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オレの名前はレン。小学6年生、見た目はふつうの、ちょっと静かな男子。
運動もそこそこ、勉強もまあまあ。
でも、オレには誰にも言っていない裏の顔がある。
それは――
**“天才ホワイトハッカー”**だ。
家のリビングには、父ちゃんが使ってた古いデスクトップPCがある。
オレが本格的にプログラミングを始めたのは、小学3年生のとき。
ある夜、YouTubeで「キッズ向けハッカー講座」っていうのを見つけて、そこからどハマりした。
最初はスクラッチ。
次にPython。
気づいたらC言語、JavaScript、HTML、Linuxコマンド……どんどん覚えた。
ターミナルを開いて、黒い画面に緑の文字を打ち込むと、
まるで魔法みたいに、コンピューターが命令を聞いてくれる。
オレはその感覚がたまらなく好きだった。
オレには、もうひとつの名前がある。
ネットの世界では――
「GHOST_KID(ゴーストキッド)」と呼ばれている。
悪いことはしない。
ウイルスをまいたり、個人情報を盗んだりなんて、絶対にやらない。
でも、困ってる人のサイトを直したり、
セキュリティホールを見つけて運営に報告したり、
たまにAIの暴走をこっそり止めたり(マジで)。
子どもだからって、なめるなよ?
ある日の昼休み。
先生たちが騒いでいた。
「なんで、パソコン室のコンピューターが全部、ロックされてるの!?」
「データが全部、消えてる!?ウイルス!?」
オレは聞いた瞬間、ピンときた。
これはただの故障じゃない。
攻撃されてる。
しかも、プロ級。
ローカルのネットワークに侵入して、データを暗号化。身代金を要求するやつ……つまり、ランサムウェアだ。
「やばい…小学校レベルのセキュリティじゃ、太刀打ちできないぞ…」
オレはすぐさま、机の中からUSBメモリを取り出した。
放課後。
「うっかり鍵を閉め忘れていた」ことにして、こっそりパソコン室に侵入。
ノートパソコンを持ち込み、
学校のWi-Fiに裏から接続。
ファイアウォールを調べて、LAN内の感染範囲を特定。
出た。ENCRYPTOR-Xっていう新型ランサムウェア。
普通の小学校じゃ、対応できるわけがない。
でもオレには、自作の復号ツールがある。
「パスワードの組み方が甘いな…見えてるぞ、プロのフリしたアマチュアめ」
コマンドを叩く。
コードが走る。
一台、また一台と、ロックが解除されていく。
1時間後――
パソコン室は、元通りになっていた。
次の日、先生たちは首をかしげながらこう言った。
「おかしいわね…全部、元通りになってる…まさか幽霊…?」
クラスでは誰もこのことを知らない。
ただ、オレはいつも通り席に座って、静かに教科書を開いた。
でも、心の中ではこうつぶやいていた。
「GHOST_KID、任務完了」
最近は、海外のサイバーセキュリティ会社からもメールが届くようになった。
「あなたのコード、見ました。ぜひインターンに」
「君、年齢を間違えてない?本当に11歳なのかい?」
でもオレは今は、まだ小学生。
ランドセルを背負って、登下校して、給食を食べてる。
だけど――
放課後になると、オレは世界のどこかで起きるサイバー事件を止めている。
いつかちゃんと、顔も名前も出して、
「子どもの天才じゃなくて、サイバーのプロです」って言える日が来たら…
そんときは、ちゃんと名乗ってやるよ。
「オレが“GHOST_KID”だ」ってな。