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呪霊降濁

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呪霊降濁

第95話 - 第96話　葛と藤

3

2024年09月25日

#呪霊

#オマージュ？

#過去一

#最高

#呪術廻戦パロ

#ゆ ~ × yunoの小説コンテスト！

伊琉夏

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伊琉夏

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札幌での死闘の後、冷たい風が戦場を吹き抜ける。白川、朱音、神風、そして神楽坂――仲間たちの犠牲は、透に重くのしかかっていた。透は静かに立ち尽くし、彼の周りには死んだ仲間たちの残り香が漂っているようだった。

透は戦場の中央で拳を握りしめ、強く噛み締めた歯の間から、無念の言葉が漏れた。「俺は…何もできなかった。」

彼の胸中では、無数の感情が渦巻いていた。かつての仲間たちが次々と倒れていく中、自分は無力だったという事実に打ちのめされていた。彼は一瞬も自分を許せず、その心の葛藤が表情に刻まれていた。

「白川も、朱音も、神風も…神楽坂まで…」透は嘆きを胸に秘め、ふと目を閉じた。脳裏に浮かぶのは、戦友たちとの日々。彼らと共に過ごした時間が、彼の心を苛む。

透の頭の中では、次々と仲間たちの声が響き渡っていた。白川の強気な言葉、神風の軽口、朱音の温かい励まし、神楽坂の冷静な指導――その全てが、今はもう届かない場所にある。

「俺は…何をすべきだったんだ…」透は自分に問いかける。彼は、仲間を救えなかった自分の無力さに苛まれていた。そして、その無力感は、琥珀に対しての圧倒的な恐怖へと変わっていった。

しかし、戦場にいる以上、立ち止まることは許されない。敵はまだ消え去っていない。透はそれを理解していたが、それでも心の中で葛藤が続いていた。

「俺には、戦う力があるのか…？」透は自問自答しながら、天を仰いだ。彼は自分が戦うべきか、逃げるべきか、その答えを見つけることができずにいた。

その時、透の耳元にふと誰かの声が響いた。

「透、立ち上がれ。」それは、亡き仲間たちの声が彼を呼んでいるかのようだった。透は目を見開き、顔を上げた。

「俺には…やれることがある。仲間たちのために。」彼の中に微かに灯った決意が、再び透を立ち上がらせた。

透は深い息をつき、拳を握りしめた。「俺が、次こそは守るんだ…！」

透の内なる葛藤は完全には解決していなかった。しかし、今はその葛藤に打ち勝ち、次の戦いに臨むしかない。彼は、仲間たちの意思を継ぎ、自分の力で未来を切り開く覚悟を決めた。