⚠注意⚠
・モブ→司の要素有ります。恋愛感情は無いです。もう一度言います、恋愛感情は無いです。
(大事なことなので2回言いました。)
ここから本編⤵⤵⤵
あの日から、オレと類の距離はどうしようも無いくらい遠くなってしまった。普通に話せるし、一見いつも通りに見える。が、当の本人だからかどうかは知らないが、オレには痛いくらいにわかった。なのに、このどうしようも無いくらい遠く離れてしまった類との距離を、どうするべきなのかだけはわからなかった。机に突っ伏して、ただ時間が過ぎるのを待つ。今はもう何もする気になれない。それだけ、あの類との出来事がショックだった。今でも否定していないと、まともには過ごしていられないくらい。
「……なあ、天馬。お前大丈夫か?」
最近大人しくしていたからか。それとも机に身を預けているのを見てか。クラスメイトが心配して声をかけてくれた。大丈夫だ、と無理やり元気そうな声を作って笑う。役者としてこれくらいは上手くやりたいのに、不安だけが溢れ出て落ち着かない。
「ならいいけどよ」
「…てか、最近神代と騒いでるのみないよな」
「あー、確かに。なに?お前ら喧嘩でもした?」
「うわ、想像できねえw」
オレの机の周りでクラスメイト数人が話している。オレはその会話を左から右へと通した。
「…え、お前らガチで喧嘩した?」
「もしそうなら仲直りしろよー?お前ら2人で馬鹿やってないと、オレら落ち着かねえしw」
「最近ワンフィニ大人しいよな〜」
「なー、すげぇ違和感しかない」
「いつもがすげぇからなw」
キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン
「やべ、席つけ!w」
「急げ急げ!」
「話ぐらい聞いてやるから元気出せよー、天馬」
嵐のような奴らだな、なんて思う。有難う、と良いまた机に突っ伏したが流石に授業は聞かなければならないので、身体を起こす。身体が酷く重たく感じる。先生の話は頭に入ってこない。ただどうするべきなのか、ということだけ考えていた。
⭐⭐⭐
「天馬くん!」
昼休み。弁当を持って屋上に行こうとしたところ、1人の女生徒に呼び止められた。クラスメイトで、いつも色んな生徒に囲まれているのを覚えている。だから一人でいるのは珍しいな、と思った。
『どうした?』
「えっと、昼休み1人?」
『ああ!今日は1人だな』
最近は類と屋上でたまに会う、なんてことも無くなっていた。あいつが何処で飯を食っているのかは知らないが、あの日から屋上じゃない場所に住みついているのは知っている。
「…一緒にご飯、食べてもいいかな、?」
「この前見たショーの感想いいたくて!」
『おお!見てくれたのか!勿論構わないぞ!どこで話したいとかあるか?』
「場所はどこでも大丈夫だよ」
『そうか、なら屋上でも構わないか?いつもそこで食べているんだ』
「うん、大丈夫だよ!」
女生徒の歩幅に合わせ、屋上へと向かう。その最中も彼女はショーの感想を一つ一つ、細かく伝えてくれた。それが今までの疲れを癒してくれた。
屋上、フェンスに背を預けながら並んで座った。隣にはいつも類がいたので、違う人がいるのはなんだか違和感がある。彼女曰く手作りの弁当は見事で、見た目も栄養バランスも完璧で流石だなと思った。素直に伝えると、彼女は笑ってオレの弁当も凄いよ、と褒めてくれた。今日は咲希が作ってくれた弁当なので、そうだろうそうだろう!と言う。
「…演出も凄かったよね。草薙さん、あの人の歌が本当に綺麗で。また聞きたいな、と思った」
『オレ達の自慢の歌姫だからな!あいつの歌声は本当にすごいだろう!』
「うん、凄い高かったのに聞き取りやすいし、なんて言うんだろう。滑らかな、?」
『嗚呼、わかるぞ!』
「わかる?あの感じが凄く好きで。」
『あいつは綺麗に歌うからな!誰もを魅了すると言っても過言では無いぞ!』
「私もそう思う。それに、中盤の魔法をかける歌のときに、粉をふらせたのも凄かったね。足元みたら、溶けていっててビックリしちゃった」
