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部屋の中に差し込む光の量でたっぷりと眠った事がわかる。
光量でしか睡眠量を測れないのは身体が全く回復している気がしないからだ。
志豪さんの店である東華を出て、山下公園を少し歩いた。
そのあと、マンションまで送ってもらい車を降りるときにキスをした。
こんなドラマのような、そう私の大好きな小説のような展開は初めてだ。
もしかすると、私の愛蔵本を見ていたらからワザとそうしてくれているのかも知れない。
だとすると、恥ずかしいけどうれしい。
ただ、こんなドラマチックなデートは体力が必要であることと翌日は筋肉痛になることが分かった。
「身体がだるい」
でも、嫌なだるさじゃない。
賢一は今日は用事があって会えないと言っていた。ただ、こんな状態で会っても身体がいう事を聞かない気がする。
だるい身体に力を入れる。
カーテンを開けて部屋に光を充満させ、コーヒーメーカーのスイッチを入れてから熱めのシャワーを浴びる。
「う~ん、腰が痛い・・・足が痛い・・・」
トースターにトーストを一枚入れてスイッチを押す。
ヨーグルトにブルーベリージャムをのせ、コーヒーをカップに注ぐ。
すこし焦げ目がついて香ばしく焼き上がったパンにバーターを塗って、朝食とも昼食ともつかない食事を始める。
今までは同僚としての顔しか知らなかったし、それ以上の事を知ろうとしていなかった。
でもこの数日、見たことのない顔とまだまだ隠れている顔があるようで気持ちが落ち着かない。
茂や敦は友人としては楽しかった、友人という線引きにより彼らの私生活について何も感じる事はなかったが、恋人となると相手に対しての誠実さは必要だ。
でも、浮気をしたのは彼らだけのせいなんだろうか?賢一と過ごした時間の違い・・・
気がついてる
今、すごくドキドキしてる。
賢一の顔、声、指先を思い出すだけで身体が熱くなる。
こんな感情はいままで無かった。
私は心の上で彼らに誠実じゃなかったということだろうか、だから浮気された?
「って、浮気をしていいわけないじゃん!」
あああもう!ヤメヤメ!
スマホを手にもちベッドに倒れ込んだ。