クリスマスは仕事を休んで1日出かけるかと誘ったがつぼ浦にはそんな張り切るのは恥ずかしいと断られてしまった。ならばせめて早めに退勤しようと気合を入れて一段落着くまで業務に勤しんだ。
「つぼ浦いたー!そろそろ帰ろ。」
「もうっすか?早くね?」
「だってせっかくのクリスマスだよ?2人でゆっくり過ごそうよ。」
「んーまぁじゃあ帰るかー。あ、スドバ前のフリーカだけ行くすか。2人で行けばチャチャッと終わるだろ。」
青井は早く2人になりたい一心でチェイスも牢屋対応も早急に終わらせた。
「よし終わった!今度こそ帰ろう、飯はどっか食べ行くんで良い?」
「…いや、家帰ろうぜ。」
「家で食べたい?じゃあなんか買ってくか。」
「あー、それもいらん。」
「え、食べないの?体調悪いか?」
「いや違くて…その、もう粗方作ってあるから…」
「え!?作ってくれたの!?いつの間に?」
「昨日の夜アオセンが寝てる時に、クリスマスだしと思って一緒に食べたくて…//あ、外で食べたかったすか?」
「んな訳無いだろ!うーわちょっと嬉しすぎるわ、早く帰って食べよう。」
つぼ浦の態度を見るに浮かれているのは自分だけかと少し気を落としていたが、青井以上に入念に準備していたのを知ると愛おしさが溢れ思わず顔を綻ばせてしまう。
「あ、でもケーキは買わないと無いぜ。」
「ケーキって作れたりするの?」
「いや流石にお菓子作りはした事ねーけど…スポンジと苺とかクリームとか買って飾り付けぐらいならいけんじゃないすか?」
「おもろそー!やってみようよ、買い物行くか。」
材料を買い揃えて帰宅すると早速キッチンに立つ2人。つぼ浦はスマホでクリスマスケーキの画像を検索する。
「お前はマメだなーこういうのはセンスとフィーリングで何とかなるだろ。」
「いや絶対目標のもの決めた方が良い物ができる。…あ、これどーすか。チョコも買ったからチョコホイップ作って、普通のとハーフ&ハーフ。」
「おー美味そう。じゃあ俺はー…まず苺切るか。」
青井が順調に進める中、つぼ浦はカシャカシャと生クリームを泡立てているが苦戦している。
「…ハァー、全然できねぇし腕がやられた…アオセン交代…」
「あれご自慢の筋肉はどこいっちゃったのかなー?俺に任せろ。」
青井も力任せに全力で混ぜるが中々泡立たず、暫くするとみるみる勢いが落ちていった。
「…これ重労働すぎんだろ…なんでできねーんだ…」
「チョコの方もやんねーと…」
「これ本当にできんの?嘘つかれてない?」
無言でひたすら混ぜ続け、やっと2種類共ホイップ状になった頃にはヘロヘロになっている。
「やっとできた…つっかれたぁ…」
「お菓子作りの大変さが身に染みて分かったぜ……そして次はお待ちかねの飾り付けタイムだ!」
「キター!待ってました!」
「アオセンはそういうセンスどうなの?」
「ん?まぁ見てろって。」
あーでもないこーでもないと言い合いながらスポンジの上にクリームを塗り、苺を並べる。時折つまみ食いをしながら案外順調に進み、最後のスポンジを重ねた。
「よし、こっからが本当の本番だな。アオセン先やって良いぜ。」
「どうやったら綺麗にできんだ?とりあえず塗ってみるか。」
「…おー、意外と上手い。」
「意外とはなんだwクリーム絞ってみなよ。」
「よしいくぜ…こんな感じか?」
「いーじゃんいーじゃん俺にもやらせて。…あ、これムズ…」
「失敗したら苺で隠蔽すれば良いんすよ、ほら。」
「うわお前天才かよ。こっちのチョコのほうもやるか。」
思わず息を詰まらせる場面もありながら丁寧に、慎重にクリームを塗り、絞り、苺を乗せていく。そして最後にチョコプレートを乗せた。
「…よし!かんせいだー!中々上出来じゃないすか!?」
「中々所じゃない、綺麗だしめっちゃ美味そうじゃん!」
「こんな上手くいくと思わなかったぜ!やったなアオセン!」
つぼ浦が目をキラキラさせながら青井のほうに顔を向けると頬にクリームがついていた。ちょっとじっとしてて、と言いそのクリームをぺろっと舐めてみる。
「なっ!?な、なんすか急に!?///」
「ん?クリームついてたからさ、味見♡」
「味見ならさっき散々してただろ!///」
「違う違う、つぼ浦の味見だよ。甘くて美味しい♡」
「な、んだよそれ…///」
耳まで真っ赤にしながら固まってしまったので青井はつぼ浦の両手を取り、後ろから抱きつかせながら後片付けを始めた。
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