テラーノベル
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「あのっ‥‥大丈夫ですか?どこか具合でも悪かったりしますか?」
「‥‥っ‥‥」
何故だか足から力が抜け、その場に崩れ落ちてしまう
俺を心配して鍵を拾った彼が俺の肩を掴んだ
「ちょっ‥‥!本当に大丈夫ですか⁈」
「っ‥‥大丈夫で‥‥すいませ‥‥」
「鍵開けてもいいですか?立てます?」
「大丈夫っ‥‥ひっ‥‥」
口から言葉を出そうとする度に泣いてしまう
俺の感情がどうなってしまったのかわからない
それどころか息が苦しくなって来た
玄関に入ると壁に手をつき、胸を押さえる
「えっ⁈大丈夫ですか、お隣さん!」
「っ‥‥うっ!‥‥ひっ‥‥!」
「もしかして息できない?」
ガサガサと音がした
床に何かばら撒いている
「ごめんね!これ口に当てて!」
口元にナイロン袋をあてられ、しばらくすると呼吸が落ち着いて来た
「‥‥ハァ‥‥ハァ‥‥」
「落ち着いて来た?」
「ハァ‥‥ハァ‥‥」
俺は声に出さずに小さく頷いた
「ちょっと家に上がらせてもらうね?立てそう?」
「‥‥はい」
俺は彼に腕を掴まれ、腰を支えてもらいながらリビングのソファーへと連れて行かれた
そして苦しかった呼吸を整えていると、隣人だと思わしき彼がキッチンへ向かうと水を持って来てくれた
「勝手にごめんね?落ち着いたら飲んで」
そう言いながら俺の手首を取った
何してるんだろう‥‥
「落ち着いて来たね。大丈夫?体調悪そうだけど」
「‥‥すいません、ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ勝手に色々して申し訳ない」
「そんな‥‥」
「一度病院で診てもらった方が良いかもね。私が診てあげれたら良かったけど、生憎資格は持ってなくてね」
「え‥‥?」
「すぐそこの病院に勤める予定なんだよね。って言っても僕はソーシャルワーカーだから医療の方はあまり詳しくなくて」
「‥‥?‥‥そうなんですね」
よくわからなかったけど、どうやら医師や看護師ではなさそうだ
「あ‥‥帰る前に荷物拾わないと」
「え‥‥?」
廊下を見るとおにぎりやジュースが散乱していた
俺の為に袋を空けようとして中身を出したからだ
「あっ‥‥すいません!」
「大丈夫だよ。袋持ってるから」
「でもそれさっき俺が‥‥」
「気にしないで」
そういうと彼はその袋に荷物を詰め始めた
「あ、挨拶忘れてた」
「え?」
「すいません、挨拶遅れて。私、隣に越して来た甲斐田晴です。よろしくね」
「あ‥‥こちらこそ今日はご迷惑かけました。小柳‥‥ロウです」
「ロウ君ね?これからよろしく!」
一番みっともない姿を見られた
これが甲斐田さんとの出会いだった
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