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衝動で書いた殴り書きなので、文章が拙いところが見受けられると思います。

※レイマリ

※ハッピーエンド

※魔理沙が可哀想気味。

※短い



霊夢に、置いていかれている気がする。

元々彼奴が強いことはよく知っていた。だから私も、そんな霊夢とずっと一緒に肩を並べていれるように願いながら、日々努力を積み重ねてきた。徐々に、徐々に彼奴に近づけていたらいいなと、密かにそう思っていた。

だが、そんな私と並行して、霊夢も前に前に進んで行っていたのだ。私よりも、速いスピードで。私が走って走って追いかけても、何時しか姿も見えなくなるのかもしれない。だが私は諦めなかった。必死に、必死にしがみつこうとして、彼奴の袖に少しでも触れようとした。


だが、最近人里で聞いてしまったのだ。


「最近、博麗の巫女と…あの、古道具屋の娘さん。…そうそう、魔法使いみたいなの。共同で異変解決をすることがあるらしいけど——」


「正直あの魔法使い、足手まといな感じするんだよね。」


「ちょっと分かるかも。てか、一緒に付き合ってる巫女も巫女だよね。異変解決が遅れるとか思わないのかな。私たちは異変で困ってるのに。」


凄く、ショックだった。日に日に家で研究を重ねていくうちに、彼奴に近づけているのかもしれない、と密かに期待する心があったから。

でも、本当に勝手に期待していただけ。本当はそんなことなくて、彼奴の足をただ引っ張っているだけだった。

そして、私の所為で霊夢ことも悪く言われて。私なんかが一緒に居るから、こんな風に言われてしまって。

本当に、ショックだった。


その時私は直ぐに帰ってしまった。人里に何をしに来たのかも思い出せなくなって、人目も気にせず無我夢中で走って、駆け抜けて。


気づいたら家のドアを開けて直ぐの所に座り込んでいた。

息が荒い。妙に喉に血味を感じる。走ってるときは何も感じなかったのに。


「私が居ることで足を引っ張ってしまうなら、私は…。」


居ない方がいいのかもしれない、と思った。

私が、弱いから。彼奴に近づけていると勝手に勘違いして。実際にはもっともっと遠くに居て、勝手に落ち込んで。


「…馬鹿みたい。」


ーー

ーーー

その日から、霊夢と共に異変解決することはなくなった。私から遠慮したのだ。何時も何かと理由をつけて。不審な顔をされることもあるが、いいんだ。だって、私が居ない方がスムーズに異変解決が進むし、そして幻想郷の平和も保たれる。それに、霊夢の悪い噂も出なくて済む。

やっぱり、これでいいんだ。


だが、博麗神社には行っている。

流石に今まで毎日のように行っていたのに、急に音沙汰が無くなると不審がられてしまうかもしれないと思ったからだ。

後は、単に寂しいからだ。別に霊夢以外にも知り合いは居るが、やはり顔ぐらいは見ておきたいものだ。


だから、今も箒で博麗神社に向かっている。穏やかな風が吹き抜けていく感覚がある。何だか心地よい。

今日は弾幕勝負でも挑もうか、とか考えて。あの時は暫く研究をする気にもなれなかったが、最近また調子を取り戻すことができたと思う。だから、今日は久々にやってみようと思えた。弾幕勝負の勝敗は一応気にするが、それ以上に、霊夢との弾幕勝負が楽しいから、またこうして挑もうと思えるのだ。




「よー!来たぜ。」

「はいはい。今からお茶出すから、ちょっと待ってなさい。」

「いや、今日は弾幕勝負を挑みに来た!」

「は?‎…まあいいけど。丁度暇してたし。」

少し久々だが、霊夢の腕も鈍っていないだろう。私も、全力で挑んでみせる!


ーー

ーーー

「…ねぇ。大丈夫?」

「…何がだ?」

「何か、アンタ何時もよりおかしいわよ。」

本当は自分でも分かっていた。何時もより身体が動かなくて、余計な考え事が止まらなくなって。何時もなら避けれたであろう弾幕も呆気なく当たってしまって。

本当に、情けない。私はどうしてしまったんだ?


