ソ連視点
…何故か、また会うという約束を付けてしまった。
こんな事すぐやめにした方が良いと分かってる…
けれど君の提案は何故か了承してしまうんだ。
けれど今回は大丈夫。準備万端。
薬は予め飲んでおいて、予備もある。
しかも今回遊ぶのはяの家だから、抑制剤が無くなる恐れは限りなく0に近いだろう。
…家だと逃げ場が少ないから、襲ってしまったら一大事だ。
必ず理性を保とう…
ぴんぽーん
圧迫される空気の中で明るい音が響く。
ガチャリとドアを開けると、やっぱり甘い匂いのする君が居た。
今回は抑制剤を飲んでいるから幾分かマシだが、長く一緒に居ると危ないな…
「いらっしゃい…すまんな、前は逃げてしまって」
「いや…大丈夫だ!お邪魔します…!」
散らかっている部屋を片付けるのは骨が折れる作業だったが、君が来るなら気が楽だった。
床も窓もピカピカで、埃一つだって落ちていない。
「綺麗な部屋だな…✨掃除はよくするのか、?」
君がそう言うから、少し返事には迷った。
男だから見栄は張りたいが…
「いや、ナチスが来ると聞いて急いで掃除したんだ(笑)」
「へへ、ちょっと嬉しいかも、」
君には正直で居たいから…って臭いなこのセリフ
へにゃりと口を上げて笑ったナチスの口にギザギザした歯が見える。
「ナチスはギザ歯なんだな」
「ぁ…ッ」
はっと我に返ったようにナチスは口を閉じてしまう。
「怖いよな、すまん…(苦笑)」
嗚呼。яと一緒なんだ。
怖い。気持ち悪い。きっとそう言われて育ってきたに違いない。
歪なお揃いが出来て、少し嬉しかった。
この際、яも打ち明けてしまおうか。
いや無理だな。
яはフォークで、ケーキの君に理性を保つのがやっとだって…口が裂けても言えない。
「全然。寧ろ特徴的で可愛いぞ?変じゃない」
яは分かる。
君がどんな言葉を掛けたら喜ぶのか。君はどんな言葉を欲しているのか。
яと一緒なんだから。
「!!…有難う…お前みたいなやつ、始めてだよ(笑)」
「だろ?яも右目が弱くて色が変って言われて育ってきてな…今は日光が眩しいから眼帯を付けてる、」
「本当か!?見せてくれ!!」
「ほらよ。白に近い黄色というか…」
「すっごい綺麗な瞳だ…これを変だなんて周りの奴らはセンスが無いのだなw」
自分を肯定して、一緒の苦しみを味わった人なら、これからどんな事があってもやっていけるだろうか
彼は…ナチスは…яを認めてくれるだろうか?
そんな濁った考えとは裏腹に、君は可愛い歯を見せて笑ってくれている。
ずっと友達で居てほしいと思ったけれど、恋人でも、君なら。
「いいかもしれない…(笑)」
「?」
ナチスの頭にはてなマークが浮かんでいるような気もするが、まぁいいだろう(?)
フォークも、ケーキも、コンプレックスも。
今は関係ない素敵な時間だ。
コメント
2件
最高すぎて今日1日の疲れぶっ飛びました。ありがとうございます…!