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白というより銀に近いショートヘアと黒い瞳。下着、ワイシャツ、手袋、スカート、靴。それら全てが白い身長『百三十センチ』の幼女。
『五帝龍』を追い払い、『|純潔の救世主《クリアセイバー》』と呼ばれるようになった、この世界の女王。
モンスターチルドレンを生み出した張本人であり、ナオトの高校時代の先生……『アイ』。
※宇宙ができる前からこの世にいて、あらゆる世界の神々から恐れられている存在でもある……。
そんな人物がなぜこんなところにやってきたのかは分からないが、ミノリ(吸血鬼)たちに用があることだけは分かった。
それは彼女がじーっと、ミノリ(吸血鬼)たちのことを見ながら、歩いてきたからである……。
彼女はミノリ(吸血鬼)の前で止まると、ゆっくりとこう言った。
「吸血鬼型モンスターチルドレン|製造番号《ナンバー》 一。又の名を『強欲の姫君』といったかしら? そんなあなたに用があってきたのだけれど、とりあえず、どうしてあんなことになったのかを説明してもらいましょうか」
彼女を怒らせたら、死が待っている。しかし、ここで怯えてはいけない。
そう思ったミノリは少し緊張しながらも、こう言った。
「え、えーっと、あの二人は昨日にあった……」
「『ケンカ戦国チャンピオンシップ』のことは知っているから、あの二人が戦い始めた理由を教えてちょうだい」
「……あっ、はい。えーっと、あたしたちのマスターであるナオトがあの人……オメガ・レジェンドの顔を見た瞬間、あの大会での出来事を思い出したかのように戦い始めました」
「……なるほどね。ありがとう、よく分かったわ。それじゃあ、しばらくナオトを借りるわよ」
「あー、はい……って、なんでそうなるんですか! というか、そもそも先生はどうしてナオトのことを知って……」
その時、先生《アイ》はミノリ(吸血鬼)を睨んだ。
「知っているに決まっているでしょう? まあ、彼がこの世に誕生していなかったら、私は今頃、全てを無かったことにしていたでしょうね」
彼女はさらっと恐ろしいことを口にしたが、彼女にはいつでもそれが実現可能なのだから、もっと恐ろしく感じた。
「ナ……ナオトを……どうするつもりなんですか?」
彼女は一瞬でナオト(『第二形態』になった副作用でショタ化してしまった身長『百三十センチ』の主人公)のところへ行くと彼をお姫様抱っこをした後《のち》、ミノリ(吸血鬼)たちのところへ一瞬で戻ってきた。
「そうね……。とりあえず……ナオトの細胞に至るまで隅々、検査して元の姿に戻る方法を探しましょうか。まあ、おそらく原因は……」
「……! 原因が何か分かっているんですか!?」
「うるさいわよ、|製造番号《ナンバー》 一。少し黙り……」
「ミノリ……です」
「え?」
「今のあたしにはナオトに付けてもらった『ミノリ』という名前があります!」
「……そう……ナオトに付けてもらったの……。ごめんなさい、名前があるなんて思わなかったから……」
「い、いえ! そんなことないです! ごめんなさい!!」
「どうして謝るの? 育成所でうちの職員を百六十人殺した頃のあなたとはえらい違いね」
「あ、あの時は……その……暴走……してたので」
「まあ、そういうことにしておきましょうか。それじゃあ、私はもう行くわね」
「……ま、待ってください! あたしたちも一緒に連れていってください!!」
ミノリ(吸血鬼)は半泣き状態になりながら、そう言った。だが……。
「……私はあなたの顔を見に来ただけだし、ナオトに危害を加えるつもりはないから、あなたたちが来る必要はないわ。さあ、早く家に帰って昼食の準備でもしていなさい」
「で……でも!!」
「私に言いたいことがあるのは分かるけど、今はやめておきなさい。じゃないと、罪もないきれいな花畑が消滅することになるわよ?」
その冷たい口調に屈することなく、ミノリ(吸血鬼)は歯を食いしばりながら、こう言った。
「あたしは……あたしたち一人一人がナオトの家族の一員です。家族が傷ついているのに放っておくなんてことできません! だから……だから、あたしたちも一緒に連れていってください! お願いします!!」
『お願いします!!』
みんなもミノリの言葉に便乗して、そう言った。頭を下げるみんなを目の当たりにした『アイ』は溜め息を吐《つ》くと。
「分かったわ。それじゃあ、ここにいる十一人のモンスターチルドレンとその他大勢を『モンスターチルドレン育成所』まで案内するわ」
みんなが顔をあげると、ミノリ(吸血鬼)は。
「ほ、本当ですか?」
「ええ、本当よ」
「嘘じゃないですよね?」
「何度も言わせないで」
「す、すみません! ありがとうございます! 何かお礼の品でも……」
「いらないわよ、そんなの。私が賄賂《わいろ》を受け取るとでも思ったの?」
「い、いえ! そのようなことは決して!」
「なら、早く行くわよ。あっ、でも……」
『アイ』はその場から逃げ出そうとしたルル(白魔女)の前に一瞬で移動すると、脛《すね》を蹴った。
「痛い! 痛いよー! いきなり何するのー!」
蹴られた部分をさすりながら、『アイ』の方を見たルル(実はモンスターチルドレン育成所に三人いる副所長の一人)に対して『アイ』は。
「全然戻ってこないと思ったら、こんなところにいたのね。『ア○アンメイデン』に放り込まれてみる?」
『アイ』の笑顔を見たルルは察した。これは結構、怒ってるな……と。しかし……。
「……なーんてね、冗談よ。あなたと私の仲じゃない。そんなことするわけないでしょう?」
ルルはほっと胸を撫で下ろしたが。
「でも、それなりの罰は受けてもらうから覚悟してね♪」
ルルはその言葉を聞いた瞬間、絶望してしまい、その場で固まってしまった。
「さてと、それじゃあ、あなたたちはそこから動かないでね。あっ、あと、ここにいるはずの『イエローズ』のことを誰か知らない? ……って、何か知ってる顔をしているわね。うーん、まあ、とりあえず、ナオトのズボンのポケットに入っていたピンポン玉サイズの種をコピーして、一つは『イエローズ』がいた場所に植えておきましょうか……。『種子よ、我が願いの通りに行動せよ』」
アイがそう言うと、種は『イエローズ』があった場所に行くと、土に潜っていった。
「ついでに『オメガ・レジェンド』もここに移動させましょうか……。『我が元に集え』」
アイがそう言うと『オメガ・レジェンド』がふわふわ飛んできて、アイの隣に背中から落下した。
「さてと、それじゃあ、行きましょうか」
アイは目を閉じると、こう言った。
「『|瞬間移動《マジックジャンプ》』……」
その時、十一人のモンスターチルドレンの一人、マナミ(茶髪ショートの獣人《ネコ》)はなぜ先生《アイ》が自分の固有魔法であるはずの魔法を使えたのか不思議に思った。
こうして、ナオトたちは『モンスターチルドレン育成所』に行くこととなった……。