「ねぇ、最近どうしたの…?」

「…大丈夫だぜ。」

上手く笑えているだろうか。霊夢には心配を掛けたくないから、無理にでも笑わなければいけないと咄嗟に思ってしまった。


「何か悩んでることあるなら、話してよ。もし私に出来ることがあるなら、力になりたい。勿論、無理にとは言わないけど…。」

どうせ霊夢には分からない、とか思ってしまう自分が心底嫌だ。霊夢はこんなに優しいのに、それに比べて私はどうなんだ。

でも、こんなこと霊夢に話せる勇気がない。話したことで気を遣わせたりとかさせたくない。


「…すまんが、今日は帰るぜ。」

箒とその他の持ち物諸々を持って、箒に跨ぐ。後ろから呼び止める声が聞こえてくるが、私はそれに応じなかった。


ーー

ーーー

本当に、どうしてしまったのだろうか。私が居ると足手まといだから、異変解決を一緒にするのはやめにした。それだけなのに。

何だかモヤモヤする。


「…今日はもう寝よう。」

もう何も考えたくなかった。乱雑に帽子を投げ、私はベッドに突っ伏した。








「…どこだ?ここ。」

何時の間にか私は知らない場所に居た。試しに自分の頬をつねってみても痛くないので、これは夢だと分かった。俗に言う、明晰夢という物だろうか。

ふと顔を見上げると、見覚えのある紅白が居た。


「…霊夢!」

追いかけてみる。だが、おかしい。どんなにどんなに走っても、距離が縮まらない。気づいてくれない。

行ってしまう。


「待ってくれ!!」

そう呼び止めても、止まることなく歩み続ける。どうして、どうして置いていくんだ!

どれだけ呼び止めても、霊夢はそれに応じることは無い。どんなに走っても、指先すら触れることか出来なくて。

必死に走った所為か、転んで所々擦りむいている。


「…届かない。」

本当はずっと一緒に肩を並べたくて、でも私が弱いから。並べられなくて。


嗚呼、本当に行ってしまう!見えなくなってしまう!


「おいていかないで…。」

夢の中で出た最後の言葉だった。





「…っ!」

気持ち悪い。背中に冷や汗が滲んでいる。外は薄暗くて、少し不気味だった。


「私は、何の為に追いかけているんだ…?」


元々、霊夢と一緒に肩を並べて行けるように奮い立ったことがきっかけだった。だが、霊夢と肩を並べて、力を合わせるということが無くなった今、私は何の為に彼奴を追いかけているのだろうか。

反対に、置いていかれるのも嫌だった。何でかは、分からない。ただモヤモヤとする気持ちが私の心に佇んでいて、もどかしい。

私はどうすればいい?


「分からない…。」


もう自分が何をしたかったのか、分からなくなってしまったのだ。


ーー

ーーー

それから私は博麗神社に行かなくなった。一度博麗神社に行こうと試みたこともあったが、向かう途中で鉢合わせたアリスにとても心配させてしまった。顔色が酷すぎる、と。少し休むことを勧められたので、今は行っていない。


最近おかしい。自分が自分じゃないみたいで。違う、霧雨魔理沙はこんなのじゃない。私はどうすればいい?どうすれば戻ることができる?


おかしい

おかしい


へんだ


わからない


ーー

ーーー

思考がどんどん掻き乱されて、ぐちゃぐちゃになって。抑えきれない自己嫌悪や自責思考で押し潰されて。

もう何もしたくない。どうして、どうしてこんな風になってしまった?どうしてこんなに苦しいんだ?何で、何で誰も助けてくれないんだ!

でもこうなったのは全部自分の所為で、誰も悪くなくて。そんなこと分かってるのに、こんな風に思ってしまう。こんな自分が嫌になる。


いつもは暇さえあればしていた魔法の研究もしなくなった。もう彼奴を追いかける必要もないし、いいだろう。



突如部屋にノックの音が響いた。どうしよう、誰だ?


