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撮影後
(青)
撮影が終わり、スタッフが片付けを始めた。
俺は平然を装いながらも、内心はざわついていた。
(……あれ、演技ちゃうやろ。ないこの反応……俺が知っとるあいつやない、っ)
ないこは無言で衣装を脱ぎ、タオルで汗を拭っていた。
額の汗は演技のせいではなく、抗いきれなかった感覚のせいだった。
(桃)
(……最悪だ。バレる……まろに、全部……)
二人の間に会話はなく、ただ重苦しい空気だけが漂っていた。
数日後
いれいすの収録。
いつも通りに集まったメンバーだが――空気は微妙に変わっていた。
「ないくん、今日ちょっと元気ないね?」
りうらにこやかに笑うが、鋭い目で観察している
「……そう? 別に、普通でしょ」
「……いや、違うよ。なんか、疲れてる顔してる」
いむも控えめに、心配そうに覗き込む
「ほんまや、ないちゃん。最近なんか、ようボーッとしてへん?」
しょーちゃんは軽口を叩くが、心の底では妙な違和感を感じている
「……お前ら。リーダーのこと詮索すんのはやめとけ」
あにきはそう言いつつも、視線は俺に向いたまま
俺は曖昧に笑ってごまかした。
(青)
そんなやり取りを横目で見ながら、俺は黙り込んでいた。
笑って場を盛り上げることもできたはずなのに――。
(俺のせいや。ないこの様子がおかしいんは、俺があの日……)
心の中に渦巻くのは、罪悪感と興奮の記憶。
撮影のとき、ないこの顔が頭から離れない。
そしてそのことが、今も態度に出てしまう。
りうらは静かに視線を送る。
(……まろもなんか変だ)
いむはノートを取りながら、チラチラとないことまろを交互に見る。
(ないちゃん……いふくんと目を合わせない……どうして?)
初兎は冗談めかして笑う。
「まろちゃん、なんやないちゃんとケンカでもしたん?」
その場は笑いで誤魔化されたが――
グループの空気は少しずつ軋んでいった。
(桃 )
一人になった部屋で、俺はベッドに沈み込んだ。
(俺はただ……興味で始めただけだった。
どんな世界か知りたくて、スリルもあって……
でも、あの日……まろと……)
胸の奥に焼きついているのは、抗えなかった快感と、まろの熱い視線。
(……もう戻れないのかもしれない)
目を閉じれば、あの現場の空気が蘇る。
グループの仲間に隠し続けることが、だんだんと苦しくなっていった。