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パシイイン!
鋭い音。
「っつてえな、俺らまたガキなのに容赦なしかよ!」
一人の黒髪の少年。その周りにいる二人の男女。
「まだまだだな、ゼル、ライト、ユリイ。3人がかりで一本も俺に入れられないとは俺までの道なんて一億あっても足りんぞ」
笑顔で喋りかける長身のじいさん。
「山爺師匠、あんたリードなしで刀一本で段階戦で見事優勝したわよね、そんな人に竹刀同士でまともに戦えるわけないじゃない!」
「そんなこともあったのう。ではもうひと勝負行こうか」
「「「げえっ」」」
パシイン!パシイン!パシイン!
見事みんなボコボコにされた。
平和なここ、山道場。ブラン島の東端、港町ゲルトにある。しかし、今日は少し様子がおかしかった。
「それにしても今日は雷がひどいのう。不吉じゃな」
「そうっすかね、たまにあるんじゃ…」
ドゴオオン!
今の音は明らかに雷ではなかった。
「お前ら、戦闘準備だ!やばい奴がきた。お前らは身を守るために武器を持っていなさい。決してこっちに来てはならぬ。死にたくないなら隠れておけ」
ぞわっ。今のは山爺じゃない。誰かが来ている。そいつが出した殺気。
「すぐ終わらせてやる」
山爺の体には澄み渡ったオーラがついていた。
「ったく、強いやつがいると聞いたらこのザマか。ただの老耄とやることになるなんて。まぁいい。殺すか死ぬかのデスマッチ。この緊張感たまんねえよな」
そこにはローブを被った男。
「誰だ?」
山爺が聞いた。
「ブランだ」
「ブランーー!裏切り者め、成敗してやる」
ヒュン
常人には地面を蹴った音が耳に届かないくらいの速度で山爺は地面を蹴った。そして決着は一瞬だった。
グサッ
「君は俺に心臓を貫かれる。もう終わっちゃった。残念だったね、ユウ。思い出したよ君のこと。だからじゃあな、戦友」
ブランという男の腕が山爺の心臓を貫いた。
悪夢という名の現実。剣の道を進むためには必要不可欠な人がこの世から消えようとしていた。