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『デート中編』
人の流れが、また一気に詰まった。
前からも、横からも、
遠慮なく押される感覚。
「……っ」
ちぐさの足が、ほんの一瞬、もつれる。
次の瞬間。
——ぎゅっ。
掴んだのは、
考えるより先だった。
手を掴んでしまった。
「……あ」
触れた瞬間、
ちぐさは固まる。
指先が、
ちゃんと、先輩の手のひらに当たってる。
「ご、ごめ——」
言いかけた声が、止まる。
ぷりっつは、
振りほどかない。
視線も、前のまま。
ただ、
握られた手を、そのままにして歩き続ける。
「……」
ちぐさの心臓が、
うるさくなる。
——怒られてない。
——離されてない。
それだけで、
頭が真っ白になる。
「……先輩」
小さく呼ぶ。
「ん」
返事は、いつも通り。
でも、
その声が近い。
手の温度が、
じわじわ伝わってくる。
「俺……手……」
言い切る前に、
ぷりっつが歩く速度を落とした。
人の流れから、
少しだけ外れる。
それから、
ようやくちぐさを見る。
「……離したい?」
静かな声。
ちぐさは、
一瞬、目を見開いて。
ぶんぶん、と首を振る。
「……やです」
即答。
犬みたいに、
迷いがない。
その答えに、
ぷりっつは小さく息を吐いた。
「……そか」
そのまま、
何も言わずに歩き出す。
手は、
まだ繋がれたまま。
でも。
しばらくして。
ぷりっつの指が、
少しだけ動いた。
絡めるわけじゃない。
でも、
逃がさない位置に、自然と添えられる。
ちぐさは、
それに気づいて、
息を止める。
——あ。
次の瞬間。
ぷりっつの指が、
ゆっくり、
ちぐさの指の間に入ってくる。
恋人繋ぎ。
意図的で、
迷いがない。
「……っ」
ちぐさの喉が、きゅっと鳴る。
「せ、先輩……」
声が、震える。
ぷりっつは前を向いたまま、
低く言う。
「掴んだんは、お前やろ」
「……」
「最後まで責任持たなな」
その言葉が、
冗談なのか、本気なのか。
ちぐさには、分からない。
でも。
握られた手は、
さっきより、ずっと強い。
離す気が、
最初からないみたいに。
ちぐさは、
その手を、
ぎゅっと握り返した。
「……先輩」
呼ぶだけ。
返事はない。
でも、
繋がれた手が、
ほんの少しだけ、応えるように動いた。
——この距離は、もう戻れない。
そう、
本能で分かった。
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コメント
6件
さりげな手繋 えぐい ぃ ! !!!!!!!!! 手を繋ぐ で こんなに素敵な表現が出来るの マジ 神です …… ✨
prくん恋人繋ぎさりげなくやってんのずる…やば… 毎回思うんだけど、tgちゃんが絶対可愛いことが文字だけなのに伝わるのかちゃまスゴすぎ、!
天才???♡数えぐすぎて笑っちゃったw