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これは、ある兄弟のお話。
ガチャン。帰ってきたら、いつも通りの声と、いつも通りの風景が俺の目の前に広がる。
「あ、兄さん。おかえり。」
と俺の妹、メリアが出来立ての食事を机に並べながら笑顔で俺を出迎えてくれた。
だが、それとは真反対に、俺は憂鬱な声で上着を脱ぎながら
「あぁ」
と返事をした。
「…?兄さん?どうしたの?顔…暗いよ?」
メリアは心配そうな顔で俺の顔を覗き込み、そう言った。
「メリア…落ち着いて聞いてくれ。俺はどうやら…劣進病にかかってしまったみたいなんだ…」
ガシャンッ
メリアが持っていたお皿が落ちる。
「…嘘…でしょ?」
俺はマリアの顔を見れず、俯き気味でフルフルと 頭を振る
メリアは絶望した様子で
「そ…んな…」
劣進病とは、なったものは1.2年以内に死に、見た目が劣化する。だが、その代わり身体能力が爆段に上がるという病気だ。そして、かかったものは容赦なく戦争に送られる。
…戦争の道具としてちょうどいいからだ。
俺は慌てて言い訳を考え
「っだが大丈夫だ!最近薬が開発されたと聞いた!それを買えば…」
俺が言い終わらないうちに
「無理よ!それは上流階級の人達しか買えないし、もし買えるとしても莫大なお金がいる。そんなお金私達親もいない兄弟に払えるわけがないでしょ?」
震えた声で言う。
「…」
俺は何も言えなかった。
そんな俺を見越してか、メリアは俺に優しい声で
「…まぁ良いわ明日も仕事でしょ?早くご飯食べて明後日ゆっくり話しましょう。」
メリアが食事の準備の続きを始める。
「仕事も…辞めさせられた。戦争の準備をしろと。」
メリアは手を止めることもなく
「そう…」
と一言だけ呟いた。
その顔は少し曇っていたような気がする。
次の日
ドタドタという足音が聞こえてくる
バタンッ!
すると血相を変えたメリアが俺の部屋に入ってきて
「兄さん!大変よ!」
フレークは眠い目を擦りながら
「何だ?」
メリアは俺の腕を強引にひっぱり
「とにかく来て!」
フレークは何事かとメリアに案内されるまま、リビングの窓があるところまで誘導された。そして窓の外を見た瞬間目を見張るような情景が広がっていた。
「嘘…だろ?」