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咲かない僕の花。

どんなに水をあげても太陽の下に置いても咲かない。僕の花もそうだった。努力してもどんなに立ち上がっても僕の努力の花が咲くことはなかった。未完成な僕。完璧すぎる貴方。僕は貴方のとなりに立って良い理由が欲しかった。お似合いだよって言われてみたかった。貴方はどう思うのだろう。本当は僕の隣なんか嫌かもしれない。もう少しだけ、頑張ろうって変わりたいって思っても上手くいかなくて。


自分が恵まれてるだなんて思ったことはない。好きでもない。自分の声も性格も何もかも嫌いだった。もしあんなだったら、こんなだったら、僕は幸せだったのかもしれない。


周りは優しい声をかけてくれる。それでも何故か満たされない。何故か、と考えたときにパッと思い浮かんだのは、周りが良くても自分がよくないといけないという感情だった。今の僕に貴方を好きだと言う権利はない。


今日も踊る、歌う。皆は僕が上手だと言ってくれる。それが僕には分からなかった。周りの意見なんてどうでもよくなった。僕が満足しなきゃ意味がないんだ。これじゃない、あれじゃない、それじゃない、全部全部、違う違う違う。僕が望んでいるものじゃない。嫌い、嫌い、嫌い、すぐ自慢してくるやつが嫌い。同情してくる正義のヒーロー気取りも嫌い。被害者ぶる奴も嫌い。ないも知らずに語るやつが嫌い。


こんな自分が一番、嫌い。

嫌いを好きに変える方法はあるのだろうか。その人の良い面を探そうと頑張っても「あいつ、どうせあんなだし。」と悪いところが勝ってしまう。人の良さを見つけられない。そんな僕が一番嫌いになった。


昔はもっと大人しかったのかもしれない。

他人を認めて尊重して。苦しかった。自分を貶されてまで相手を想うことが。僕はこんなに傷ついているのにお前はなにも知らずに。復讐心が湧いた。いや、それ以上に自分を認めてやりたかった。認めてられる自分になりたかった。


変化を恐れていた。年々声が高くなる。キモいと笑われた。だから自分を隠して裏で愚痴って人間の象徴みたいだった。ネットは怖い。嫌なことはすぐに広まって良いことは一定の人しか知らない。誰も最初は認めてくれなかった。


それでも皆で頑張って、努力の花を咲かせた。橙に水色、紫、鼠、緑、そして桃色。色とりどりな花が咲く。そのなかに黄色の花だけなかった。僕の花だけ咲かなかった。皆の隣に立ちたいと思ったのになかなか咲かなかった。悔しさよりも悲しさよりも嫌悪感が僕を襲った。やっぱり、僕じゃ駄目なんだ。この花を咲かせてあげることはできない。


どうしてできないのだろう。

何が足りないのだろう。

「努力は必ず報われる」というけれど報われない努力は努力とは言えないのだろうか。誰よりも頑張っても出来なかったら「努力しなさい」と言われてしまうのだろうか。そんなの言われたくない。


才能とか天才とかそんな言葉が嫌いだった。

努力して手に入れた人に元々恵まれていたからだろ、と言うのは失礼だと思う。僕はゲームで言うとレベル0。それでも頑張って、頑張って、どんどん自分を高めていく。だから楽しいんだろう。ゲームと同じで人生も。



今日も自分を押さえ込む。良い子でいなきゃ。何を言われるか分からない。本当を見せたらきっと嫌われる。本当の自分なんか。見たくない。


🐯「ジミナって本当に真面目だよねぇ~」

🐥「…へっ?そうかな。」

🐯「そうだよぉ!我が儘とか一切言わないじゃん!」

🐥「当たり前じゃん、だって……」


『言ったらなに言われるか分かんないし。』

僕はこの言葉を飲み込んで「何でもないっ!」と言った。努力してるのにどうして報われないのだろう。どれだけ自分を削れば気がすむのだろう。


僕は花は本当に咲くのだろうか。


______________________________________



今日も月が綺麗だ。まるで貴方かのよう。自ら光を出しているのではなく努力して周りに愛され支えてもらっている、貴方のよう。僕は貴方の太陽になれるだろうか。貴方を照らせる美しい太陽に。

努力の黄色い花を咲かせたい。

この願いは叶うのだろうか。理不尽な神に手を合わせる。この暗い暗い夜のなか、僕は高みを目指して自分を認められるように旅に出るんだろう。

その旅に貴方はついてきてくれますか?

嫌って言われちゃうのかなぁ(笑)

寒い寒い夜のなか、一人さ迷う少年は自分を認める旅に出たのだった。


咲かない花1 終わり

お姫様ソクジナがただ単に愛される短編集。

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コメント

9

ユーザー

じみんちゃんは餅だから大丈夫ッ!

ユーザー

あぁっもうジミナの花は咲いてるよ!咲いてるどころかお花畑だよ!今回のお話も最高でした✨ 続きが待ちどうしいです!これからも頑張ってください👍

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