コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
阿形「…あ!◯◯ちゃーん!こっちこっち!」
待ち合わせの公園に着くと、先に待っていたであろう貴方の恋人が、両手を大きく振って駆け寄ってきた。
「待たせちゃった?」と聞く貴方に笑顔で首を振る。
阿形「ううん、全然!…てか寒くない?ほら、これ巻いて!」
青々としていた木の葉もすっかり色が変わり、羊雲が浮かび上がる空。
もうすぐ寒い季節がやってくる合図です。
阿形がさっきまで身につけていたマフラーは、彼の温もりがまだほんのり残っています。
「あったかい」そう呟く貴方に、心まで温まる笑顔を向ける阿形。
貴方の頬にそっと触れてきました。
阿形「よかった。ささ、早く行こう!紅葉日和だよ!」
彼の意外と男らしい手で繋がれ、二人で紅葉の観光スポットを巡りに歩き始めました。
阿形「〇〇ちゃん寒くない?これホッカイロ、ポケットに入れとこっか」
寒冷アレルギー持ちの貴方を気遣っているようです。
寒さや冷たさが肌に触れれば発疹が現れてしまい、痒みや痛みが止まらなくなってしまいます。
人混みの中離れ離れにならないよう、がっちりと恋人繋ぎをされた手を、阿形は自分のポケットにしまいました。
阿形「うっわー!見て〇〇ちゃん!すっごくきれー!」
阿形が目を輝かせて指差す方向は、真っ赤な紅葉が並ぶ川沿い。
はらりと川に落ちた葉っぱが、水面に浮かび流れる様子もとても映えます。
「きれいだね」そう言って写真を撮ろうとすると、彼も一緒に写り込んできた。
阿形「ねね、〇〇ちゃんも一緒に写ろ!はいチーズ!」
パシャリ!というカメラ音。
上手く撮れたか確認しようと二人で覗き込む。
その途端、ポタリ…と頬に冷たい雫が一つ。
見上げると、さっきまでの青空が、灰色の雲に覆われていました。
冷たい雨がぽつりぽつり…でもすぐに大粒の雫が容赦なく降り始めました。
阿形「雨…!〇〇ちゃんっ!俺の服被って!早く行こう!」
バサリと貴方の頭にジャケットを被せる阿形。
彼は貴方の肩を抱いて、近くの屋根まで走ります。
雨が触れた肌はは、たちまち赤い発疹が浮かび上がり、痒みが増します。
お土産屋の屋根の下、ずぶ濡れの彼は前髪を掻き上げてぽたぽたと雫を落とします。
阿形「〇〇大丈夫?!ちょっと濡れちゃったね、苦しくない?救急車呼ぼっか?」
赤くなった頬にカイロを当ててくれました。
「阿形さん、ずぶ濡れ」そう言ってハンカチを取り出し、彼の髪を拭こうとします。
阿形「だ、だめだよ!?〇〇ちゃんがまた冷えちゃう!」
「私は大丈夫だよ」と布越しに彼の前髪を優しく払うと、寒さで少し赤くなった頬が見えます。
阿形「っ…あんま見ないで、俺今カッコ悪いし」
目を逸らす阿形。
「そんなことない、私を守ってくれた阿形くんは、とってもかっこいいよ」と微笑む貴方。
今のこの瞬間は、二人にとって忘れられない思い出になることでしょう。