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𝕔𝕠𝕔𝕠
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あり
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ー逃げ道は君になった。ー
🩷佐野勇斗 攻
💛吉田仁人 受
🤍山中柔太朗
❤️曽野舜太
💙塩﨑太智
🩷「何してるの?」
💛「……何でもないです。」
俺はそう言った。
けれど、
勇斗先輩は少しだけ笑った。
🩷「ふーん。」
……絶対、
何か気づいている。
俺が何も言えずにいると、
勇斗先輩は俺の方へ歩いてきた。
🩷「喉乾いた。」
💛「……はい?」
🩷「食堂行こ。」
💛「なんで俺まで。」
🩷「ジュース奢るから。」
💛「いや、別にいいですよ。」
🩷「いいから。」
……まただ。
俺が何かを言う前に、
勇斗先輩は歩き出してしまう。
💛「……待ってください。」
仕方なく、俺もその後を追いかけた。
食堂へ向かう途中。
🩷「あ。」
勇斗先輩が、突然足を止めた。
💛「どうしました?」
前を見ると、
数人の男子生徒が立っていた。
勇斗先輩の友達らしい。
「佐野じゃん!」
「何してんの?」
🩷「ちょっとね。」
勇斗先輩が笑って答える。
「俺ら今から食堂行くんだけど、一緒に行かね?」
その言葉を聞いて。
勇斗先輩は、俺を見て、
にこっと笑って答えた。
俺は耳が熱くなっているのを感じた。
🩷「あー、ごめん。」
「なんで?」
🩷「俺、この子と約束したんだよね笑」
💛「……え?」
思わず、勇斗先輩を見る。
💛「……約束?」
俺が聞くと、
勇斗先輩は俺を見ながら笑った。
🩷「ね?」
💛「……え、あ……はい?」
……何の約束だ。
「へー?」
「珍しいじゃん。佐野が誰かと約束してるの。」
友達たちは、
俺と勇斗先輩を交互に見ている。
🩷「まあね。」
勇斗先輩はそう言うと、軽く手を振った。
🩷「また今度なー。」
「おぉ〜」
友達たちと別れる。
しばらく歩いたあと。
💛「……俺、約束した覚えないんですけど。」
🩷「したよ。」
💛「いつですか?」
🩷「今。」
💛「……それ、約束って言わないですよ。」
🩷「じゃあ今、約束した。」
💛「……。」
……この人には、
何を言っても勝てない気がする。
食堂に着くと、
夏休みということもあって、
中にはほとんど人がいなかった。
🩷「何飲む?」
💛「……俺、自分で買います。」
🩷「今日は俺が奢る。」
💛「なんでですか?」
🩷「約束したから。」
💛「……してません。」
🩷「したって。」
結局。
俺は勇斗先輩に、
ジュースを奢ってもらうことになった。
💛「……ありがとうございます。」
🩷「どういたしまして。」
俺たちは、窓際の席に座った。
外は夏の日差しで明るい。
誰もいない食堂は、
いつもより静かだった。
勇斗先輩がジュースを一口飲んで、
俺を見た。
そして。
🩷「……告白、見てたでしょ?笑」
💛「……っ!?」
一瞬。
何を言われたのか、分からなかった。
💛「……な、何のことですか。」
🩷「さっきの。」
💛「……。」
🩷「俺が告白されたやつ。」
💛「……見てません。」
🩷「見てたよねぇ?」
💛「……。」
🩷「隠れるの下手だなぁ笑」
💛「隠れてません!」
🩷「いや、隠れてた笑」
……バレてた。
💛「……たまたまです。」
🩷「ふーん。」
勇斗先輩は、楽しそうに笑っている。
🩷「聞こえちゃった?」
💛「……少しだけ。」
🩷「そっか。」
少しだけ、沈黙が流れた。
すると。
🩷「……気になった?」
💛「……え?」
🩷「俺の、気になる子。」
心臓が、少しだけ跳ねた。
💛「……別に。」
🩷「本当に?」
💛「……はい。」
そう答えたけれど。
俺は、すぐにジュースへ視線を落とした。
🩷「ふーん。」
💛「……何ですか。」
🩷「いや。」
勇斗先輩は、少しだけ笑う。
🩷「気にしてくれるなら、嬉しいなって。」
💛「……気にしてません。」
🩷「じゃあ、聞かなきゃよかった?」
💛「……。」
……それは。
💛「……別に。」
🩷「笑」
まただ。
勇斗先輩は、俺の反応を見て笑っている。
💛「……その気になる子って、どんな人なんですか。」
……あ。
言ってから、自分でも驚いた。
なんで、聞いてしまったんだろう。
