八宮「勝てた。良かった」
無理な動きをしたから、体力は残り少ないが、本当に勝ててよかった。
だからといって油断はできないので、私はすぐさま走り出した。
その後も、襲いかかる死刑囚たちを切り続ける。
そして1日がたった。
八宮「ハアハア。」
私は予想外の疲労から、刀がなければ立っていられなかった。
何百人もいたのに、生き残っていたのは、私を含め、たったの4人だった。
西ノ瀬「皆の者、ご苦労であった。生き残った君たちは正隊員として認める。今後も健闘を祈る。それでは」
そう言うと、そそくさとステージ端に姿を消していく。
八宮「本当に生き残ったんだ」
私は、本当に隊員になれたことと、今までの思いが込み上げてきて、涙が溢れそうだった。
しかし、我慢して疲労と怪我に痛む体を引きずり、山田さんと神空師匠が待つ場所まで帰ろうとした。
ガチャッ
扉の開く音がした。私は顔を上げると、そこには山田さんと神空師匠が待っていた。
神空「おかえり。八宮。」
山田「おかえりなさい。」
私は、思いが爆発して、2人に飛び抱きついた。
山田、神空「本当によく帰ってきた」
神空「よく寝てるな本当に」
俺と山田は、無事か不安で昨日は本当に怖かった。でも、弟子がこうしてしっかり帰ってきたことがとても嬉しかった。
八宮は、怪我は治りきってないものの、疲労はとれたっぽい顔をしていた。
優しい笑顔で俺は中庭を見た。
神空(ここの桜、こんなに大きくなったんだな)
山田「神空隊長!上の方から任務の報告ですよ」
神空「ん?」
山田「観光街として有名なある再現された城下町で、1週間続いて、若い男女が攫われてるらしいです。」
山田「そこには、血痕と身につけていたと思われる服の一部が落ちていました」
山田「そして、若干残っている気配の強さから、恐らく、あちら側の防衛組かと」
神空「そうか。何人派遣されるんだ?」
山田「私たちから数名と3番組からも数名出されるそうです」
山田「それと、目撃者の発言によると、服には7番と隊長とかかれていたそうです。」
神空「となると7番組隊長か」
神空「厄介な戦いになるなこりゃ」
そう言うと、俺はすぐさま立ち上がり、外へと向かった。
山田も後ろから早歩きでついてくる。
ガタッ
入り口近くの部屋から扉が開く音がした。
八宮が立っていた。
八宮「私も行きます」
神空「何言ってんだ。今回の戦いは隊長クラスだ。生半可なやつが来ていい場所じゃない」
八宮「それでも、私は戦います」
またもや、俺は心打たれてしまった。
山田「私もいいと思いますよ。やばかったら、守りますよ」
神空「頼む。山田。」
俺は若干不安そうな顔で見つめた。
山田「何言ってるんですか隊長!私はあの偉大なる1番組隊長神空総悟の右腕ですよ!」
俺は苦笑いしながら受け流した。
八宮も心配だが、副隊長だからと言って無茶をしている。
だからこそ、今回の戦いで俺を含め死人が出るかもしれない。ただ、出すつもりはない。
それが俺の決意だった。
俺たちは移動する間に、夜になってしまった。
深夜に着いた頃、3番組も合流した。
西ノ瀬「ハッハッハ!よう!山田!神空!同じ任務とはな!」
神空「そうだな」
八宮(西ノ瀬って人、こんな雰囲気だっけ )
山田「西ノ瀬隊長も元気そうでなにより」
西ノ瀬「ハッハッハ!山田もな」
八宮自身は、とても大柄で筋肉質で頼り甲斐のありそうな隊長だと思った。
そして、その隣には、暗そうな雰囲気を持つ、八宮と変わらない小柄な男がいた。
八宮「あの、そちらも隊員を私と同じおまけで連れてきたんですかね」
ゴツンッ
その瞬間、私は頭をゲンコツされた。
山田「本当何言ってんの!失礼だよ!」
八宮は一瞬混乱した。
山田「この人は、影月闇(かげつきやみ)3番組の副隊長だよ!」
八宮「え!そうなんですか!ごめんなさい」
影月「僕は別に、勘違いされるのは慣れてるので」
そう話している時、キャアアっと悲鳴が聞こえた。
悲鳴の方に全員で走っていった。
そこには、あの時の血痕と、服の一部が落ちていた。
八宮「また、逃げられて」
神空「まだだ」
影月「影式 影識覚」
若干、暗闇の影が揺らいだような感覚がした。
影月「北西の方向300mに、いる」
西ノ瀬「了解だ!火式 炎華一閃」
ドゴオオオオオッ
物凄い、爆発音と燃え上がる炎で、埋め尽くされた。
ウガッという悲鳴と血飛沫がみえた。
西ノ瀬「掠ったか。」
???「いってぇなコラ。」
異様な雰囲気を感じた。
隊長クラスでも少しは怖気付くような感覚。
神空「あいつもやべーけど、これ1人じゃねえぞ」
神空「雑魚どもがうじゃうじゃいるのと、やべーのがもう1人な」
西ノ瀬「ハッハッハ、、」