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#エッチなの書けないから
94
#地雷系
文化祭が終わってから、少し時間が経った。
星乃宮学園にも、冬の気配が近づいている。
朝の空気は冷たくなり、吐く息が白くなる。
でも。
私の隣には、いつも天音がいる。
「紬」
「……ん?」
「寒くない?」
そう言って、天音は私の手を見る。
私は少しだけ恥ずかしくなりながら、繋いでいる手を握り直した。
「……大丈夫」
「そっか」
天音は笑う。
その色は、いつもの桜色。
優しくて。
安心する色。
私は最近、この色を見るのが前よりもっと好きになっていた。
⸻
第3話のあと。
私は少しずつ変わった。
前みたいに、全部一人で抱え込まなくなった。
寂しい時は。
「……天音」
と言えるようになった。
不安な時は。
「……少しだけ、そばにいて」
と言えるようになった。
天音はいつも嬉しそうに笑う。
「もちろん」
「紬が頼ってくれるの、嬉しいよ♡」
その言葉を聞くたび。
胸の奥が温かくなる。
でも。
最近。
私は気づいていた。
天音の色に。
小さな変化があることに。
⸻
放課後。
教室には、まだ何人かの生徒が残っていた。
私は机の整理をしている。
その時。
「天音って本当にすごいよね」
クラスメイトの声が聞こえた。
「紬ちゃんのこと、いつも気にかけてるし」
「優しいし、頼れるし」
「天音がいるから紬ちゃんも安心できるんだろうね」
「……」
私は天音を見る。
天音は笑っていた。
でも。
見えた。
桜色の中に。
ほんの少しだけ。
青色。
寂しい色。
不安な色。
「……天音」
「ん?」
「……」
言葉が止まる。
でも。
今の私は。
昔の私とは違う。
「……少し、青い」
天音が目を丸くする。
「え?」
「天音の色」
「少しだけ」
天音は困ったように笑った。
「……紬には隠せないね」
⸻
寮への帰り道。
天音は珍しく静かだった。
「……天音」
「うん」
「何かあった?」
少し間があく。
「……」
「実はね」
天音が小さく笑う。
「私、少し怖かったんだ」
「怖い?」
「うん」
天音は前を見る。
「紬を助けたいって思ってた」
「紬が苦しい時、絶対に一人にしたくなかった」
「だから」
「私は、いつも明るくいなきゃって思ってた」
胸が痛くなる。
「……天音」
「もし私が弱くなったら」
「紬を守れなくなるんじゃないかって」
その瞬間。
私は分かった。
天音も。
ずっと頑張っていたんだ。
私だけじゃなかった。
⸻
部屋に戻る。
いつもなら天音が私を抱きしめてくれる。
でも今日は。
私から。
そっと天音の手を握った。
「……紬?」
「……」
言葉を探す。
昔なら。
絶対に言えなかった。
でも。
今は。
「……天音」
「うん」
「私も、天音の隣にいたい」
天音が少し驚く。
「……」
「いつも天音が私を助けてくれた」
「でも」
「天音が苦しい時は」
「私がそばにいたい」
小さな声。
でも。
ちゃんと伝えた。
天音の目が少し潤む。
「紬……」
「私ね」
「紬が笑える場所になれたらいいなって思ってた」
「でも」
優しく笑う。
「紬が私のことを想ってくれてるって分かることも、すごく幸せだよ♡」
⸻
その夜。
二人でベッドに座っていた。
「天音」
「ん?」
「ひとつ聞きたい」
「なに?」
「天音は」
「私に頼ってほしい?」
天音は少し考える。
そして。
「うん」
「頼ってほしい」
「でも」
「それだけじゃないよ」
私を見る。
「紬には、私を頼るだけじゃなくて」
「私のことも信じてほしい」
「……」
「私、完璧じゃないから」
「寂しくなることもあるし」
「不安になることもある」
「でも」
手を握る。
「紬が隣にいてくれるなら、大丈夫」
胸の奥がいっぱいになる。
私は。
初めて思った。
天音は、私を守ってくれる人。
それだけじゃない。
私が守りたい人でもあるんだ。
⸻
数日後。
冬の夜。
私たちは寮の屋上にいた。
空には星が広がっている。
「寒いね」
天音が言う。
「……うん」
でも。
手は繋いだまま。
「紬」
「?」
「最近、変わったね」
「……そう?」
「うん」
天音は笑う。
「前の紬は、怖くても我慢してた」
「でも今は」
「ちゃんと私を見てくれる」
私は少し考える。
そして。
「……天音のおかげ」
と言う。
天音は首を振る。
「違うよ」
「紬が頑張ったんだよ♡」
その瞬間。
天音の色を見る。
桜色。
そして。
淡い紫。
信じる色。
私は小さく笑った。
「……天音」
「ん?」
「綺麗」
「え?」
「天音の色」
「今までで一番」
天音は少し照れる。
「紬にそう言われると、特別に嬉しいな♡」
私は繋いだ手に力を込める。
昔は。
誰かの色を見ることが怖かった。
でも今は。
大切な人の色を見ることができる。
それが嬉しい。
「天音」
「うん」
「私」
「もっと天音のこと知りたい」
天音は優しく笑った。
「じゃあ、これからもいっぱい話そう」
「うん」
「ずっと」
その言葉が、胸に残る。
冬の夜。
冷たい空気の中でも。
私の世界は温かかった。
だって。
隣には。
私が一番大切にしたい色があるから。
最終回へ続く。
コメント
1件
うわああああもうここまで読んで胸がいっぱいだよ…!😭💕 紬が自分から「いたい」って言えたの、本当に成長してて感動した…!ずっと天音に守られてきたけど、今度は自分が隣に立つ決意をするっていうシーン、すごくエモかった…天音の桜色に紫(信じる色)が混ざるところも、ああ色を通じて信頼が深まってるんだなって伝わってくるね…! 天音も完璧じゃなくてちゃんと不安や寂しさを抱えてたんだってわかって、二人とも人間らしくて好きになったよ。紬の「私もそばにいたい」、震えた…!え、これ続きあるの?次話超楽しみにしてる!!🎀✨