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目線は俺に突き刺さり、秀でた才能を評価され、ダントツで誰しもが俺に平伏す状況。
尊敬の眼差し。神を崇めるような表情は全て俺に向けての。
自身の人生設計図。
それは、【トップ】を採ること。
全部全部全部。俺は竜頭蛇尾だ。
岐阜「愛知サン、旅行に行ったお土産です!」
愛知「へぇ…大阪に行ったのか。ありがとう」
岐阜「いえ!!お気に召されたようで嬉しい限りです!!」(ありがとうって言われたありがとうって言われたありがとうって言われたありがとうって言われた❤︎❤︎❤︎)
愛知(あぁ…岐阜しか俺には居ないのか)
岐阜から大阪・関西万博のお土産を受け取った。キモカワな生き物のキーホルダーとTシャツ。岐阜は本当にこれが似合うと思ったのか?
そーいえば、俺も数十年前に万博開催してたな。俺なりに全力を尽くしたつもりだった。キャラクターも、パビリオンも。
でも、世間の評価は、冬の海よりも冷たく、冷めていた。
結局は、万博=大阪なんだ。
岐阜「そんな事ないですよ!!」
愛知「え」
口に出ていたのだろうか。岐阜は真剣な眼差しで俺を見つめる。
岐阜「愛知サンには、金の鯱名古屋城や世界のトヨタがあるじゃないですか!!!」
愛知「………そう、か。」
金のシャチホコの名古屋城?そんなの、ただの装飾品に過ぎないだろ?下からじゃ見えねーし。
世界のトヨタ?知ってるか?車の生産日本一は大阪なんだ。俺じゃないんだよ。
俺はさ、他のトップをイチバンにするための支える木みてーな役なんだ。
勇者が出てるゲームで言う、刀鍛冶とかそういう系の役なんだ。
…もう慣れたさ。この立場も、この才能の無さも。
それが良い証拠に、【名古屋飛ばし】という言葉があるだろ?
よく言われる。
「マシだろ。お前は2番とかなんだからさ、俺なんか皆んなに認知もされてねーよ。」
違う。違う。そう言う事じゃねぇんだよ。
俺が居なきゃ駄目な奴らが、俺を下に敷いて俺よりも光を浴びることが許せないんだよ。
碌な才能もない、下等生物どもが。
屈辱感。酷く俺を蝕んでいる。
吐き出しそうな嗚咽の声。溢れ出す大粒の涙。震え出す身体。
遂には精神病を患って入院した。
その時、見舞い来たのは岐阜のみ。たった1人。
同時期、俺が初の主催のイベントがあったのに、そのせいで出席できなかった。
後から聞いた話だが、その時は静岡が主催者となったらしい。皮肉な話だな。
気づけば俺は布団に寝かせられていた。
枕元には何やら可愛らしい字で書かれた手紙が置かれていた。
『愛知さんが途中で倒れてしまったので、お布団に寝かせておきました。本当は僕が看病したかったのですが、運悪く、僕はこれから三重と会議があるので、申し訳ないですが、このまま帰らせていただきます。次は愛知さんの好物、八丁味噌100人分をお待ちします。どうか、お身体を大切にしてくださいね。』
乾いた笑い声が部屋に響いた。
あぁ…俺って本当に
孤独だなぁ。