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私の名前は木津江 千明

レイちゃんとアイちゃんの友達になれた。ことが嬉しくて廊下をスキップで通っていると、バシッと誰かが殴られる鈍い音が聞こえてびっくりした。

正直関わりたくなかったけど、暴力を学校内で振るうなんて信じられない!注意しようと思って近づくと、アイちゃんが殴られて床にぐったりと倒れていた。

「ア、アイちゃ…、」

頭が真っ白になったけれど、すぐに助けなきゃと思って

私が走って助けに行こうとすると、レイちゃんが隣をすっと通った。そして顔を見ると夜よりも深い真っ黒な瞳になっていた。

「え…?レイちゃん…目が…」

次の瞬間、クラスの金髪ヤンキーの瀬尾がレイちゃんに殴られた。

みんなが震えだし、恐怖に怯えていたけれど私はアイちゃんを助けなきゃと、急いで職員室に走った。

でも、私は体が小さくて運動が出来ないからなかなかつかなくて、途中で泣いてしまった。

「うわぁぁぁ」

グズグズ泣いていると炎夏先生が私に近づいてハンカチを出した。

「木津江さんどうしたの?」

私は先生が見つかったとほっとしてさっきよりも酷く泣いてしまった。

「アイちゃんが…瀬尾くんに殴られてひっく、床にぐったり倒れてて…」

伝わったか不安になってしまったけれど先生は

「泣かないで木津江さん、先生が言ってくるね」

「はい…」

その後のことはよく覚えていないけど、保健室でアイちゃんが寝ているベッドに顔を伏せて泣き疲れて寝てしまうまで泣いてしまった。

アイちゃんが起きたのは夕方で私はギュッと抱きついてしまった。

「うわぁぁぁぁあ、よかったぁ」

鼻をすすりながら泣いているとレイちゃんに剥がされた。

「千明ちゃん、アイ病院に行かなきゃ、先生に言っておいてくれる?」

「う、うん」

振り返って目の色を確認すると元の茶色に戻っていた。

その後、保健室から出ると炎夏先生が立っていて、先生に「アイちゃんは病院に行くそうです」と伝えて教室に戻った。

私は途中から見ていなかったから、瀬尾くんがどうなったのかクラスメイトに聞いた。

でも、誰一人として、さっきの事を覚えていなかった。瀬尾くんは階段から落ちて顔に怪我をしてしまったらしい。

「え?覚えてないの?」

私は瀬尾くんがレイちゃんに殴られた事を覚えていたから、凄く不思議に思った。

「何言ってんの千明笑、瀬尾は階段から派手にずっこけて落ちたんだよ?笑」

「じゃ、じゃあ、アイちゃんは?」

みんな顔を見合せて、言いにくそうにすると生徒会長の私の幼馴染の雅晴が口を開いた。

「千明、天笠妹は窓から落ちたんだぞ?それに天笠妹は瀬尾の件とあんまり関係ないじゃないか?見てなかったのか?」

「そ、そっかぁ〜w」

「お前、どうしたんだ?」

「なんでもないよ…」

違和感を覚えながら、今日の授業は終わって家に帰った。

次の日、学校に行くと瀬尾くんの机に花瓶があって、その中にアザミが入れられていて綺麗に咲いていた。

アザミの花言葉ってなんだったっけ?

まぁ、いいや

軽い気持ちで考えていたけど、その後に先生から聞かされた最悪なニュースで花瓶の意味がわかった。

「え〜、HRを始めるぞ、だが最初に悪いニュースだ。」

「どうしたんですか〜?」

派手なギャルが先生に問いかけて、みんながザワザワしだした。

「実はな…」

先生は顔をしかめながら、咳をして言った。

「瀬尾が死んだんだ…」

え?あんなに元気で午後の授業もピンピンして、なんにもなかったみたいに受けてたのに!?背筋に寒気がしたけど、息を飲んで、静かに聞くことにした。

死因は轢き逃げ

体はバラバラで見るも無惨なものらしい

犯人は見つかってないのが恐怖を引き立たせた。

「瀬尾は前から、素行の悪いやつだったし、しゃーなしじゃない?」

みんな口々に瀬尾の悪いとこをあげて納得して、終わった。

体がバラバラになるまで引きづられるなんて怖いなと思った反面、もっと怖いのは”犯人が見つかっていない”という事がみんなに恐怖を与えた。

その日は4時間で家に返され、自粛という形で2日休みになった。

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