『嗚呼、魔法をかけているのをわかりやすくしようとしてな』
「うん、でもいつもの演出と少し違うな、って思った。」
「…前に休み時間に考えていたのって、あれ?あの演出?」
こちらをまっすぐ見て問いかけてくる。心臓をギュッと掴まれたような感覚がし、苦しくなる。真っ暗なドロッドロの瞳が、オレを離してくれなかった。
『…………』
「……そう、なんだよね?」
「……私、今の演出の方が好きなんだよね」
『それって…』
「昔のはB組の神代くんが考えてたでしょ?そのときの演出に比べたら、私は今の方が好きだな、って」
「……なんで、天馬くんが演出を考えているの?」
『それ、は…』
「演出家は神代くんでしょ?」
彼女が一言発する度に苦しくなる。オレが考えた演出の方がいい?そんな訳が無い。何時だって、皆を笑顔にし皆に愛されるにふさわしい演出は、類が考えた演出じゃないか。そう言いたいのに、口から声が出ない。乾いた口で呼吸を小さくするので精一杯だった。
「…脅されてるのかいいように使われてるのかとか、詳しくは分からないけど…」
『ちが、違う、!!』
言葉の続きを聞きたくなくて、無理やり止める。鏡を見なくてもわかる。今の自分は、酷い顔をしていると。女生徒は表情を変えず、オレを見た。何が違うの?と訴えてくる瞳から目を逸らしたくなる。
『オレが、オレがやりたくてやってるんだ、!あいつは悪くない…!!』
「…ねぇ、なんでそこまで神代くんを庇うの?」
「今の彼に、そんなになってまで庇ってワンダショに留める価値がある?」
深く心に刺さる言葉の刃が酷く痛い。あるに決まっている。そんなの言わなくてもわかるだろう?なんでわかってくれないんだ、という悲しみや怒りと同時に、彼女の言葉がオレの心を傷付け痛い。どうしようもないくらい。辛くて辛くて仕方がない。
『オレが、こうしたいんだ』
『お前にオレの気持ちはわからないだろう…?頼むから、口を挟まないでくれ…』
「天馬くんの気持ちって何?良いように使われて、なにがいいの?」
『お前にはわからないだろ…』
「わからないよ」
どこか見覚えのある、真っ直ぐ見てくるドロドロとした感謝の籠った瞳で、芯がジリジリと焼かれ溶かされていく。
どうしてこんなにも追い詰めてくるのか、もう疑問でしかなかった。怒りだとかなんだとか、そんな感情はもうなくて。ただただ不思議だった。そこで考えて、なんとなくだがわかった。こいつはオレと同じなんだな、と。見覚えのある瞳は、オレと同じだった。
『………何が、目的なんだ、?』
「私は天馬くんが天馬くんの名義で演出を手掛けてくれること。それだけだよ。」
『それがどういうことか、わかっているのか?』
「わかってる。気づいてないの?天馬くんは神代くんに洗脳されているんだよ」
そんなわけが無いじゃないか。馬鹿らしくて笑えそうだ。いいように使われている?洗脳されている?そんなわけが無い。ないのに、どうして幾ら否定してもそれが伝わらないのだろう。
『洗脳なんかされているわけないだろう…!?』
「天馬くんはそう思うかもしれない。でも私は、天馬くんの手掛けた演出が好きなんだよ。」
「私が好きなワンダショのショーは演出が凄く好きだから好きなの。」
「その好きな演出を手掛けていたのが、天馬くんだったんだよ」
『違う、!オレ、オレの、は、類の真似で、!!くだらない、素人の…!』
ここまで言って、とある言葉が浮かんできた。
「前のショーの演出も、なんだかいつもと違うからさ」
旭さんの言葉。違う?いつから?オレは類の演出を真似て、類にそっくりな演出を生み出してきたはずだ。それなのに、違うのは何故だろう。そこでようやく気づいた。想像もしたくない話だ。ずっとそうだったとしたら。いつの間にか、”類の演出”とは全く違ったものになっていたんだとしたら?考え手掛けいく内に、その演出がずっと前から”天馬司”の演出になっていたんだとしたら?
オレの中で、なにかが決壊した。
コメント
2件
はい、天才のジョンです(?)
お主…天才か?…((