「魔理沙、居る?」

霊夢だ。心配して来たのだろうか。でもこんな顔色見せられない。必死に笑顔を取り繕うとしても、ぎこちなくて、どこか引き攣っている。ドアを開けられそうにないので、ドア越しで会話をすることにした。


「すま…ない、今日は、会えそうにないぜ。折角来てもらったのに…悪い。」

声を出す気力すら無い身体を必死に言い聞かせて、喉奥から声を出した。ドア越しだが、しっかり聞こえているだろうか。

「…分かったわ。別に、謝らなくてもいいから。じゃあ、またね。」


また、心配を掛けていないといいんだが。最近、生きていても、誰かに心配しか掛けなくて、誰も幸せに出来ていない気がしてきた。


ーー

ーーー

あれから霊夢が毎日のように家に来る。毎度断っているが、次の日にはお構い無しに来る。流石に執拗いんじゃないか?



今日もノックの音が鳴った。毎度ドアまで歩いて行くのも面倒に感じてきた。


「魔理沙、居る?」

「…毎度なんなんだ?流石に執拗いぞ。」

いつものように追い返す形で話を進めようとした。が、今日の霊夢はいつもとは違った。


「…魔理沙!ドア越しでもいいから、少し話したいことがあるの。

私は、魔理沙に話して欲しい。」

「え?」

「最近、絶対何か抱えているでしょ?

大事な人が、ずっと悲しそうにしてるのは嫌なの!

だから、無理にとは言わないけど、話して欲しい。」


全て、勘づかれているような気がする。

でも、また心配を掛けたくないから。

「…何を言っているんだ霊夢!私は本当に悩み事なんか——」

「私、本気だから。」

「……。」

ドア越しでも分かるような真っ直ぐな眼差しを感じた。


「けど、霊夢に話したって、」

「全部、受け止めるから。例えそれがどうしようも出来ないことだったとしても、話ぐらい聞いてあげたいし、寄り添ってあげたい。」

嗚呼、此奴は本当に。どうしてこんなにも優しいのだろうか。思わず涙ぐんでしまう。


「……本当に、いいのか?あんなに、あんなに心配を掛けたのに、不安にさせたかもしれないのに…!」

「勿論。」


きっと、霊夢なら。

そう思って、ドアを開ける。そこには優しい顔をした霊夢が居た。


「霊夢…。」

「いいわよ、魔理沙のタイミングで。」



「わた、し…ずっと、霊夢と一緒に肩を並べていたくて、いっぱい、努力した。…けど、霊夢がどんどん先へ先へ行ってしまってる気がして…怖くて。それで人里で、私が霊夢と一緒に異変解決してると、足手まといって誰かが言ってて…霊夢の悪口も言われてた。それが…嫌で、苦しくて、霊夢と一緒に居るのが怖くなって。…私が弱いから、霊夢に届かなくて、迷惑をかけて…もうどうしようもなくて。…こんな状態じゃ、会ってもまた心配をかけるだけだと思って…、会えなかった。こんな身勝手な私で、本当に、ごめんなさい…。」

「いいのよ。寧ろ、アンタは優しすぎるのよ。」

「わざわざ私の為に、自分のやりたいことを辞めたんでしょ?他がどうであれ、私はそれが凄く嬉しかったわ。

…でも、たまには自分ことぐらい気にしてあげてもいいんじゃないかしら。1人で抱え込むと、いつか絶対爆発してしまう時が来るからね。きっと、それが貴方にとって今必要なことじゃない?

後、置いて行くようなことをして、本当にごめんね。沢山、不安にさせて、苦しませてしまったわよね。本当にごめんなさい。もう、絶対そんなことしないから。裏切らない、約束するわ。絶対一緒に居るからね。というかこれからは、ずっと一緒に居させて!これは親友としても、好きな人としても、ね。」


手を握って、そう言ってくれた。それが、本当に本当に嬉しくて。涙が溢れ出て、止まらないぐらい。それは霊夢も同じであって、お互い泣いていた。


「あぁ!私も、ずっと霊夢と一緒に居たい…!」

「ふふ、やっぱりアンタは笑顔が似合うわね。」

「へへ、いつか絶対、お前に追いついてやるからな!」


何時の間にかお互いのことを抱き締めていて、柔らかい肌がくっ付き合っていた。


私は、『ずっと一緒にいたかった』んだな。

私は今、世界で1番幸せ者だ。大好きな人と、こうやって一緒に抱き締め合えて。


こんな時間が、ずっと続くように。

これからも、一緒に!

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