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〈凸もり視点〉
きききききき来ちゃった…
さもさんの家…
好きな人の家に!しかも二人っきり!
さもさんの両親は海外に居るらしい…さもさんから聞いた話
き、緊張する…
インターホンを押せず、かれこれ10分は経っている。
…俺!さもさんの命の危機なんだぞ!ここで突っ立っててどうする!
両手で頬を叩き、インターホンに指を伸ばす。
「あの…そこで何してるんですか?」
びっくりして振り返ると、白髪の…同い年ぐらいの男性がいた。
…確か、クラスメイトの…
「白犬…仁具さん?」
「あっはい…森野戸津さんでしたっけ?」
「そっそうです…」
お互い名前を確かめた後、気まずい空気が流れる。
やべえ…俺、さもさんの家の前でうろついてるただの不審者じゃん…それをクラスメイトに目撃されるって…
「え、えっと…ニグさんもさもさんに用があったり…?」
「そ、そうですね…この前さもさんから借りた本を返しに…」
ニグさんがちらっと腕時計を見る。
「…やべ!?あえっとすみません、これさもさんに返しといてください!」
「えっちょ!?」
ニグさんは紙袋を俺に押し付け、慌てて走り去っていった。
「………」
なんだったんだ…?
「凸さんいらっしゃい。暑かったでしょ、麦茶出すね。」
ソファに座り、俺は息を吐く。
…今のところ、さもさんに誰か(俺とおどろくちゃん覗く)からの連絡は来ていないらしい。
…でも油断はできない
運命は、そう簡単に変えることは出来ないから。
「…あそうだ。さもさん、これニグさんから。」
麦茶を持ってきてくれたさもさんに、紙袋を渡す。
「あっこの前の?来週でも良かったのに。」
「なんか、忙しかったのかな?ほとんど面識のない俺に渡すくらいだったし。」
そっか。と言った後、さもさんは俺の隣に座る。
ぎゅっ
手の感触に横を見ると、さもさんが俺の手を握っていた。
!?!?!?!?!?は!?
えちょさもさん何してるの!?
好きな人に付き合ってもないのに手を握られるって!心臓持たないって!
「…ごめん凸さん」
肩に寄りかかられる。
「…このままで居させて…」
さもさんの不安そうな声色に、俺は気づく。
そっか…そうだよな。自分が死ぬかもしれないのに、怖くないわけないよな。
俺はさもさんの手を強く握り返す。
「…大丈夫、俺が守るから。」