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「口には出せないけれど」
最後の面談を終え、デスクに戻ったのは午後6時過ぎだった。
書類やデータを片付けようとして、ふと忙しさで忘れていた、大事なことを思い出した。
（そうだ、今日は美穂（みほ）と准（じゅん）のデートの日だ）
デートはどうだったんだろう、と美穂とのチャットを見るが、まだ連絡はない。
美穂と准のことだから、きっとうまくいっただろうけど……。
帰宅してもう一度チャットを確認すると、今度は美穂からメッセージが入っていた。
「こんばんは。今日赤桐（あかぎり）くんと紅葉まつりに行ってきました。お店も多く出ていて、にぎやかで楽しかったです。帰り際に、赤桐くんがまた遊びに行こうって言ってくれて、私もまた行けたらいいねと話しました」
（そっか……楽しかったんだ）
美穂に笑いかける准と、それに応える彼女が思い浮かんで、胸がうずいた。
（美穂は＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
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