「_はっ、、、」
外から小鳥の囀りが聴こえる。
汗でビッショリと濡れたシャツ。
いつもと変わらない朝。
そう。
いつもと変わらない。
〝あの日〟から、この毎日の繰り返しだ。
もう、この世には居ない幼馴染の悪夢を見てしまう。
事故があったあの日の、どうしようもない怒りと絶望感が記憶の中で今も生きている。
『_サク、ラ、、、』
「うっ、、、おぇ、っ、、」
空っぽなはずの胃から、出てくる胃酸。
喉が焼けるように痛い。
今も、トラウマと化しているあの瞬間を思い出すと嘔吐をしてしまう。
だけど、もう一度彼女に名前を呼ばれたい。
密かに思っているこの願いは、誰にも言えない自分だけの秘密。
ーーー
制服を着て、学校へ向かう。
いつも通り、歩いていると後ろから走ってくる音が聞こえる。
「サクラちゃぁぁぁぁぁんっっっっ‼」
「わっ、、、」
後ろから勢い良く抱きついてくるそいつに回し蹴りをかます。
すると、腹を抑えながら悶えていた。
「か、加減を覚えようか、、、」
苦笑をするこいつは、《夏宮 ウミ》
自分の幼馴染で、一つ年上だ。
「、、、避けないほうが、悪いと思う。それに正当防衛だし」
「くぅっ、サクラちゃんは辛辣だねぇ」
ウミを無視して、学校へ向かう。
何か聞こえたが、ろくなことはないので無視する。
ーウミsideー
俺の名前は、夏宮ウミ。
高校3年生だ。
いきなりだが、俺には幼馴染が〝2人〟いる。
1人は、とてもとても辛辣な高2の《春河 サクラ》
(※ウミに限る)
もう一人は、三年前に亡くなった《冬咲 ユキメ》
生きていたら、俺と同い年だ。
サクラは、ユキメが死んでから変わってしまった。
前はー
「ウミ。ユキメと3人でお買い物に行かない?」
穏やかで、3人の中で一番大人びていた。
ユキメと俺は、よく喧嘩をしていたがその仲裁をしていた。
なんなら、一番怒らせてはいけないタイプだ。
でも今となっては、あの優しさがどこへ消えたのかとてもとてもとても辛辣で生意気なガキになってしまった。
「3人一緒、、、だったのになぁ」
ー
「ユキメっ」
ー
「ユキ、メ、、、?」
ーー
「「((今年の〝冬〟も、寒そうだ、、、))」」
訳︰今年も、ユキメが居ないのか
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