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補足として、二人が「心中」を覚悟するほどの狂気的な執着へと至るまで、その空白期間に何が起きていたのか——。
宮舘さんの「静かなる独占欲」と、渡辺さんの「逃れられない依存」が加速した、象徴的なシーンを詳しく描写します。
それは、目黒さんや向井さんが加入し、グループが劇的な変化を遂げ始めた頃のことです。
新しい風に吹かれ、メンバーが外の世界へと視野を広げる中、宮舘さんだけは、隣に座る渡辺さんの「変化」を敏感に、そして冷徹に察知していました。
渡辺さんが他のメンバーと笑い合うたびに、宮舘さんは何も言わず、ただ渡辺さんの視界の端に立ち続けました。
ある日の収録後、疲れ切って楽屋で一人眠る渡辺さんの隣に座った宮舘さんは、その耳元で、羽毛が触れるような掠れた声で囁きました。 「翔太。……あいつらと笑っている時、お前は自分を偽っているだろう? 本当にお前を理解しているのは、俺だけだ」
眠りの中で渡辺さんの眉がピクリと動くのを見て、宮舘さんは満足げに微笑みました。言葉による「毒」を、渡辺さんの無意識に少しずつ流し込み、彼が自分以外の人間を信じることに「罪悪感」を抱くように仕向けていったのです。
渡辺さんは、次第に自分の価値を宮舘さんの評価の中にしか見出せなくなっていきました。 ダンスのキレ、歌の声量、そして日々の体調までも、宮舘さんの「今日の翔太はいいよ」という一言がなければ、不安で押し潰されそうになる。
ある夜、渡辺さんの自宅を訪れた宮舘さんは、鏡の前に立つ渡辺さんの後ろから、その首筋を大きな手で覆いました。 「翔太。お前の体には、俺の指の跡が似合うよ」
鏡越しに交差する視線。渡辺さんは、宮舘さんの冷たい指先に恐怖を感じながらも、同時に強烈な安心感を覚えていました。
(……そうだ。俺をこんなに強く求めてくれるのは、涼太しかいない。他の奴らは、俺が弱くなったら離れていくけど、涼太だけは俺が壊れれば壊れるほど、深く愛してくれる)
この時、渡辺さんの中で「恐怖」と「愛」の境界線が完全に消滅し、宮舘さんという檻の中に自ら鍵をかけて閉じこもることを決意したのです。
心中を決意する直前、阿部さんの監視が激しくなっていた頃。 二人は真夜中のスタジオで、鏡を真っ黒な布で覆い、外部との繋がりを一切絶った空間にいました。
「涼太。……俺、もう何も見たくない。何も聞きたくない」 「わかっているよ、翔太。お前が望むなら、世界を消してあげよう。……お前が俺の目になり、俺がお前の心臓になればいい」
宮舘さんは、渡辺さんの胸に耳を当て、その鼓動を一つひとつ数えるように抱きしめました。 渡辺さんは、宮舘さんの体温だけを頼りに、自分がこの世界に存在していることを確認する。 「誰にも邪魔させない。阿部も、目黒も、康二も……。俺たちの間に一滴の他人も入れない」
この異常なまでの排他的な愛が、あの岬の薔薇園での「婚礼」という、狂気の終着駅へと二人を突き動かしたのです。
物語の背景にある「執着」の輪郭。 幼馴染という純粋な関係が、長い年月をかけて「お前がいなければ完成しない」という呪いに変わってしまった、その切なさと美しさが伝われば幸いです。