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「だぁああ!!やっばい!寝坊した!!」
「おや、やっと来ましたか」
「アキラ!なんで起こしてくれなかったのさぁ」
「凪ちゃん起こしてたよ、奏斗が爆睡してたの」
「くぅ、とりあえず間に合うからいーけどさぁ」
入学初日から遅刻とか勘弁すぎでしょ、なんてちょちょいとまだ癖の残ったような前髪を弄る。
春の柔らかい風が吹き、桜舞う今日僕ら三人はエフォルカレッジと言う高校へ入学する。偏差値はそこそこの高さを誇り、裕福なものもそうでないものも居る誇り高く長い歴史の残る高校。
「何度見ても綺麗ですねここ」
門を潜り見えるのは寮からは見えなかった玄関口、小綺麗で見る人が見れば高校だとは思えないような場所。
なんだか足のつかないような感覚に奏斗は息を吐く。
裏社会から足を抜いたのは中学三年の春。唐突なものだった、アキラやセラと出会ったのは八歳の時のパーティー。
そっかもう八年か。
「奏斗ー、クラスの表出てるよ」
「ん、今ぃ______」
ふわり、靡く視界の端に移る鮮やかな色に振り向く。
「…?…なんか派手な人、あれ気のせいかな」
「奏斗ー?何してるんです?」
「や、なんでも!クラスどうだった?」
「俺と奏斗が一緒、で」
「私は隣のクラス」
「おー、マジか」
まぁ流石に三人一緒は無いか。
「っし、んじゃ行くか」
「えぇ」
「おー」
ウキウキと弾み出した胸にふにゃ、と頬が緩む。さっきまでの感覚はなんだったのか。
「……”今回は”アキラと一緒か」