勇斗先輩は、少しだけ目を見開いた。
そして。
🩷「気になるんだ?」
💛「……聞いただけです。」
🩷「ふーん。」
また、その言い方。
🩷「その子ね。」
💛「……はい。」
🩷「結構、鈍感なんだよね。」
💛「……そうなんですか。」
🩷「全然気づいてくれない。」
💛「……大変ですね。」
🩷「うん。めちゃくちゃ。」
💛「頑張ってください。」
🩷「……仁人が?」
💛「……はい?」
勇斗先輩は、意味深に笑った。
🩷「いや。なんでもない。」
……なんなんだ。
俺が少しだけ不満そうな顔をすると、
勇斗先輩は楽しそうに笑った。
そのとき。
🤍「……あ。」
食堂の入り口から、
柔太朗が入ってきた。
🤍「……仁人くん!いたいた〜笑」
💛「あ、柔太朗。」
柔太朗は、俺と勇斗先輩を見る。
🤍「……何してるの?」
💛「ジュース飲んでる。」
🩷「告白の話してた。」
💛「先輩!?」
🤍「……告白?!?」
💛「違っ……いや、違わないけど……。」
……何を言えばいいのか、
自分でも分からない。
柔太朗は、少しだけ勇斗先輩を見る。
🤍「……誰が告白したの?」
🩷「俺。」
💛「言わなくていいです!」
🤍「……そうなんだ。」
柔太朗は少しだけ黙った。
🤍「……断ったの?」
🩷「うん。」
🤍「……なんで?」
🩷「気になる子がいるから。」
💛「……。」
また。
胸の奥が、少しだけざわついた。
すると。
💙「おーい!いたいたぁ…。」
太智の声が聞こえた。
💙「やっと終わったわー!」
太智が食堂に入ってくる。
💙「うわ、なんや。二人でジュース飲んどるん?」
🤍「……告白の話してた、らしい。」
💛「柔太朗まで!?」
💙「え!?何それ!めっちゃ聞きたい!」
💛「聞かなくていい!」
俺が止める間もなく。
🩷「俺が告白された。」
💛「だから言わなくていいですって!」
💙「えっ、勇斗告白されたん!?」
太智は、なぜかものすごく驚いている。
💙「そらそうやろなぁ……。」
🩷「どういう意味?」
💙「いや、なんでもない笑」
そのとき。
❤️「ごめんごめん!」
食堂の入り口から、舜太が走ってきた。
❤️「遅くなってもうた。」
💙「何しとったん?」
❤️「たまたま友達おって、話しとったら時間経ってもうた笑」
💙「忘れ物取りに来ただけやったのに笑」
❤️「ほんまそれ笑」
これで、ようやく五人が揃った。
❤️「……ん?なんかあったん?」
💙「勇斗が告白されたんやって!」
❤️「え!?ほんま!?」
💛「……。」
もう。
どうして俺まで、
この話に巻き込まれているんだろう。
🩷「まあ、断ったけどね。」
❤️「なんで?」
🩷「気になる子がいるから。」
また。
その言葉が、頭の中に残った。
気になる子。
勇斗先輩の、
気になる子。
💛「……。」
🩷「仁人?」
💛「……何でもないです。」
🩷「ふーん。」
勇斗先輩は、
また楽しそうに笑った。
しばらくして。
俺たちは、学校を出た。
💙「いやー!補習終わったー!」
❤️「お疲れさん笑」
🤍「……疲れた。」
💙「柔太朗、俺より疲れてへんやろ。」
🤍「……精神的に。」
💙「何がやねん笑」
みんなが、
楽しそうに話しながら歩いている。
少し前には、太智と舜太と柔太朗。
俺は、その少し後ろを歩いていた。
すると。
隣に、勇斗先輩が並ぶ。
🩷「……まだ気になる?」
💛「……何がですか。」
🩷「俺の気になる子。」
💛「……。」
答えられなかった。
🩷「いつか、教えてあげる。」
💛「……別に、聞きたくないです。」
🩷「ほんと?笑」
💛「……。」
勇斗先輩は、少しだけ笑った。
そして。
何も言わずに、前を歩いていった。
――聞きたくない。
……はずなのに。
どうしてだろう。
『いつか、教えてあげる。』
その言葉を。少しだけ。
待っている自分がいた。
コメント
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うわ、バレてたんかい!って思わず声が出ました(笑)。仁人がこっそり見てたのを勇斗先輩が全部わかった上で、あえて気づかないふりしてた空気感がすごく好きです。それでいて「気になる子がいる」って言いながら、明らかに仁人に語りかけてる感じがする…。食堂のシーンで「結構鈍感なんだよね」って言うあたり、もう完全に仁人だよなって思いました。最後の「いつか教えてあげる」も、待ってしまう仁人の気持ちがすごく伝わってきて、続きが気になるー!