コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
sn「お邪魔しました~!」
荷物をもち、靴を履く。
rd「ほんとに一人で帰れんの?」
sn「はい!子供じゃないんですから笑」
後ろに立っているらっだぁさんと向かい合うように立った。
お礼を言い、ドアノブに手をかける。
外は晴れているものの、雪がパラパラと降っていて寒い。
sn「それじゃあまた」
rd「うん、気を付けてね」
彼に手を振り、扉を閉めた。
今日は午後から撮影がある。
今は10時半。急いで帰ろう。
sn「ただいま~…」
自宅のドアを開けながらそう言い、中に入った。
家の中は薄暗く、肌寒かった。
暖房をつけ、撮影の準備をする。
ポロン
pi「え?しにがみが約束の時間前に来るとか珍しっ! 」
いつもの通話に入った瞬間、聞き慣れた声が僕の耳に届いた。
sn「今日出掛けてたんで笑」
pi「へ~」
沈黙が続く。いつもならいろんな話題が出てくるが、
今は楽しく話す気分ではなかった。
パソコンの前でぼーっとしていると、ぺいんとさんが僕の名前を呼んだ。
pi「お前さ、らっだぁと付き合ってんの?」
sn「へあ?!///」
唐突な質問にビックリし、つい変な声を出してしまった。
彼はそんなこと気にしていないのか、ずっと黙っている。
sn「いや…付き合ってないですよ…//」
pi「ほんとに?」
sn「はい…てかなんでそんなこと聞くんですか…//」
僕は真っ赤になりながら、彼のスキンを見つめて言った。
pi「いや~俺見ちゃったんだよねぇ」
そう言うと、座り直したのかヘッドフォン越しからガタッという音が
聞こえてきた。
顔が段々青ざめていく。 何を見られたのか大体は予想がついていた。
pi「らっだぁとラブホ行ってたやろ?」
sn「……………」
pi「行ってたんだ…」
暗く、低い彼の声が僕の頭の中に響く。
僕はらっだぁさんとラブホに行った日のことを思い出した。
いつもは彼の部屋でヤっているが、その日は二人でお出掛けしていて、
たまたま近くにあったラブホですることになったのだ。
pi「あのさ」
頭の中で言い訳を考えていると、彼の声が耳に入ってきた。
自分の唾を飲み込む音が聞こえる。心なしか、少し手も震えていた。
pi「撮影が終わった後、話したいことがある」
ピロン
kr「あれ?もうしにがみくんいんの?珍しいね」
sn「それぺいんとさんにも言われました笑」
ピロン
tr「あれ、もうしにがみさんいるんだ笑、珍しっ笑」
sn「それ今クロノアさんにも言われました笑」
pi「デジャブじゃん笑」
三人が一斉に笑いだす。僕も皆につられて笑いはじめた。
やっぱりこの時間は辛い事を忘れられるから楽しいな。
なんて考えながら、さっきぺいんとさんに言われたことを思い出した。
『撮影が終わったらしにがみの家の近くにあるファミレスに集合な』
二時間後、無事撮影が終わり、僕は出かける準備を始めた。
まぁ準備といっても財布だけで十分だろう。
sn「いってきまぁす…」
誰もいない部屋にそう言い、玄関を出た。
ファミレスの中は人が少なく、先に来ていた彼もすぐに見つけることができた。
僕は彼の目の前に座った。座ったのと同時に、彼の口が開いた。
pi「あの時からだよな」
sn「え…?」
pi「お前とらっだぁの関係ができたの」
彼は僕を真っ直ぐ見つめ、そう言った。
あの時…。多分らっだぁさんの家で宅飲みをした時の事を指しているのだろう。
僕は俯いたまま頷いた。
pi「……もしかしてらっだぁの事好きだったりする…?」
sn「いやいやいやいや!!///ないですよ!//」
彼は目を細めた。僕を疑っているのだ。
sn「ただ気持ちよくてヤってるだけです…!//」
pi「ふ~ん」
彼は椅子に深く座り直し、少しの間目をつむった。
まだ顔が熱い。きっと耳まで真っ赤なんだろうなー…。
pi「じゃあさ」
突然彼が目を開け、体がびくついた。
机が小さく揺れる。
pi「俺でもいいってこと?」
脳が停止した、ような気がした。
とりあえず何か言わなければと思い、声を絞り出す。
sn「そ…うですね……」
pi「気持ちよかったらいんでしょ?」
確かに最初は気持ちよくて行為を続けていた。
でも今は違う、彼が好きだから。触れていたいから行為をしているわけで…。
いや待てよ……。
sn「はい…気持ちよかったら誰でもいいです…」
僕は彼の顔を見ずにそう言った。
”誰でもいい”なんて、呆れられてるかな。
だけどらっだぁさんを忘れられるなら。諦められるなら。
sn「だけど…その、えっと……」
誰でもいいはずなのに…。
彼が僕の名前を呼んだのは、沈黙になりしばらく経った頃だった。
僕は恐る恐る顔をあげた。
pi「今からお前にキスするから、嫌だったら逃げて」
sn「え!?ここでですか…?!」
pi「人少ないし、定員さんからも見えない位置だから大丈夫だろ」
sn「いやそういう問題じゃ──」
彼の顔がゆっくり近づいてくる。
まるで僕以外がスローモーションになったようだった。
僕はぎゅっと目をつむった。
きっとこれは試されてるんだ。 僕がぺいんとさんを受け入れるのか。
もちろん僕は受け入れるよ、あの人を忘れられるなら何だってする。
チュッ
唇に柔らかいものがあたり、すぐに離れた。
pi「いいってことでいんだよね?」
息を吸い込み、返事をしようとしたその時だった。
rd「そこで何してんの?」
横から見覚えのある顔が、目を丸くして僕たちを見つめていた。