コメント
2件
「ゔ…ぁぁぁぁぁぁ…」
グルはドロップの亡骸を抱え、涙した。
朝から夜まで泣いて気がつけば日が昇っていたほどだ。
グルの泣き声で目が覚めたグーロは目をうがった。
「何が…起きた?」
「…!」
ドロップの亡骸を見たグーロは
思ったよりも冷静だった。
「…そんな簡単じゃないよな。」
右手でグルの背を撫でると
一粒の涙を零した。
冷静に見えるが唇を強く噛んで血が出ている。
動かなくなった左手を右手で強く掴むと
魔王城を強く睨んだ。後悔と怒りの目だ。
「グル、グル!帰るぞ…家に。」
「…………分かった。」
グルは涙を拭うと亡骸を持って
グーロにすがるように飛んで帰った。
しばらくして家に着いた
グーロはアーメンと言うと十字を切った。
グルも十字を切る。
目の前にある十字架の木はドロップの墓だ。
グルが泣きそうになると、グーロが強く言い放つ。
「泣くな。泣いても戻ってこないのだ!」
「ドロップの分まで私達がきちんとせねば。
ドロップが悲しんでしまうだろう…!」
グルはハッとして涙を拭うと
心臓に手を当て墓に深く礼をした。
「…父さん。弟に会わせて。」
「…」
「分かった。付いて来い。」
グーロは林を駆け抜けると
空ではなく地下へ進んでいった。
何故なのかは分からない。
だが、下に行けば行くほど空気が美味しかった。
地下なのに緑が多い。
土の匂いと湿った葉っぱがゆらゆらと揺れている。
そんな道を進んでいけば
井戸のようなものがあった。
「ここに入れ。私も後で入る。」
グルは一瞬焦ったが、
弟がいるからと思い井戸に入った。
すると、グルは仰天した。
なぜなら地下のはずなのに
空から落ちていくと、下は真っ青。
青い水なんてものは見たことがなかったグルは
それですらも空だと思ってしまった。
だが、それは違ったのだ。
中に入れる。潮の香りがする。
これは海水だとグルは考えた。
「爽快だろう?」
グーロが海の中で言った。
「凄い。こんなところがあるのか。」
グルは海藻や魚を見ながら
目をキラキラとしている。
「こちらに来い。良いものに会わせてやる。」
グーロは海中を進んでいくと
大きな宮まで飛んでいった。
宮には東海龍宮城と書かれている。
「ここにお前の弟がいる。」
「ここに…」
期待と不安を抱きながら
グルが足を踏み入れると
青い鱗をした龍が素早い動きでグルに近づいた。
目元には赤い三角模様がある。
「お前、グーロの息子だな?」
「そ…そうだが…」
「入れ入れ!我が名はサーガラ龍王。海神さ。」
顔を近づけるとサーガラはニコッと笑う。
グルは何処か不信感を覚えた。
「サーガラ。俺は子供を見に来ただけだからな。」
「え〜冷たいねぇ。たまには遊んだらいいのに。」
「…黙れ」
グーロは冷たく言い放つと
宮に入っていった。
立派な玄関を右に曲がって
大きな部屋に入ると青色の鱗に
赤い三角模様の竜が居た。
歳は十歳ほどだろうか。
まだ幼かった。
「親父?」
竜が首を傾げるとグーロが頭を撫でる。
グルは竜の隣に行った。
「………サファイアみたいな色だな。」
「_よし。今日からお前はサーフィーだ。」
サーフィーはそう言われると
エメラルドグリーン色の目をキラキラさせて
グルを見つめた。
「俺はお前の実の兄であるグルだ。」
「へぇ〜じゃあ、兄ちゃん?ってことになるんだね。」
「あぁ。」
グルは頬を赤らめて頷いた。
それにグーロが少しだけ微笑むと
サーガラがニヤニヤと笑う。
「この調子だと、もうここには居ないほうが良いね。」
「お前は駄目かもしれないけどBIRDが居るし。」
サーガラが言うとグーロが首を傾げる。
「BIRD?誰のことだ?」
「…!ふふ。グルのことだよ。」
サーガラは笑うとグルを呼んだ。
「グル、お前にはこれをやる。」
「これって…?」
鳥のようなマスクと黒衣(黒い白衣のようなもの)
を渡すとサーガラはくちばしを指さして言った。
「ここには薬草が入れられている。
お前の匂いを消すためさ。
このマスクの名はペストマスク。」
「ヨーロッパに伝わるマスクだよ。
お前には二つやるから、これを持って天界に行け。」
「なんで天界?」
「お前は手術出来るみたいだし、
器具とか揃えるんだ。人工心肺とか色々あるでしょ。
細かいことは知らないけど。」
はいっとペストマスクをグルに着けると
思ったよりも似合っていた。
「よし。翼はマントに隠してね。角は帽子に…」
「こうか?」
「そうそう。一つは和服だからクル…じゃなくて
誰かにあげてね。そう、助手が出来た日に。」
サーガラとそう話したあと
グル達は帰った。魔界を通って
天界へ行こうとしたのだが、
ここでもう一つ事件が起こる。