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入院生活も1週間が経過した。

長〜い検査が終わって部屋に戻ると、ベッドの上に大きな紙袋とメモ用紙が置かれていた。

なんだこれ?

「雛さん、これ何か知ってます?」

カーテンから雛さんが顔をだした。

「あ〜、さっき2人組の男の子が来て、その袋を置いて行ったよ」

「2人組の男の子?」

「えっとね、1人は青のチェック柄の服にピンクの眼鏡だった。もう1人は、何かのキャラクターのTシャツを着てたよ」

あ、わかった。あいつらだ!

「そいつら、多分僕の友達です」

「そうだったんだ。優しい友達だね」

どうやら友達がお見舞いに来てくれていたみたいだ。来るなら来るって連絡くれればいいのに。

紙袋の横に置かれているメモ用紙を開けた。


『LINE見ろ!!!!!!!!』


スマホを開けると、あいつらからすごい数のメッセージが来ていた。

……ごめん! 心の中であいつらに謝った。後でしっかり謝っておこう。 僕にはメールやLINEの通知を溜め込む癖があり、常にアイコンの右上に表示される通知数が3桁になっている。その為、誰かからLINEが来ても気づかず、丸1日返信しないなんてこともざらにあるのだ。

紙袋の中を確認すると、大量のお菓子が入っていた。って、こんなに食えるか!!

後で雛さんに分けてあげるか。


「あの2人って学校の友達?」

「そうですよ」

「いいな、学校か〜」

「学校ってそんなにいいですか? というか、雛さんも学校行ってたでしょ?」

雛さんの表情が少し暗くなった気がした。

「ううん、私、学校に行ったことないよ。小さい時からずっと入院してて、病院の外に出たことがないの」

そうだったんだ…… 僕は衝撃の告白に固まってしまった。

「だから学校とか友達とかって憧れるの。夢なんだ、病院の外の世界って」

雛さんは窓の外を眺めながらそう言った。

「いつか一緒に行きましょう。僕が退院して、雛さんも退院したら」

「うん。退院したら……ね」

雛さんは浮かない顔をしていた。


「はい、この話はもうおしまい!そうだ、その紙袋の中って何が入ってたの?」

「え、ああ、大量のお菓子が入ってました」

ベッド横に置いていた紙袋を雛さんの手元に置いた。雛さんは紙袋の中を覗いた。

「うわぁ、ほんとだ。お菓子がいっぱいだね」

「雛さんってお菓子食べます? よければ半分貰ってくれませんか?」

「え、いいの? やったー!!」

雛さんは子供のように喜んでいた。

「お菓子かー、最後に食べたのいつだったかな。病気で食べちゃダメ!って言われてたから、ずっと食べさせてもらえなかったんだ」

「今は食べて大丈夫なんですか?」

「今はそんなの気にしなくて大丈夫だよ」

紙袋からお菓子を半分程取り出し、雛さんに渡した。

「ゆいとくん、ありがとう。これで楽しい楽しい入院生活が送れそうだよ!」

「お菓子のパワー凄いですね」

喜んでもらえたなら何よりだ。



コンコンと扉をノックする音が聞こえた。

「大浦さん、準備できてますか?」

看護師さんが入ってきた。

「はい、すぐに行きます」

僕は急いで荷物をまとめた。


「雛さん、検査行ってきますね」

「うん、いってらっしゃい」

僕は部屋を出て、看護師さんのもとに行った。


「すみません、遅くなりました」


また看護師さんが不思議そうな顔をしていた。


「あの、大浦さん」

「はい?」


「いつも部屋で誰と話しているのですか?」

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