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#シリアス
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僕は自分の席で、壊れ物を扱うように何度もスマホの画面を見つめていた。
《今週末、〇〇河川敷にて花火大会開催》
地域の広告アプリに躍る、鮮やかな火花のアイコン。
遊園地に行ったあの日から、僕の中で何かが変わり始めていた。
(……これ、天馬くんを誘うのに、ちょうどいいかも)
あの時、彼は「嬉しい」と言ってくれた。
また一緒に出かけたい。
今度は僕が、彼を楽しい場所に連れ出したい。
……僕の意志で、誘いたい。
「ねぇねぇ天馬くん!」
思考を遮るように、教室の前方で華やかな声が弾けた。
クラスの女子たちが、天馬くんの机の周りに集まっている。
「今週末の花火大会、一緒に行こーよ!去年も盛り上がったじゃん!」
「そうそう、みんなで浴衣着る予定なんだから、天馬くんもさ!」
「……っ」
胸の奥が、ぎゅっと締め付けられる。
分かっていたはずだ。
彼は、僕とは住む世界が違う人気者なのだ。
女子とも物怖じせず話し、誰からも好かれ、その中心にいるのが当たり前の存在。
(……僕と行くより、あの中に行く方が、きっと楽しいよね)
暗い思考が、泥のように足元から這い上がってくる。
自分なんかが声をかけたら、彼のキラキラした時間を奪ってしまうんじゃないか。
そんな恐怖が指先を冷たくしていく。
でも。
ここで引いたら、また“あの頃”と同じだ。
「嫌われるのが怖いから」
「邪魔をしたくないから」
「迷惑をかけたくないから」
そうやって勝手に壁を作って、決めつけて、自分から繋がりを断ち切ってきた孤独な日々。
(……だめだ。仲良くなるって決めたんだ)
僕は膝の上で、白くなるほど拳を握りしめた。
天馬くんと本当の意味で仲良くなりたいなら、この震えを飲み込んで、一歩踏み出さなきゃいけない。
僕は椅子を引く音を立てて、勢いよく立ち上がった。
心臓の音が耳元でうるさく鳴り響く中、女子の輪の中にいる彼の背中へ歩み寄る。
「……て、天馬くんっ」
かすれた声。
自分でも驚くほど小さい声だったけれど、彼はすぐに気づいて振り返った。
「あ、水瀬。どした?」
「…っ、は、話があって……今、いいかな……」
女子たちの視線が痛い。
喉がカラカラに乾いて、呼吸が浅くなる。
天馬くんは一瞬、女子たちの方を見てから、迷いなく椅子から立ち上がった。
「ごめん、ちょっと行ってくるわ。続きはまた今度な」
ひらひらと手を振り、彼は僕の横に並ぶ。
「ここじゃ落ち着かないよな?屋上行くか」
「……う、うん」
屋上へ続く階段を上るたび、緊張で足が重くなる。