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第19話
私が目を覚ますと、真昼だった。
……あ、あのまま寝ちゃったんだっけな……そうなると、ノアは?
私が軽く身だしなみを整えてから二階へと降りると横長のソファーでノアが寝息をたてていた。
「あ、リナ。おはよう」
そう言いってマリーさんが隣の部屋から出てきた。
「おはようございます。色々と迷惑をかけてしまったようですね……あの後の事、教えてくれますか?」
「えぇ。こちらに掛けて」
私とマリーさんがダイニングテーブルを挟んで座った。
……三人は大丈夫かな……?
変な事になってないといいんだけどね……
「あの後、ニルスから報告があったの。それで、探したんだけど、人に押されて何もできなかった。少し落ち着いてから探したんだけどしばらくして、ニルスが走ってきたのよ」
「走ってきた?」
「えぇ。その子――ノアくんが、リナの事を連れてきてくれたって」
確かにあの道を……
いやいや、大丈夫なんだから……
「そうなんですね。私は、押し出されて、ずっと迷子だったんです。いつの間にか寝ちゃって……ノアにも謝らないといけませんね」
ついでに、口止めもね……
「あ、それと彼の事は、ニルスさんから聞いたんですか?」
「えぇ。リナが選んだ将来有望な獣人ってね」
私が選んだ将来有望な獣人か……
私は心の中で言葉をリピートさせた。
それから、緩んでいた口角を戻してマリーさんの事を見つめながら口を開いた。
絶好のチャンス。今日こそは聞かないとね。
流石に、こんないいおとぎ話かあって言い訳無い。両親は反対しないし、この人たちだって……口裏を合わせれているようにしか見えない。
「……。話題を変えますけど、私がここへ来た時、何で受け入れてくれたんですか? 私の両親と知り合いなのですか? あくまでも私の直感です。嘘を吐いても、吐かなくても……誰かの口から聞きたいんです」
私がこの二年間ずっと考え続けてきた事。
二人は、家族ぐるみで仲がいい説。
そうなったら、こんなの出来レースじゃん。出会いもぜーんぶ、作り物。
マリーさんの魔力と青い瞳は揺れていた。
二つの良心が揺れながら正しい道を見つけ出しているように見える。決して、答えが見えるような訳じゃない。
やっぱりそういう事なのね。
私は顔に出さないようにゆっくりと口を開いた。
「すみません。こんな話をして……返事はしなくても大丈夫ですよ。丁寧に説明いただきありがとうございました」
私はそう言って頭を下げた。
数刻後。
今日は、休んでていいらしい。
ノアはまだ起きていない。こんなに寝るのは変だったから帰ってきたニルスさんに診てもらったけど、疲れとストレスが出たらしい。
……忌み子……後でちゃんと話がしたい。私の事も、ノアの事も。
「あんな事……ごめんね……」
いつの間にか声が漏れていた。
ちゃんと、配慮すれば良かった……って、前も同じ事を思ったな……
二年前に、ニルスさんに勘違いさせちゃったから……
私が紅茶を淹れようとしたら、ノアがいつの間にか起き上がっていた。
「ノア……ごめんね……」
そう言って私は、ノアに抱きついた。
「セリーナさん……護衛が俺なんかでいいんですか……? 貴女の護衛は俺に務まるんですか?」
え? 何で今更……
「違う逸材がいたら、今頃、記憶は消されているよ。私が見極めたんだから、少しは胸を張って」
「でもっ……?」
私が人差し指でノアの口を塞いだ。
「そこは、シークレットで。話してないんだから」
「そうなんですね……それで、ここは……?」
「ここはね『魔道具屋 サントラップ』の二階。私が住まわせてもらってる家だよ」
「え? 俺はあの後……」
「一緒に助けてもらったの。それで、一つ考えてて欲しいんだけど、ここに住まない? 私の事を話してからでいい。というか、それを早く話したい」
私はそう言って、ノアの赤い瞳を見つめた。
あの時とは違う。昔の私とはまた別……そう思ってたのも束の間、私と同じような目になった。
「……そんな事言ってるけど、セリーナさんは、俺が忌み子だと思わないんですか? 俺がどうしてあんな奴隷をしてたと思うんですか……?」
彼は、感情に任せてた。魔力の動きと練度するように言葉が次々と出てきた。
私は涙を耐えるのに必死だった。
昔の自分が言いたかった事ばかりだったから。自分がどんな罪人で、どんな人格で、知らんくせにそんな事言うな、と。
私とはまた別種。
「ねぇ。ちょっと来て」
私はそう言ってノアを部屋に連れて入って、誰にもバレないように防音結界を張った。
「急に何ですか?」
「そんな貴方を見ていたら、耐えられなかったの! 私の前世。前前世。前前前世。その転生話、聞いてくれる?」
「て、転生……?」
コメント
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あおいです🤍 第19話、読ませていただきました。 リナがついに核心に触れた――あの「出来レースじゃん」の台詞、胸がギュッと痛みました。長い間、心に仕舞い込んでいた疑問を口にする勇気。マリーさんの揺れる青い瞳もすごく印象的です。 ラスト、転生の話を打ち明ける覚悟、すごく良かった……ノアへの想いと、自分自身との決着の両方が滲んでいて、次がものすごく気になります。繊細な心情描写が本当に素敵でした🌷