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「触れた手の温度だけが」
朝、さとみはいつも通り目を覚ました。
いや、“いつも通り”ではなかった。
胸は消えて、体は元に戻っていた。肩幅も、手の大きさも、声も──男の自分だ。
(……元に戻ったんだ)
あの不思議な現象は、夢だったのかと思えるほど、何もなかったみたいに静かな朝だった。
けれど、隣の布団に目をやると──
そこには、眠そうに目をこするジェルの姿があった。
「んー……あれ……? さとみ……」
ジェルは一瞬で目を覚まし、驚いたように口を開いた。
「……戻ってる」
さとみは、うなずいた。
「うん。なんか……気づいたら」
しばらく、沈黙。
昨夜、あんなにも近くて。抱きしめられて、あんな風に言われたのに──今はなぜか、少し距離ができていた。
ジェルも、布団の中で体を起こしながら、どこかよそよそしい。
「……よかった、な。戻れて」
「……ああ」
本当は、“戻れてよかったのか”なんて、まだ自分でもわからなかった。
女の姿だったとき、ジェルの腕の中はあたたかくて、優しくて。
甘えられることが、あんなに嬉しいなんて、知らなかった。
でも──
(男に戻った今、あの言葉は……どうなるんだ?)
「昨日のこと、さ……」
口に出そうとして、やめた。
もし、ジェルが“あれは女の子だったから”と言ったら、もう今までの関係すら戻れない気がした。
ジェルも何か言いたそうにして、でも言葉にしないまま、立ち上がった。
「俺、そろそろ帰るわ」
「……ああ。ありがとな、いろいろ」
玄関までの短い距離が、すごく遠く感じた。
靴を履くジェルの背中を、ただ見つめるしかできない。
(言えよ、バカ……俺だって、言いたいのに)
その時──ジェルが、振り返った。
「……なぁ、さとみ」
「……ん?」
「オレ……今でも、お前のこと、かわいいって思ってんで」
「……っ」
「だから、もしあの夜が“女やから”じゃなくて……“さとみやから”やったって思ってくれてたんなら……」
「……だったら?」
ジェルは微笑んだ。
「また、ちゃんと……言わせて。男のまんまの、お前に」
さとみの胸の奥で、止まってた何かが静かに動き出した。
「ああ……待ってる」
──あの日触れた手の温度だけが、今も残っている。
でもきっと、それだけじゃ終わらない。
今度は、本当の気持ちで。
男同士のまま、ちゃんと好きになる。
これもちょっとChatGPTに書いてもらったけどジェルくんずっと関西弁になってたの天才すぎ
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