”に。
「……これで、今日一日、俺はお前のんや」
「侑……逆じゃない? 私が侑の──」
「違うわ。
俺もお前も、どっちも“お互いのもん”や」
そう言って、侑は🌸を片腕で抱き寄せながら、
周りを見渡し、他の男子たちの視線を確認する。
そして、にっこり笑って毒を吐く。
「見んなや。
今、うちの可愛い彼女の話しとる最中なんやわ」
笑顔のまま敵意むき出し。
そのギャップに、周りの男子は慌てて目を逸らす。
「……侑、ちょっと怖いよ?」
「怖ないやろ。
俺が誰のために怒っとると思っとんねん」
そう言って、侑は彼女の額に軽く指をつく。
「体育祭終わったら…覚悟しとき。
今日、ハチマキ交換したんやから、俺の嫉妬と溺愛ぜ〜んぶ受け止めてもらう」
とろけるような笑顔で言う。
「人前では我慢しとるけど……
本音言うたら、今すぐでも奪いたいくらいや」
耳元で低く囁かれ、
🌸の心臓は体育祭どころじゃないほど跳ねた。