お姫様ソクジナがただ単に愛される短編集。

愛するってなんなのだろう。

愛されるってなんなのだろう。

基準はあるのだろうか。僕の努力を認めてくれる人はいないのだろうか。どんなに頑張っても「まだまだ」といわれてしまう僕は不良品なのだろうか。母さんと父さんが作った繋いだこの命は失敗作なのだろうか。

僕のちっぽけな頭で考える。努力って何処からが努力と言えるのだろうか。僕にとっての精一杯はみんなにとっての「まだまだ」なのかもしれない。誰に認めてもらえば良いんだろう。

頑張ったねって凄いねって努力を認めてくれる言葉がほしいんだ。愛を与えてくれる人は居るのだろうか。ずっと平民みたいな生活を送っていた底辺の僕が急にアイドルという道を歩いて夢が叶ってもまた新しい目標が生まれてくる。出来なくても苦しくても支えてくれる仲間がいる。だからこの道を選んだ。

A,B,C,D,E,F,G,沢山の選択肢があるこの世界で僕の人生のレールは突然途切れてしまった。もう少しで、皆に貴方に届くのに。そのもう少しが遠くって。僕がどこを歩めばいいか分からなくなった。いや、もう道がない以上、どこにも進むことなく僕はその場に蹲ることしかできない。

どうやったら認めてもらえる？

認めてもらえる自分になれる？

旅にでてもまだ明かされない答えに僕は頭を抱えた。

変化は悪いこと？失敗は駄目なこと？一つでも間違えたら失望されるかもしれない。どんどん皆が離れていってしまうかもしれない。僕にできることはなんだろう。努力もなにもない僕に。誰か仕事を生きる意味を与えてくれるだろうか。僕に生きる権利はあるのだろうか。どうして答えが見つからないんだろう

この蕾はちゃんと咲いてくれるのですか？

今日は僕達マンネラインだけ。ヒョンラインは仕事の打ち合わせに言っている。今頃珈琲でも買ってくつろいでいるんだろう。あぁ、良いよな。認められている人は。僕だって、僕だって、頑張っているのに。

僕の携帯がピピピピピと鳴った。僕はずんっと重たい気持ちで携帯を覗くと「ジニヒョン」の文字が。僕は慌てて電話に出ると携帯から優しい声が聞こえた。

🐹『もしもし？ジミナ？』

🐥「はっ……はい。なんですか？」

🐹『いや、ジョングガから電話が来てな。』

🐹『ジミナの元気がないって。』

ハッとした。ジョングガは僕の変化に気づいていた？僕を見てくれている人がいるという事実に僕は涙を流した。

🐹『ジミナ、何か悩んでいるだろ。ヒョンが聞くぞ。』

🐥「……何でもないですよ？」

咄嗟に嘘をついた。こんな自分、知られたくなかった。ましてやあの人に。

🐹『お前は嘘が下手だなぁ笑』

🐥「うっ、嘘なんかじゃ」

🐹『ジミナ、愛って知ってるか？』

🐥「愛、ですか？」

🐹『そう。愛。』

僕は答えられなかった。分からなかった。それ以上に今の僕が答えちゃいけない気がした。

🐹『ふはっ、全然答えないなぁ。実は、ヒョンも知らない！』

ジニヒョンの無邪気な声が僕の耳に響く。

🐹『でもさ、ジミナ。人を愛す、愛されるということは権利なんかじゃない。』

🐹『人間として生きる、義務なんだよ。』

ジニヒョンの言葉に涙が溢れた。権利じゃなくて義務。やらなきゃいけないこと。そっか、僕は人を愛してよかったんだ。生きるって権利じゃなくて義務なんだ。理解すればするほど涙が止まらない。

僕はジニヒョンを愛しても良いんだ。

🐹『自分の努力は自分自身が知っていればそれで良い。』

🐹『そうでしょ？ジミナ。』

昔僕が言った言葉。胸に止めていた言葉。馬鹿だなぁ、僕。自分で言ったくせに忘れちゃうだなんて。僕を目を擦すって考える。我が儘いって良いの？みんな、受け入れてくれるの？そんな心配吹き飛ばした。いや、心配するようなことじゃなかった。

僕は僕らしく生きて良いんだ。これが僕の義務なんだ。

そう気づかせたくれた貴方に一つお願い。

我が儘聞いて？

🐥「早く帰ってきてください。寂しいです。」

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

🐹「おっ、見ろ！ジミナ。星がきれいだぞぉ！」

🐥「あっ、本当ですね。」

貴方のとなりに僕がいる。僕らしい僕がいる。認めてくれる人がいる。愛してくれる人がいる。僕はまだ、貴方の太陽にはなれない。今はそれで良い。貴方の隣で輝ける星になりたい。いつか貴方より大きくなったら今度は僕が照らす番。それまで待っていてほしい。

未完成な僕の小さな蕾が花開くその時まで。

この人生のレールを貴方と繋げられますように。

僕は微笑みながら暗い暗い夜のなか、輝く貴方にこう囁いた。

🐥「今夜も月が綺麗ですね。」

咲かない花　終わり